現代社会B

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 現代社会B
科目番号 41005 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「高等学校 新公共」(第一学習社)、「クローズアップ公共 2024」(第一学習社)
担当教員 小川 泰治

到達目標

①生涯にわたる多様な自己形成に関する考え方、他者と共に生きていくことの重要性、及び望ましい社会や世界のあり方について考察できる。【自己と他者/社会についての考察】
②自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理と基礎的な政治・法の仕組みを理解することができる。【政治/法分野についての基本事項の理解】
③現代社会の特質や課題に関して、必要に応じて資料を活用しながら、議論・探究・考察ができる。【現代社会の課題の理解と考察】

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限のレベルの目安(可)未到達レベルの目安(可)
【自己と他者/社会についての考察】多様な自己形成に関する考え方、他者と共に生きていくことの重要性、及び望ましい社会や世界のあり方について、重要なキーワードを交えて具体的な事例とともに十分に考察できる。多様な自己形成に関する考え方、他者と共に生きていくことの重要性、及び望ましい社会や世界のあり方について、重要なキーワードをいくつか交えて考察できる。多様な自己形成に関する考え方、他者と共に生きていくことの重要性、及び望ましい社会や世界のあり方について、考察できる。多様な自己形成に関する考え方、他者と共に生きていくことの重要性、及び望ましい社会や世界のあり方について、十分に考察できない。
【政治/法分野についての基本事項の理解】基礎的な政治・法の仕組みについて、講義で取り上げられたキーワードを示せば、その意味や現状・課題について、適切な理解を即座に解答できる。基礎的な政治・法の仕組みについて、キーワードを示せばその意味や現状・課題について、適切な理解を選択肢の中からおおよそ解答できる。基礎的な政治・法の仕組みについて、キーワードを示せばその意味や現状・課題について、適切な理解を選択肢の中から半分程度は解答できる。基礎的な政治・法の仕組みについて、キーワードを示されても、その意味や現状・課題について、適切な理解を解答できない。
【現代社会の課題の理解と考察】現代社会の特質や課題に関して、自ら問いを立て、必要に応じて資料を活用しながら、クラスメイトともに十分な議論・探究・考察ができる。現代社会の特質や課題に関して、自ら問いを立て、必要に応じて資料を活用しながら、クラスメイトともに議論・探究・考察ができる。現代社会の特質や課題に関して、必要に応じて資料を活用しながら、クラスメイトともに議論・探究・考察に加わることができる。現代社会の特質や課題に関して、議論・探究・考察に取り組むことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
■本科目は、1Qと2Qにまたいで実施します。開講ペースは週に1回、期末試験は2Q末に実施します。

■概要
この科目は科目名は「現代社会」となっていますが、取り扱う内容は、高等学校の「公共」に対応します。そのため、教科書や資料集も高等学校のものを使用します。中学校でみなさんが学んできた「公民」分野の知識を前提としながら、「社会をつくり、ときに、変える主体になる」ための知識や態度について一緒に学んでいきます。また、必要に応じて資料集にある地図を参照することで、地理的側面から現代社会の課題にアプローチすることも目指します。
とりわけ現代社会Aでは、内容として公共的な物の見方考え方および法、政治分野をとりあげます。

■本科目の位置づけ
本科目は高専5年間で学習する社会科諸科目の導入的な役割も担っています。そのため、1つのテーマについて深く掘り下げていくよりも、現代社会の抱える様々な問題について幅広く確認することを目的としていきます。授業でふれたテーマについて、さらに自分自身で関心を持ち、2年次以降の社会科系科目の学びでさらに掘り下げていきましょう。また、今後始まる専門科目の探究型の学習やプロジェクト学習、留学、地域教育などに取り組む際には、この授業で取り扱ったテーマがさまざまなかたちで登場することになるでしょう。また、在学中に18歳を迎え、「成人」する人がほとんどです。そして高専生の多くは卒業後、技術者等の職につき、仕事をするため、社会科の知識を学ぶ機会は今後あまりないことも予想されます。この科目で学ぶ「公共」の内容には、「おとな」になるみなさんに対して社会について知っておいてほしいこと、また、身につけておいてほしい視点や態度が多く含まれています。その意味でも、高専で社会科を学ぶ意味は、実はとても大きいのです。

それでも、やはりみなさんのなかには高専という理系・技術者養成の学校で、まだ社会科の科目を学ぶことに疑問を覚える人もいるかもしれません。しかし、この授業で主題の一つとなる「私たちの(民主主義的な)社会はこれからどうあるべきだろうか」という問いは高専生にとっても大切な問いです。なぜなら、理系の専門家や技術者だって、専門家や技術者である前に社会の仕組みを考える「市民」の一員だからです。また、専門家として仕事をするうえでも「社会にはどんな科学技術が必要なのか」「どんな科学技術なら発展させてもよいのか」といった問題が必ずつきまといます。こういった問題を考えるうえで、社会科の学習を通して得る知識や考え方はきっと役に立ちます。
授業の進め方・方法:
授業計画に沿って、講義を中心に、適宜グループワークなどを取り入れながら授業を進めます。その際は、資料集や映像資料、ニュース、ICTツールなども活用しながら、問題を身近に引き付け、具体例に捉えることを目指します。
「哲学対話をしてみよう」という回については、教員が専門とする対話手法を紹介したうえで、クラス全体で話し合いを行います。対話的活動を行う際には必ずしも発言を必須とはしません。(発言の量・質を成績評価には結び付けません。)
その代わりに、他者の発言をよく聴き、共に考えているかどうか、を確認するためにワークシート(レポート)の提出を課し、成績評価の資料とする予定です。

