発変電工学

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 発変電工学
科目番号 24032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 4th-Q 週時間数 4
教科書/教材 「発変電工学 改訂版」 弘山 尚直著 (電気学会)
担当教員 吉田 雅史

到達目標

 現代社会において欠かすことのできない電気エネルギーの発生及び変換する方法を学ぶ。併せてエネルギーの効率的に輸送、利用する技術について学ぶ。また、環境負荷のない再生可能エネルギーの原理と先端技術を学ぶ。
①原子力発電の原理について理解し、原子力発電主要設備を説明できる。
②その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1水車の種類や比速度について理解し、各発電所に応じた水力発電設備を検討できる。水力発電設備の概要及び構成機器の役割を説明できる。水力発電の原理(位置エネルギー、ベルヌーイの法則、連続の式)を理解し、降水量と発電電力量の関係について算ができない。
評価項目2ガスタービンやディーゼル発電など、汽力発電以外の火力発電の特徴を理解し、火力発電における効率改善手法を説明できる。ランキンサイクルについて理解し、熱効率を効率向上させる方法を検討できる。汽力発電において水の特性を理解し、発電所の効率を導出できない。
評価項目3核燃料サイクルとその意義について説明できる。軽水炉の特徴を理解し、制御方法や安全性について説明できる。原子エネルギーについて理解できず、核分裂エネルギーの導出ができない。原子炉の構成や構成材料の役割について説明できない。
評価項目4電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。自然エネルギー及び次世代エネルギーの電力変換における機器構成や課題を説明できる。自然エネルギー及び次世代エネルギーの発電方法や特徴について説明できない。
評価項目5電力連係の役割と意義について説明できる。電力変換(変電)に関わる機器の特徴及び機能について説明できる。電力系統の構成と役割について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育目標 (C) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 我々は有限なエネルギー資源やほぼ無限に存在する自然エネルギーなど様々なエネルギーを『電気エネルギー』という形に変換して利用しています。発変電工学の講義では、様々なエネルギーを電気エネルギーに変換する方法や電気を輸送、あるいは利用する場面場面で適した形に電気を変換(変電)する方法、そして近年台頭してきた新エネルギーの普及の課題にもなっているエネルギー貯蔵技術など、幅広いエネルギー変換に関わる分野を学ぶ。
授業の進め方・方法:
講義を中心に進める。この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートやオンラインテストを実施します。
注意点:
予習復習をすること。発変電工学の講義では、水力発電、火力発電、原子力発電、新エネルギーを始め、発変電に関わる主要機器の原理と構造及びその特性等を重点的に学びます。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
4thQ
9週 1週目:発電用資源と発電方式、水力発電の概要と水力学
2週目:降水量と落差、発電可能電力量、水力設備
1週目:発電用エネルギー資源や発電、変電の歴史変遷について説明できる。各水力発電方式と特徴を説明できる。水のエネルギー、ベルヌーイの定理などの水の特性について説明できる。
2週目:水力発電における流量と降水量及び落差と損失の役割や発電可能水量について理解し、年間流量及び発電電力量の算出ができる。水力発電所を構成する設備の役割を説明できる。
10週 3週目:水車の種類と特性
4週目:汽力発電の概要
3週目:水車の種類や比速度について理解し、各発電所に応じた水力発電設備を検討できる。
4週目:汽力発電所の設備構成及び発電の原理を説明でき、汽力発電における効率の計算をすることができる。
11週 5週目:熱力学
6週目:機械エネルギー変換と熱サイクル
5週目:熱力学の第1、第2法則について説明できる。エントロピー、エンタルピーの概念について説明できる。
6週目:エネルギー変換と熱サイクル(ランキンサイクル)について説明できる。熱サイクルにおける熱効率を求めることができる。
12週 7週目:熱の有効利用とその他の火力発電
8週目:発電所見学
7週目:汽力発電における熱の有効利用方法やディーゼル発電、ガスタービン発電、ガスタービンコンバインド発電の特徴を説明できる。
8週目:中国電力㈱新小野田発電所見学を通じて汽力発電所の発電における課題や経済性を考慮した運用技術について説明できる。
13週 9週目:原子力エネルギーと原子力発電
10週目:原子炉の種類と安全性
9週目:原子の核分裂と質量欠損について理解し、原子が核分裂時に発生するエネルギーを導出できる。原子力発電所の構成を理解し、各設備の役割を説明できる。
10週目:原子炉の構造と特徴、原子力発電所の制御方法、原子炉の安全性について説明できる。核燃料サイクルについて説明できる。
14週 11週目:自然エネルギー発電(風力、太陽光)
12週目:次世代エネルギー発電(その他)と電力貯蔵技術
11週目:既存の発電方式と環境問題との関わりを理解したうえで再生可能エネルギー(風力、太陽光発電)の特徴及び原理について説明できる。
12週目:地熱、燃料電池などの新エネルギーの発電原理や二次電池などの電力貯蔵技術の特徴について説明できる。
15週 13週目:電力系統及び変電①
14週目:電力系統及び変電②
13週目:電力系統の仕組みや構成を説明できる。
14週目:変電設備の構成や機能について説明できる。
16週 15週目:試験返却と解答解説まとめ
15週目:学習事項のまとめと授業評価アンケート調査を行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。4
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。4
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。4
電力システムの経済的運用について説明できる。4
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。4
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。4
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。4
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。4
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力2000001030
専門的能力5000002070
分野横断的能力0000000