材料学Ⅰ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 材料学Ⅰ
科目番号 12023 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 「機械材料学入門」 辻野良二,池田清彦 著(電気書院)
担当教員 山﨑 由勝

到達目標

機械・構造物などの設計・製作にあたり適切な材料の選択を行い,材料の最適な利用技術を習得するための基礎を学習する.
本授業では,特に以下4項目を到達目標とする.
(1)材料の機械的性質とその評価方法を説明できる.
(2)金属材料の塑性変形機構と強化方法を説明できる.
(3)鉄鋼材料を合金組成や材料組織によって分類し,その特徴や用途を説明できる.
(4)代表的な非鉄金属材料について,その特徴や用途を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1強度,硬度,じん性,疲労,クリープの5項目について,試験方法,評価方法,単位を全て説明できる.強度,硬度,じん性,疲労,クリープの5項目について,試験方法と単位を全て説明できる.強度,硬度,じん性の3項目について,試験方法と単位を全て説明できる.強度,硬度,じん性の3項目について,試験方法と単位を全て説明できない.
評価項目2すべり変形と転位のはたらきに基づいて金属材料の塑性変形機構と強化方法を説明できる.すべり変形と転位の働きに基づいて金属材料の塑性変形機構を説明できる.金属材料の塑性変形過程を説明できる.金属の塑性変形過程が説明できない.
評価項目3鉄鋼材料を炭素含有量や添加元素,材料組織によって分類し,その特徴や用途を全て説明できる.Fe-C合金を炭素含有量によって分類し,その特徴と用途を説明できる. また,ステンレス鋼における添加元素と特徴, 用途を説明できる.Fe-C合金を炭素含有量によって分類し,その特徴と用途を説明できる.Fe-C合金を炭素含有量によって分類することができない.
評価項目4代表的な非鉄金属材料の種類,特徴,強化方法,用途を説明できる.代表的な非鉄金属材料の種類,特徴,用途を説明できる代表的な非鉄金属材料の種類と特徴を説明できる.非鉄金属材料の種類と特徴を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
機械設計をする際,適切な材料選択が求められ,設計者は材料特性を理解していることが必要不可欠となる.従って,本授業では機械材料の特性に関して基礎的な事項を学ぶ.
授業の進め方・方法:
講義に加え,演習及び課題を通じて学習する.結晶構造や塑性変形,平衡状態図,熱処理など,機械材料に関して基礎的な事項を幅広く扱う.
注意点:
予習・復習は当然のこと,配布する演習問題に取り組むことで,内容の理解に努めること.単なる知識の丸暗記ではなく,原理・原則や現象の背景にある事柄を正しく理解することが重要である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ・ガイダンス
・材料の機械的性質(1)
・授業の進め方や到達目標を説明する.機械工学における材料学の意義を理解する.
・材料の機械的性質とその評価方法を説明できる.
2週 ・材料の機械的性質(2)
・結合様式と結晶構造
・材料の降伏条件や疲労・許容応力・安全率を理解する.
・原子又は分子間の結合様式及び結晶構造を説明できる.
3週 ・ミラー指数
・格子欠陥
・ミラー指数を理解する
・格子欠陥を理解する.
4週 ・演習
・拡散
・演習問題を通じて,これまでの内容を理解・整理する.
・材料における拡散について理解する.
5週 ・すべり変形
・臨界せん断応力
・すべりによる金属の変形について説明できる.
・臨界せん断応力について説明できる.
6週 ・金属の強化方法(1)
固溶強化と加工強化
・金属の強化方法(2)
析出強化と細粒強化
・固溶強化と加工強化を説明できる.
・析出強化と細粒強化を説明できる.
7週 ・回復と再結晶
・演習
・回復と再結晶について理解する.
・演習問題を通じて,これまでの内容を理解・整理する.
8週 ・定期試験
・試験返却・解答解説・まとめ

・試験解説により,間違った箇所を理解する.学習のまとめを行う.
4thQ
9週 ・金属の凝固過程
・平衡状態図(1)
・金属の凝固過程を理解する.
・相律など,平衡状態図の基礎を理解する.
10週 ・平衡状態図(2)
・平衡状態図(3)
・全率固溶型の平衡状態図の見方を理解する.
・共晶型の平衡状態図の見方を理解する.
11週 ・平衡状態図(4)
・演習
・包晶型の平衡状態図の見方を理解する.
・演習問題を通じて,これまでの内容を理解・整理する.
12週 ・鉄鋼材料の基礎(1)
・鉄鋼材料の基礎(2)
・炭素含有量,合金元素,材料組織,それぞれの観点から鉄鋼材料を分類し,特徴や用途を説明できる.
・鉄-炭素二元系合金の平衡状態図の見方を理解できる.
13週 ・鉄鋼材料の基礎(3)
・軽金属(1)
・鉄鋼材料の主な熱処理について,その熱操作と目的,材料組織の変化を説明できる.
・アルミニウムやチタン,マグネシウムの特徴や用途を説明できる.
14週 ・軽金属(2)
・軽金属(3)
・アルミニウム合金の特徴や用途を説明できる.
・チタン合金の特徴や用途を説明できる.
15週 ・演習
・演習
・演習問題を通じて,これまでの内容を理解・整理する.
・演習問題を通じて,これまでの内容を理解・整理する.
16週 ・定期試験
・試験返却・解答解説・まとめ

・試験解説により,間違った箇所を理解する.学習のまとめを行う.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野材料機械材料に求められる性質を説明できる。3後1
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。3後1
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。3後1
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。3後1
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。3後2
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。3後2
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。3後2
金属と合金の結晶構造を説明できる。3後2,後3,後4
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。3後4,後9
合金の状態図の見方を説明できる。3後9,後10,後11
塑性変形の起り方を説明できる。3後5
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。3後6,後7
鉄鋼の製法を説明できる。3後12
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。3後12
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。3後12
焼きなましの目的と操作を説明できる。3後13
焼きならしの目的と操作を説明できる。3後13
焼入れの目的と操作を説明できる。3後13
焼戻しの目的と操作を説明できる。3後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
知識の基礎的な理解6000001575
思考・推論・創造への適用力200000525
汎用的技能0000000
態度・志向性(人間力)0000000
総合的な学習経験と創造的思考力0000000