有機化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 有機化学Ⅱ
科目番号 43020 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 1st-Q 週時間数 2
教科書/教材 ハート基礎有機化学(H.ハート著・培風館発行)/プリント
担当教員 山﨑 博人

到達目標

有機化学物質に関する基礎的な名称・構造・特徴・反応,そして反応原理を説明する。有機化学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳおよび有機化学実験と合わせて,有機化学に関する知識の有機的連携を目指す。この有機化学Ⅱでは,「4章 芳香族化合物」と 「6章 有機ハロゲン化合物」を学習する。
①芳香族化合物の構造・命名・特徴・求電子置換反応とその機構を図解できる。〔4章〕
②芳香族化合物の合成反応における配向性とその機構を求めることができる。〔4章〕 
③求核置換反応のSN1およびSN2反応を用い、説明問題を解くことができる。〔6章〕
④脱離反応であるE1およびE2を用い、問題を解くことができる。〔6章〕

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安(不可)
評価項目 ①芳香族化合物の構造・命名法・特徴・求電子置換反応とその機構を的確に図解できる芳香族化合物の構造・命名法・特徴・求電子置換反応とその機構を図解できる芳香族化合物の構造・命名法・特徴・求電子置換反応とその機構をある程度図解できる芳香族化合物の構造・命名法・特徴・求電子置換反応とその機構を的確に図解できない
評価項目 ②芳香族化合物の合成反応における配向性とその機構を的確に誘導できる芳香族化合物の合成反応における配向性とその機構を誘導できる芳香族化合物の合成反応における配向性とその機構をある程度誘導できる芳香族化合物の合成反応における配向性とその機構を的確に誘導できない
評価項目 ③SN1およびSN2反応により、脂肪族および芳香族ハロゲン化合物を他の多様な官能基に変換できることの説明問題を解くことが的確にできるSN1およびSN2反応により、脂肪族および芳香族ハロゲン化合物を他の多様な官能基に変換できることの説明問題を解くことができるSN1およびSN2反応により、脂肪族および芳香族ハロゲン化合物を他の多様な官能基に変換できることの説明問題を解くことがある程度できるSN1およびSN2反応により、脂肪族および芳香族ハロゲン化合物を他の多様な官能基に変換できることの説明問題を解くことができない
評価項目 ④脱離反応であるE1およびE2を用い、的確に問題を解くことができる脱離反応であるE1およびE2を用い、問題を解くことができる脱離反応であるE1およびE2を用い、ある程度、問題を解くことができる脱離反応であるE1およびE2を用い、問題を解くことができない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
元来,有機化学は,生命体(動植物)より得られる医薬や染料などの物質のみを扱う学問でした。その後,自然界より得られる化合物のみならず,化学者の手によって新たにつくられた有機化学物質までその中に含むようになり,現在の「有機化学は炭素化合物の化学である」という定義になりました。従って,この講義を通じて有機化学の知識を習得することは,私たちの身の回りの素材・医薬品・エネルギー資源・材料・生命体などにかかわる有機化学物質の名称・構造・特徴・反応を理解することにつながります。
*実務との関係:この科目は公設機関で機能性繊維の開発を担当していた教員が、その経験を生かし、有機化学について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
この科目は学修単位科目であるため、事前・事後学習として授業確認レポートを実施します。
学生諸君は,ただ単に勉強だと考えると少し億劫になるとは思いますが,「新しい知識を身につけるのだ」という意気込みで,臨めばまた,やる気が違ってくると思いますよ。
注意点:
授業確認レポート課題は期日までに提出して下さい。
再試験は原則として実施しません。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 4章 芳香族化合物(本講義のガイダンス) ・ベンゼンのケクレ構造式・共鳴構造モデル・軌道モデルおよび芳香族化合物の命名法について説明できる
2週 求電子置換反応 ・芳香族化合物における求電子置換反応を説明できる
3週 配向性と合成反応における配向効果 ・芳香族環を活性・不活性化する置換基を説明できる
・配向効果の重要性、多環式芳香族化合物を説明できる
4週 6章 有機ハロゲン化合物 ・求核置換反応の例について説明できる
5週 求核置換反応の機構I ・求核置換反応の機構について説明できる
・SN2反応の機構について説明できる
6週 求核置換反応の機構II ・SN1反応の機構について説明できる
・SN1とSN2の比較について説明できる
7週 脱離反応 ・脱離反応;E1およびE2脱離反応について説明できる
・脱離反応と置換反応の競合について説明できる
8週 定期試験
試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4
σ結合とπ結合について説明できる。4
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4
共鳴構造について説明できる。4
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。3
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。3前6
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。3
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4

評価割合

定期試験章末レポート授業確認レポートレポート提出状況その他合計
総合評価割合7003000100
知識の基本的な理解 【知識・記憶、理解レベル】500200070
思考・推論・創造への 適用力 【適用、分析レベル】20000020
態度・志向性(人間力) 00100010