物理化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物理化学Ⅱ
科目番号 43026 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 4th-Q 週時間数 4
教科書/教材 「PEL物理化学」福地賢治 著(実教出版)
担当教員 野本 直樹

到達目標

1. 熱力学第一法則の定義と適用方法を理解して、熱力学量の各種変化および反応熱の温度依存性を計算できる。
2. 熱力学第二法則・第三法則の定義と適用方法を理解して、種々の熱力学量と化学ポテンシャルを計算できる。
3. 相平衡の基礎となる相律を理解して、純物質および2成分系の状態図を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1熱力学第一法則の定義と適用方法を理解して、熱力学量の各種変化および反応熱の温度依存性を計算できる。熱力学第一法則の定義と適用方法を理解して、熱力学量の各種変化の計算および反応熱の温度依存性の式を導出できる。熱力学第一法則の定義と適用方法を理解して、熱力学量の各種変化を計算できる。熱力学第一法則の定義と適用方法を説明できない。
評価項目2熱力学第二法則・第三法則の定義と適用方法を理解して、種々の熱力学量と化学ポテンシャルを計算できる。熱力学第二法則・第三法則の定義と適用方法を理解して、種々の熱力学量を計算できる。熱力学第二法則・第三法則の定義と適用方法を説明できる。熱力学第二法則・第三法則の定義と適用方法を説明できない。
評価項目3相律から計算した自由度を用いて、純物質および2成分系の状態図を詳細に説明できる。相平衡の基礎となる相律を理解して、純物質および2成分系の状態図を説明できる。相平衡の基礎となる相律を理解して、純物質の状態図を説明できる。相平衡の基礎となる相律を理解できず、純物質の状態図を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学Ⅰで履修した基本的な物理量を組み合わせて構成される新たな物理量の概念とその意味について学ぶ。物理化学全般で有用な熱力学第一法則・第二法則・第三法則を学ぶ。純成分系および2成分系の相平衡と状態図を学ぶ。
※実務との関係
この科目は企業で水処理装置の設計を担当していた教員が、その経験を生かし、相平衡や化学平衡について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
物理化学は物理と化学を合わせたような学問であり、理論化学とも呼ばれている。数式が多く難しそうに見えるが、一旦身につければ問題に合わせて自分で式を導けるようになる。目に見えないエネルギーを相手にするため内容を理解することは簡単ではないが、まずは自分で計算してみることである。計算ができるようになってから式の背景にある現象について考えてみると、式の意味が理解できるようになり、物理化学の有用性を知ることができる。
注意点:
ここで学ぶ内容は物理化学Ⅰを基礎としているので、内容をしっかり復習しておくこと。また計算問題を多く解くので、授業で行った計算は簡単なものでも一度は必ず自分で計算してみること。期末試験の再試験は一切実施しない。毎回、復習として小テストを実施する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
4thQ
9週 熱力学第一法則1
熱力学第一法則2
内部エネルギーと仕事、熱の関係を説明できる。
各種変化にともなう熱力学量を計算できる。
10週 反応熱
5章まとめテスト
各種反応熱を計算できる。
5章の内容に関連する問題を解くことができる。
11週 熱力学第二法則
熱力学第三法則
熱力学第二法則を理解し、エントロピーを計算できる。
熱力学第三法則を説明できる。
12週 自由エネルギーと変化の方向
熱力学の関係式
自由エネルギーを計算し、状態変化の方向を判断できる。
マクスウェルの関係式やギブス-ヘルムホルツの式を導出できる。
13週 6章まとめテスト
相転移と相律
6章の内容に関連する問題を解くことができる。
相転移と相平衡について説明できる
14週 純物質・2成分系の相平衡
理想希薄溶液、蒸留
クラウジウス-クラペイロンの式を用いた計算ができる
ラウールの法則、ヘンリーの法則について説明できる
15週 蒸留、束一的性質
束一的性質、7章まとめテスト
実在溶液の状態図について説明できる
各種束一的性質について計算できる
16週 定期試験
試験返却
5~7章の内容に関連する問題を解くことができる。返却された定期試験を見直し、間違った問題を正しく修正できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4後9,後10
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4後9,後10
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4後11,後12
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4後12
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4後13
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4後13
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4後14
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4後14
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4後14
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4後15
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4後12

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合5050100
知識の基本的な理解304070
思考・推論・創造への適用力201030
汎用的技能000
態度・志向性(人間力)000
総合的な学習経験と創造的思考力000