電気機器Ⅰ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気機器Ⅰ
科目番号 24026 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 1st-Q 週時間数 4
教科書/教材 森本雅之 著:よくわかる電気機器(第2版)(森北出版)
担当教員 碇賀 厚

到達目標

科目の到達目標は、以下の4項目である。
①電気機器を支配する四つの力を理解し、電動機と発電機の原理を説明できる
②回転機のトルクと出力の関係式を理解し、三相交流による回転磁界の発生を説明できる
③変圧器の原理を理解し、実際の変圧器の等価回路から特性算定ができる
④誘導電動機の原理を理解し、等価回路から特性算定ができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1電気機器を支配する四つの力を理解し、電動機と発電機の原理を説明できる電気機器を支配する四つの力のうち三つを理解し、電動機と発電機の原理を説明できる電気機器を支配する四つの力のうち二つを理解し、電動機または発電機の原理を説明できる電動機と発電機の原理を説明できない
評価項目2回転機のトルクと出力の関係式を導出し、三相交流による回転磁界の発生を説明できる回転機のトルクと出力の関係式を理解し、三相交流による回転磁界の発生を説明できる回転機のトルクと出力の関係式を説明できる回転機のトルクと出力の関係式を説明できない
評価項目3変圧器の原理を理解し、実際の変圧器の等価回路の説明と等価回路から特性算定ができる変圧器の原理を理解し、実際の変圧器の等価回路から特性算定ができる変圧器の原理を理解し、巻数比と電圧・電流の関係を説明できる巻数比と電圧・電流の関係を説明できない
評価項目4アラゴーの円板により誘導電動機の原理を理解し、等価回路を導出して特性を算出できるアラゴーの円板により誘導電動機の原理を理解し、示された等価回路から特性を算出できるアラゴーの円板を理解し、示された誘導電動機の等価回路から特性を算出できるアラゴーの円板を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気機器は、電磁誘導と電磁力の原理を応用したエネルギー変換機器である。
エネルギー変換機器とは、例えば、電気がつくる力で機械を動かす電動機、また動力から電気を発生する発電機を指している。
電気機器Ⅰ・Ⅱの科目では、この原理を理解し電気機器の特性とそれを活かした用途について学習する。
第1学期の電気機器Ⅰでは、電磁誘導と電磁力の原理を応用した電気機器の基礎、並びに変圧器と誘導電動機を学習する。
電磁誘導と電磁力はファラデーの法則、フレミングの右手と左手の法則、マクスウェルの応力等で理論的に解明されている。これらの理解には、物理学と電磁気学で学んだことを振り返る。また、電気機器の特性算定には、磁気回路と電気回路を融合した等価回路が用いられる。この等価回路を理解する上で、電気磁気学、電気回路で学んだことを振り返る。
現代社会において、工場の生産設備やビルの空調、昇降機、また家電製品等の動力源には多くの電動機が使用されている。さらに、火力発電所や原子力発電所、水力発電所等では同期発電が採用されている。このように、電気機器の基本的な理解は電気技術者にとって必須と言える。
※実務との関係
この科目は、電機メーカーで回転機やパワーエレクトロニクス関連機器の設計開発と生産管理を担当していた教員がその経験を活かし、電気機器の原理と特性について電気主任技術者に必要な知識を講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
毎回の授業で評価項目毎に理解度を評価する演習問題を実施するので、これを復習課題として活用すること。
科目の評価項目に沿って、目標到達レベルを評価するための、理解度テスト・中間試験・期末試験を実施し評価割合により総合評価する。また、過年度に学習した電気磁気学と電気回路を応用した科目であるので、これらの科目を再度自学自習すること。
電気機器は難しい科目であるが、わかりやすく図と式を効果的に示したものを教科書に採用している。なお、電気主任技術者資格試験には、教科書だけではなく参考書により専門的理解を深めてもらいたい。参考書:宮入庄太 著:大学講義 最新電気機器学(丸善)
さらに、科目で学習した電動機と発電機の特性について、実機で確認する機器実験に取り組んでもらいたい。
注意点:
成績評価について、理解度テスト、小テスト、期末試験の3回に分け、総合評価割合に示すようにそれぞれ重みづけします。
クラス全体の目標到達度が低い場合を除いて、再試験は実施しません。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気エネルギーと電気機器を支配する四つの力

インダクタンス
エネルギー変換機器と四つの力①誘導起電力、②速度起電力、③電磁力、④マクスウェル応力を説明できる
自己インダクタンスと相互インダクタンスを説明できる
2週 回転運動とトルク

三相交流と回転磁界
回転機のトルクを説明でき、トルクと出力の関係式を示すことができる
三相交流による回転磁界の発生を説明できる
3週 磁化現象と鉄損

電気機械の効率と損失、まとめと理解度テスト
磁化現象によるヒステリシス損とうず電流損を説明できる
電気機械のパワーフローを説明できる
4週 変圧器の原理と理想変圧器

実際の変圧器と等価回路
変圧器の原理を理解し、巻数比と電圧・電流の関係を説明できる
漏れリアクタンスを理解し、等価回路から諸量を算出できる
5週 変圧器の複数運転

まとめと小テスト
変圧器の三相結線方式を説明できる

変圧器のまとめ
6週 誘導電動機の原理と構造

誘導電動機の等価回路
アラゴーの円板を理解し、誘導電動機の原理を説明できる
変圧器との違いを理解し、誘導電動機の等価回路を導出して等価回路定数の決定により特性を算出できる
7週 誘導電動機の特性

単相誘導電動機
誘導電動機のトルク特性を理解し、速度制御を説明できる
単相交流による回転磁界の発生を理解し、コンデンサ始動型、並びにくま取りコイル型単相誘導電動機の原理を説明できる
8週 期末試験

試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。4前4,前6
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。4前5
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。4前4,前6
誘導機の原理と構造を説明できる。4前6
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。4前4

評価割合

期末試験小テスト相互評価態度ポートフォリオ理解度テスト合計
総合評価割合602000020100
基礎的能力30100001050
専門的能力30100001050
分野横断的能力0000000