到達目標
① 【現代社会が抱える諸テーマについての理解と考察】現代社会が抱える諸テーマの基本的な知識・背景を理解し、キーワードを示せばその意味や現状・課題について、適切な理解を解答することができる。
②【哲学エッセイ等による自身の問いの探究】自身が今問題と感じていることを「問い」として表現・考察し、それをもとに他者と共にさらに考察していくことができる。
③【哲学対話等による対話的な態度や姿勢の獲得】問題に対して複数の考え方があることを十分に理解したうえで、対話に真摯に取り組むことができる。また、そういった対話のあり方を紙面上で再現できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安(優) | 標準的な到達レベルの目安(良) | 未到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安(不可) |
評価項目1
【現代社会が抱える諸テーマについての理解と考察】 | 現代社会が抱える諸テーマについてのキーワードを示せばその意味や現状・課題について、適切な理解を即座に解答できる。 | 現代社会が抱える諸テーマについてのキーワードを示せばその意味や現状・課題について、適切な理解を選択肢の中からおおよそ解答できる。 | 現代社会が抱える諸テーマについてのキーワードを示せばその意味や現状・課題について、適切な理解を選択肢の中から半分程度は解答できる。 | 現代社会が抱える諸テーマについてのキーワードを示しても、その意味や現状・課題について、適切な理解を選択肢のなかから解答することが十分にできない。 |
評価項目2
【哲学エッセイ等による自身の問いの探究】 | 自身が今問題と感じていることを「問い」として表現し、簡単に答えを出さず粘り強く考えた内容を、他者にわかりやすく説明できる。 | 自身が今問題と感じていることを「問い」として表現し、考えた内容を、他者にわかりやすく説明できる。 | 自身が今問題と感じていることを「問い」として表現・考察できる。 | 自身が今問題と感じていることを「問い」として表現・考察できていない。 |
③【哲学対話等による対話的な態度や姿勢の獲得】 | 問題に対して複数の考え方があることを十分に理解したうえで、対話に真摯に取り組むことができる。また、そういった対話のあり方を紙面上で十分に再現できる。 | 問題に対して複数の考え方があることを理解したうえで、対話に真摯に取り組むことができる。また、そういった対話のあり方を紙面上で再現しようと試みることができる。 | 問題に対して複数の考え方があることを理解したうえで、対話に取り組むことができる。あるいは、そういった対話のあり方を紙面上で再現しようと試みることができる。 | 問題に対して複数の考え方があることを理解したうえで、対話に取り組むことが十分にできていない。また、そういった対話のあり方を紙面上で再現しようと試みることができていない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
■本講義の3つの目標について
本講義では【現代社会が抱える諸テーマについての理解と考察】と【哲学エッセイ等による自身の問いの探究】、そして【哲学対話等による対話的な態度や姿勢の獲得】の大きく3つの目標を掲げています。それに対応して授業では以下の3つの内容を実施します。
① 現代の社会が抱える諸テーマ(情報化社会、環境問題、ジェンダーと家族、生命倫理、異文化との共生)を取り上げ、それらの基本的な知識・背景や現代を生きるわたしたちに突き付けられている課題を検討する。
②受講者自身が「問い」を設定し、「哲学する」ために、哲学エッセイの作成を課し、授業内での相互評価により完成を目指す。
③「哲学対話」を行い、身近な他者との考えの違いを理解したうえで、対話に取り組む態度や姿勢を身に付ける。
■キーワード:「他者と共に生きる自己」
これらを結び付けるキーワードは到達目標にもある「他者と共に生きる自己」です。現代社会では私たちは他者といかに協調しながら生きるのかという問題に日々悩まされています。それは日常的にクラス内の友人関係や家族、教員、バイト先の人間関係のことでもあり、あるいは共に地球という有限な環境を生き、互いに影響し合っている世界中の人びとのことでもあります。つまり、ここでいう「他者」とはみなさんが一般に考える「身の回りの自分以外の人たち」という意味に留まらず、「自分とは価値観の異なる人」「文化や宗教が異なる人」「生活圏が異なる人」「生きる世代が異なる人(すでに生まれて死んでいった人やまだ生まれてきていない人)」「動物」「自然環境」「マイノリティ属性をもつ人々」なども含む言葉です。
講義でも哲学エッセイでも、そういった様々な「他者」に気を配りながら考えることを目指します。それは倫理Aでも強調してきた当たり前を問い直すということの応用でもあります。なぜなら、「他者」に気を配って考えるということは、自分にとっては当たり前であることが他の人にとっては当たり前ではないかもしれないこと、を思いやって考えること、でもあるからです。
授業の進め方・方法:
■学修単位科目に伴う注意
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてポートフォリオ(授業の感想の記述)や小テスト、エッセイ課題を実施します。
ポートフォリオおよび小テストはTeams上での実施、提出を原則としています。
そのため、あらかじめ自身のアカウントとパスワードを確認し、ログインができるようにしておくこと。
■主な授業の進め方
① 「現代の課題を考える」①~⑤の回(授業計画を参照)では、事前に該当する教科書や配布プリントを指示し、学習しておくこと。授業は事前学習を前提に、内容確認のための小テストおよび問題背景のさらなる理解やディスカッションに充てます。
