送配電工学

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 送配電工学
科目番号 0115 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「送電・配電 改訂版」 道上 勉 著 (電気学会)
担当教員 濱田 俊之

到達目標

電力の送電及び配電技術に求められるものは、品質の良い電気を需要家に提供するため、発電所で発電し|た電気を確実、安定、経済的に伝送することです。この講義では送電及び配電の仕組みや、送配電時に発生する各種障害、故障について学んでいきます。
①電力システムの構成について説明できる。
②電力送電時における電圧降下や電力損失を導出できる。
③電力品質と電力システムの経済的運用法について説明できる
④送電線故障時の故障電流計算及び故障に対する対策を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1良好な到達レベルに加え、交流および直流送配電方式それぞれの特徴を説明できる。 最低到達レベルに加え、送電線路の回路構成について説明できる。送配電設備の構成や機器の機能について説明できない。
評価項目2良好な到達レベルに加え、電圧降下や電力損失を軽減させる方法を説明できる。最低到達レベルに加え、送電時の電圧降下や電力損失を計算により導出・検討できる。電力送電時における電圧降下や電力損失の原理や特徴について説明できない。
評価項目3良好な到達レベルに加え、電力システムの経済運用について検討できる。 最低到達レベルに加え、電力品質に影響を及ぼす原因や対策法について説明できる。電力品質の定義およびその意義について説明できない。
評価項目4良好な到達レベルに加え、送電線故障時の地絡・短絡電流を検討・導出できる。最低到達レベルに加え、送電線故障位置の導出法を説明でき、導出ができる。送電線故障時の発生原因及び故障時に起こりうる事象について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育目標 (C) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 送配電工学では、発生させた電気を需要地に送る、あるいは配る仕組みを学ぶ。どのような手法で電気が需要家に届けられているのか、送配電するときに発生する問題や対策方法を知り、どのような制度の下で電気送られるのかを学ぶ。
※実務との関係
この科目は地方自治体で水力発電に関する送電線や受電設備などの電気工作物の保全・維持管理を担当していた教員が、その経験を活かし、送配電線の構成や役割、各種送電線にて発生する事象の計算について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
 講義を中心に進める。必要に応じて演習やレポート課題を課す。
注意点:
 予習復習をすること。講義内容は送電線路の電気的、機械的基本知識と、故障電流など実際の計算を送電系統に合わせて行うことで理解と実践力を深めます。実際に送電運用を行う電力所の見学も織り込みながら電力品質と安定供給の役割を学びます。
 レポート課題は、提出期限をを厳格に守る習慣を付けることで態度・志向性として評価に取り入れる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電力系統と送電・配電技術 送電・配電技術の発達と、電力系統の構成を説明できる。
2週 電力系統の供給信頼度 電力供給の本質的課題である品質と安定性について説明できる。太陽光など分散型電源の問題やおよび高調波などの特異現象について説明できる。
3週 送電線路の線路定数① 短距離送電線路の線路定数について説明できる。
4週 送電線路の線路定数② 中・長距離送電線路の線路定数について説明できる。
5週 送電特性と等価回路、電圧降下 送電線路の線路と特性と等価回路、および電圧降下について。説明できる。
6週 送電容量と電力円線図、送電安定度 送電線路の送電容量と受送電端における電力円線図について説明できる。送電系統の安定度と電力損失について理解し、計算により電力降下、電力損失を導出できる。
7週 送配電線路の機械的特性 電線の強度計算など機械的特性について理解し、計算により送電線の弛度及び支線の張力を導出できる。
8週 三相交流 交流電力輸送における三相交流の原理について理解し、その特徴について説明できる。
2ndQ
9週 架空送電線路 架空送電線路の構成と振動、コロナ放電の特徴について理解し、対策法を挙げることができる。
10週 地中送電線路① 地中送電線路の構成と特徴について説明できる。ケーブルの損失と許容電流について理解し、許容電流向上対策について説明できる。
11週 地中送電線路② 地中送電線の故障や異常の検出方法と原理について理解できる。また、地中送電線路の故障点の導出計算ができる。
12週 故障計算① オーム法による短絡故障計算法について理解し、故障時に発生する短絡電流を導出できる。%インピーダンスに関する概念が理解できる。
13週 故障計算② %インピーダンス法による短絡故障計算法について理解し、故障時に発生する短絡電流を導出できる。テブナンの定理を用いた地絡故障計算の概念を理解し、その解を導出できる。
14週 故障計算③ 対称座標法の概念を理解し、地絡故障計算に適用し、地絡電流及び健全相の電位の変化を計算により導出できる。
15週 保護と制御 変圧器の中性点接地の必要性を理解し、各中性点接地方式の特徴を説明できる。また、静電誘導および電磁誘導の原理を理解し、対策方法を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。4
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。4
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。4
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。4
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。4
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。4
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。4
電力システムの経済的運用について説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力000003030
専門的能力000007070
分野横断的能力0000000