熱力学

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 熱力学
科目番号 14024 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 例題でわかる工業熱力学
担当教員 德永 敦士

到達目標

本講義では熱力学の概念を説明し、前半部分は(1)熱力学の第一法則、熱力学の第二法則、(2)理想気体の状態変化、および(3)熱機関の効率について理解できることを目標とする. 後半部分は(1)各種のガスサイクルを理解し熱効率を評価できること,(2)蒸気の性質と状態変化を理解し,ランキンサイクル,冷凍・ヒートポンプサイクルの熱効率を評価できること,(3)湿り空気の性質を理解し,空気調和技術を理解できるを目標とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱力学の基本法則熱力学の第一法則、第二法則を説明でき、計算できる。熱力学の第一法則、第二法則が計算できる。熱力学の第一法則、第2法則が説明できる。熱力学の第一法則、第二法則が説明できない。
理想気体理想気体の状態変化、およびカルノーサイクルを計算、説明できる。理想気体の状態変化を計算できる。理想気体の状態変化を説明できる。理想気体の状態変化が説明できない。
熱機関熱機関のpv線図、Ts線図を図示でき、効率が計算できる。熱機関のpv線図、Ts線図を図示でき、行程を説明できる。熱機関のpv線図、Ts線図を図示できる。熱機関の行程が説明できない。
蒸気サイクル蒸気サイクルのTs線図を図示でき,効率が計算できる.蒸気サイクルのTs線図を図示でき,説明できる.蒸気サイクルの熱効率が計算できる.蒸気サイクルの行程が説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
熱と仕事の基本的な考え方を理解する。少数の基本公式のみを用いて、さまざまな熱機関の効率や熱の出入りについて、自分で計算できるように講義と演習ををおこなう。まず気体の状態方程式を説明し、次いで、熱力学の第一法則、第二法則を説明する。次にカルノーサイクルを説明する。
授業の進め方・方法:
授業においては演習問題の時間を取りながら理解を深めていく。そのため、毎時電卓を持参すること。

最終評価点は以下の通りとする.

3Q中間試験,3Q期末試験,4Q中間試験,4Q期末試験の平均点=A
レポート,小テストの平均点=B
3Q期末試験,4Qの期末試験の平均点=C

AとCを比較し,高い点数を試験評価点とする.

最終評価点=MAX(A,C)✕70%+B✕30%
注意点:
熱力学では、自然界における物質の状態変化とその変化の方向に関する自然法則を学び、熱の仕事への変換、熱の有効利用など、多様なエネルギー形態と熱的作用との相関を学習する。工学的な応用系との関連に留意しつつ、エネルギーの保存およびエネルギーの質的変化に関する基礎概念の理解に重点を置いた講義を行なう。

学期内に成績を再評価する場合がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 熱力学の導入
閉じた系の熱力学第一法則
熱力学とは何か、系・物質の状態とエネルギー、SI単位系、エネルギーの保存則について理解できる。
熱と仕事,内部エネルギー,第一法則の記述法について理解できる.
2週 開いた系の熱力学第一法則
理想気体
工業仕事,エンタルピー,第一法則の記述法(第二表現)について理解できる.
理想気体の状態方程式,理想気体の比熱,内部エネルギーおよびエンタルピーについて理解できる。.
3週 理想気体の状態変化
熱力学第一法則の演習
理想気体の等圧,等容,等温および断熱変化について理解できる.
理想気体と熱力学の第一法則についての演習を行う.
4週 中間試験
中間試験の解説
中間試験を行う.
中間試験の解説と理解度の把握を行う.
5週 カルノーサイクル
熱力学の第二法則とエントロピー
動力サイクルと冷凍サイクル,熱効率と成績係数について理解できる.
可逆サイクルと不可逆サイクル,エントロピー生成について理解できる.
6週 エントロピー変化の計算および演習
最大仕事とエクセルギー
固体・液体および理想気体のエントロピー変化の計算法について理解できる.
第一・第二法則から得られる最大仕事,エクセルギーの記述法について理解できる.
7週 熱力学第二法則の演習
総合演習
熱力学の第二法則についての演習を行う.
全範囲を対象にした演習を行.
8週 期末試験
期末試験の解説
期末試験を行う。
試験の返却・解説を行う.
4thQ
9週 熱機関のサイクルと効率,ガスサイクル総論,ピストンエンジンサイクル(オットーサイクル)
ピストンエンジンサイクル(ディーゼルサイクル、サバテサイクル)
熱力学の第二法則とエントロピー,および実際の熱機関(動力サイクル),オットーサイクルにおける状態変化とサイクルの熱効率について理解できる .
ディーゼルサイクルの状態変化と熱効率,サバテサイクルについて理解する
10週 ガスタービンサイクル
スターリングサイクル及び演習
ガスタービンサイクルの状態変化と熱効率を理解できる。
スターリングサイクルの状態変化と熱効率,各サイクルの演習を行う.
11週 実在ガスおよび蒸気の性質
蒸気原動所(ランキンサイクル)
蒸気の性質と蒸気表を理解できる.
蒸気サイクルにおける状態変化,熱効率の算出法について理解できる.
12週 再熱サイクル,再生サイクル
蒸気サイクルの演習
蒸気サイクルの熱効率改善法について理解できる.
蒸気サイクルの演習を行う.
13週 中間試験
中間試験の解説
中間試験を行う.
試験の返却・解説を行う.
14週 冷凍およびヒートポンプサイクル
湿り空気と空気調和
逆カルノーサイクル,冷媒,ヒートポンプサイクルについて理解できる.
湿り空気の性質,湿り空気線図,空気調和の基礎について理解できる.
15週 冷凍サイクルと空気調和の演習
総合演習
冷凍サイクルと空気調和の演習を行う.
ガスサイクル,蒸気サイクル,空気調和の演習を行う.
16週 期末試験
期末試験の解説と総括
期末試験を行う.
試験の返却と授業まとめを行う.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4
熱力学の第一法則を説明できる。4
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4
熱力学の第二法則を説明できる。4
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4
サイクルをT-s線図で表現できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小テスト合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力3000001545
専門的能力4000001555
分野横断的能力0000000