②「哲学対話」の実施の回では、哲学対話を単に行うだけでなく、対話を通して気づいたことや考えたことなどをふりかえりのミニレポートにまとめて提出してもらいます。
注意点:
■授業の約束
教員からは以下のことをお約束します。
・みなさんにとって意味のあることだと信じた内容を一生懸命授業します。
・評価や授業の進め方を含むさまざまなことについて理不尽なやり方をしません。
・ほぼすべての正当なしかたでなされた質問、問い合わせ、要望については真摯に対応します。
受講生のみなさんには以下のことを約束してもらうようお願いをします。
・一緒に授業を受けているクラスメイトにも、授業担当者にも、迷惑となる言動はしないてください。
・教室を授業を真面目に楽しみ、哲学しようとしている人のための空間にすることに協力してください。※グループワーク中などのスマホの使用を見つけた場合、指摘し、回収することもあります。
■授業計画は,授業の進捗や実際の社会の動向などの状況に応じて内容や順番を変更する可能性があります。
■現在宇部高専では、英語系科目以外でも日常的に英語に触れることを目的とし、授業内で英語による説明を取り入れることとしています。本講義でもそれに順じ、必要に応じて授業で取り上げる語句などに対応する英単語を紹介する、重要な文については短い英文で説明する場合があります。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
4thQ |
9週 |
現代の課題を考える①:人それぞれと寛容―なんのために対話するのか? |
・テーマについての小テストに十分に答えることができる。 ・テーマについて、現代どのような課題があるのかを指摘し、考察できる。
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10週 |
現代の課題を考える②:高度情報社会―今、何を信用して生きればよいのか? |
・テーマについての小テストに十分に答えることができる。 ・テーマについて、現代どのような課題があるのかを指摘し、考察できる。
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11週 |
現代の課題を考える③:環境問題:私たちは誰に対して責任を負っているのか? |
・テーマについての小テストに十分に答えることができる。 ・テーマについて、現代どのような課題があるのかを指摘し、考察できる。
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12週 |
現代の課題を考える④:生命倫理―結局、命を大切にするってどういうこと? |
・テーマについての小テストに十分に答えることができる。 ・テーマについて、現代どのような課題があるのかを指摘し、考察できる。 ・哲学エッセイの作成を通して自身の問いと考えを表現できる
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13週 |
哲学対話① |
・哲学対話を通してテーマについて考察を深めることができる。 ・哲学対話を終えて考えたことなどを含めてレポートにまとめることができる。 ・哲学エッセイの作成を通して自身の問いと考えを表現できる
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14週 |
現代の課題を考える⑤:新型コロナと倫理―コロナ禍はどのような倫理的課題をもたらしたのか? |
・テーマについての小テストに十分に答えることができる。 ・テーマについて、現代どのような課題があるのかを指摘し、考察できる。 ・相互批評を通して哲学エッセイについて深く考察することができる。
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15週 |
授業全体のふりかえり・哲学対話② |
・哲学対話を通してテーマについて考察を深めることができる。 ・哲学対話を終えて考えたことなどを含めてレポートにまとめることができる。
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16週 |
定期試験および返却・解説 |
・第4学期の内容について試験を行ったうえで、答案を返却し、解説を行う。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地理歴史的分野 | 民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。 | 3 | 前10,前13,前14,前16 |
公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 3 | 前9,前10,前11,前13,前14,前16 |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16 |
評価割合
| 試験 | ポートフォリオ | 小テスト | エッセイ | ワークシート(哲学対話) | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 20 | 20 | 10 | 10 | 100 |
知識の基本的な理解 【知識・記憶、理解レベル】 | 30 | 0 | 20 | 0 | 0 | 50 |
思考・推論・創造への 適用力【適用レベル】 | 10 | 10 | 0 | 5 | 10 | 35 |
汎用的技能 【理解レベル】 | 0 | 5 | 0 | 5 | 0 | 10 |
態度・志向性(人間力) 【理解レベル】 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 5 |