本講義では熱力学の概念を説明し、前半部分は(1)熱力学の第一法則、熱力学の第二法則、(2)理想気体の状態変化、および(3)熱機関の効率について理解できることを目標とする. 後半部分は(1)各種のガスサイクルを理解し熱効率を評価できること,(2)蒸気の性質と状態変化を理解し,ランキンサイクル,冷凍・ヒートポンプサイクルの熱効率を評価できること,(3)湿り空気の性質を理解し,空気調和技術を理解できるを目標とする.
概要:
熱と仕事の基本的な考え方を理解する。少数の基本公式のみを用いて、さまざまな熱機関の効率や熱の出入りについて、自分で計算できるように講義と演習ををおこなう。まず気体の状態方程式を説明し、次いで、熱力学の第一法則、第二法則を説明する。次にカルノーサイクルを説明する。
授業の進め方・方法:
授業においては演習問題の時間を取りながら理解を深めていく。そのため、毎時電卓を持参すること。
注意点:
熱力学では、自然界における物質の状態変化とその変化の方向に関する自然法則を学び、熱の仕事への変換、熱の有効利用など、多様なエネルギー形態と熱的作用との相関を学習する。工学的な応用系との関連に留意しつつ、エネルギーの保存およびエネルギーの質的変化に関する基礎概念の理解に重点を置いた講義を行なう。
学期内に成績を再評価する場合がある。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
熱力学の導入 |
熱力学とは何か、系・物質の状態とエネルギー、SI単位系、エネルギーの保存則について理解する。
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2週 |
閉じた系の熱力学第一法則 開いた系の熱力学第一法則 |
熱と仕事、内部エネルギー、第一法則の記述法について理解する。 工業仕事、エンタルピー、第一法則の記述法(第二表現)について理解する。
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3週 |
理想気体 理想気体の状態変化 |
理想気体の状態方程式、理想気体の比熱、内部エネルギーおよびエンタルピーについて理解する。 理想気体の等圧、等容、等温および断熱変化について理解する。
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4週 |
熱力学第一法則の演習 |
理想気体と熱力学の第一法則についての演習を行う。
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5週 |
カルノーサイクル |
動力サイクルと冷凍サイクル、熱効率と成績係数について理解する。
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6週 |
熱力学の第二法則とエントロピー エントロピー変化の計算および演習 |
可逆サイクルと不可逆サイクル、エントロピー生成について理解する。 固体・液体および理想気体のエントロピー変化の計算法について理解する。
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7週 |
中間試験 |
中間試験を行う。
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8週 |
中間試験の解説 最大仕事とエクセルギー |
試験の返却・解説を行う。 第一・第二法則から得られる最大仕事、エクセルギーの記述法について理解する。
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4thQ |
9週 |
熱力学の第二法則とエントロピー,ガスサイクル総論,ピストンエンジンサイクル(オットーサイクル) |
熱力学の第二法則とエントロピー,および実際の熱機関(動力サイクル),オットーサイクルにおける状態変化とサイクルの熱効率について理解する
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10週 |
ピストンエンジンサイクル(ディーゼルサイクル、サバテサイクル) |
ディーゼルサイクルの状態変化と熱効率,サバテサイクルについて理解する
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11週 |
ガスタービンサイクル |
ガスタービンサイクルの状態変化と熱効率を理解する
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12週 |
実在ガスおよび蒸気の性質 |
蒸気の性質と蒸気表を理解する
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13週 |
蒸気原動所(ランキンサイクル),再熱サイクル,再生サイクル |
蒸気サイクルにおける状態変化,熱効率の算出法について理解する
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14週 |
冷凍およびヒートポンプサイクル,湿り空気と空気調和 |
逆カルノーサイクル,冷媒,ヒートポンプサイクル,湿り空気の性質,湿り空気線図,空気調和の基礎について理解する
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15週 |
期末テスト |
期末テストをおこなう
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16週 |
総括 |
試験の返却と授業まとめをおこなう
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 熱 | 原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。 | 3 | |
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。 | 3 | |
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。 | 3 | |
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。 | 3 | |
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。 | 3 | |
気体の内部エネルギーについて説明できる。 | 3 | |
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。 | 3 | |
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。 | 3 | |
熱機関の熱効率に関する計算ができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。 | 4 | |
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第一法則を説明できる。 | 4 | |
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。 | 4 | |
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。 | 4 | |
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。 | 4 | |
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。 | 4 | |
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。 | 4 | |
熱力学の第二法則を説明できる。 | 4 | |
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。 | 4 | |
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。 | 4 | |
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。 | 4 | |
サイクルをT-s線図で表現できる。 | 4 | |