■課題
・定期的に、テーマに対して自身の考えを記述することで受講者の授業の理解度を確認したり、対話的活動を通してなにを考えたのかを記録し、さらにどのような問いを発見したかを書き留めていくためのポートフォリオ(=各種提出物)を実施し、成績評価の資料とします。
・学生の理解度に応じて、小テストまたは中間テストで知識の定着状況を確認し、成績評価の資料とします。
注意点:
■授業の約束
教員からは以下のことをお約束します。
・みなさんにとって意味のあることだと信じた内容を一生懸命授業します。
・評価や授業の進め方を含むさまざまなことについて理不尽なやり方をしません。
・ほぼすべての正当なしかたでなされた質問、問い合わせ、要望については真摯に対応します。
受講生のみなさんには以下のことを約束してもらうようお願いをします。
・一緒に授業を受けているクラスメイトにも、授業担当者にも、迷惑となる言動はしないてください。
・教室を授業を真面目に楽しみ、学ぼうとしている人のための空間にすることに協力してください。
※グループワーク中などのスマホの使用を見つけた場合、指摘し、回収することもあります。

■その他注意点
・課題の実施、補足資料の配布、追加の説明や連絡、欠席者のための資料配布、質問の受付などを目的としてoffice365Teamsを活用します。各自の端末にTeamsをインストールし、授業前後の時間などこまめに確認をするようにしてください。

・現在宇部高専では、英語系科目以外でも日常的に英語に触れることを目的とし、授業内で英語による説明を取り入れることとしています。本講義でもそれに順じ、必要に応じて授業で取り上げる語句などに対応する英単語を紹介する、重要な文については短い英文で説明する場合があります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス:なんのためにこの科目を学ぶのか? シラバスの内容を理解し、科目を学習する意味について考察できる。
2週 公共的な空間をつくる私たち:「おとな」になるとは、どういうことだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(青年期、発達課題、多様性と共通性など)について、意味や課題を説明できる。
3週 公共的な空間における基本的原理(1):平等である、とはどういうことだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(人間の尊厳、基本的人権の保障、差別、ルールなど)について、意味や課題を説明できる。
4週 公共的な空間における基本的原理(2):民主主義とはなにか?なぜ民主主義を採用するのか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(多数決、法の支配、立憲主義など)について、意味や課題を説明できる。
5週 公共的な空間における基本的原理(3):お互いの自由を尊重するためにどのようなルールが必要だろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(自由と権利、責任と義務、他者危害の原則など)について、意味や課題を説明できる。
6週 哲学対話をしてみよう(1) 哲学対話を通して他者の意見をよく聴き、考え、質問することができる。
7週 法的な主体となる私たち(1):法によって保障されている権利にはどのようなものがあるだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(日本国憲法、自由権、平等権、社会権など)について、意味や課題を説明できる。
8週 法的な主体となる私たち(2):契約が面倒だからと、契約を避けて生きていくことはできるだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(契約自由の原則、消費者主権など)について、意味や課題を説明できる。
4thQ
9週 法的な主体となる私たち(3):裁判所がなかったらどうなるだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(司法権、三審制、民事・刑事裁判、裁判員制度など)について、意味や課題を説明できる。
10週 政治的な主体となる私たち(1):もっとよい選挙の仕組みはないのだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(選挙の4原則、日本の選挙制度と課題、多数決など)について、意味や課題を説明できる。
11週 政治的な主体となる私たち(2):私たちの声を政治家に届けるにはどうしたらよいだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(世論の形成、政党など)について、意味や課題を説明できる。
12週 政治的な主体となる私たち(3):「政治的な主体」は政治家であって、私たちのことではないのではないか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(国会と立法、内閣と行政など)について、意味や課題を説明できる。
13週 政治的な主体となる私たち(4):地域社会で私たちの意思を反映させるためにはどうしたらよいだろうか? 授業内容にあるメインの「問い」の意味を理解し、その問いを考えるためのキーワード(地方自治、災害と情報など)について、意味や課題を説明できる。
14週 哲学対話をしてみよう(2) 哲学対話を通して他者の意見をよく聴き、考え、質問することができる。
15週 期末試験 現代社会Aの学習内容について試験を行う。
16週 期末試験返却・解説 試験を返却し、解説を行う。試験問題は解説の終了後、回収する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文社会科学社会社会世界各地の人口、資源、産業の分布や動向、並びにそれらをめぐる地域相互の結びつき等について理解し、現代社会を地理的観点から説明できる。2
人間と自然環境との相互作用を前提としつつ、民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。2
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。2
第二次世界大戦以降、冷戦の展開と終結、その後現在に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。2
これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにしつつ、より良いキャリア構築を含む生涯にわたる多様な自己形成に関する考え方、他者と共に生きていくことの重要性、及び望ましい社会や世界のあり方について考察できる。2
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理と基礎的な政治・法・経済の仕組みを理解し、現代社会の諸課題について考察できる。2

評価割合

期末試験小テスト(3回程度)ポートフォリオ(各種提出物)合計
総合評価割合502525100
知識の基本的な理解 【知識 ・記憶、理解レベル】4025570
思考・推論・創造への 適用 力【適用レベル】1001020
汎用的技能 【理解レベル】0055
態度・志向性(人間力) 【理 解レベル】0055