生物化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 生物化学Ⅲ
科目番号 44025 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 3rd-Q 週時間数 2
教科書/教材 なし
担当教員 島袋 勝弥

到達目標

(1)タンパク質の物理化学的特性についてまとめることができる
(2)タンパク質の折りたたみ、構造解析について理解している
(3)各種タンパク質の機能と構造を関連付けて理解している

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目120種類のアミノ酸の性質を理解しており、タンパク質に関わる生体相互作用について説明できる。20種類のアミノ酸の性質を理解しており、タンパク質に関わる生体相互作用について理解している。20種類のアミノ酸の性質を理解している。20種類のアミノ酸の性質を理解していない。
評価項目2X線構造解析と単粒子クライオ電子顕微鏡について説明できる。X線構造解析と単粒子クライオ電子顕微鏡について理解している。X線構造解析、または単粒子クライオ電子顕微鏡のいずれかについて理解している。X線構造解析、または単粒子クライオ電子顕微鏡のいずれも理解していない。
評価項目3細胞骨格、分子モーター、チャネル、ポンプ、光受容タンパク質・蛍光・発光タンパク質、分子シャペロンについて理解している。細胞骨格、分子モーター、チャネル、ポンプ、光受容タンパク質・蛍光・発光タンパク質、分子シャペロンのうち、5つについて理解している。細胞骨格、分子モーター、チャネル、ポンプ、光受容タンパク質・蛍光・発光タンパク質、分子シャペロンのうち、3つについて理解している。細胞骨格、分子モーター、チャネル、ポンプ、光受容タンパク質・蛍光・発光タンパク質、分子シャペロンについて理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
3年次に受講した生物化学ⅠとⅡの知識を前提に、更により深く掘り下げて学習する。この講義では生命現象を物理化学的な視点からが理解する。事前に、物理化学の熱力学の項目を復習しておくこと。                        
授業の進め方・方法:
毎回、資料を配布する。オンラインクイズで内容の理解を深める。レポートによって、より専門的な知識も得る。
注意点:
この講義を通じて、生命現象が分子レベルで理解できるようにする。また、生物が物理・化学に従って機能していることを学ぶ。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 アミノ酸とタンパク質の多段階的な構造 20種類のアミノ酸の性質を振り返り、タンパク質の1-4次構造について復習する。
2週 タンパク質の物性
アンフィンゼンのドグマ、変性、フォールディングの熱力学、分子シャペロンについて学ぶ。
3週 タンパク質の構造解析 主なタンパク質構造解析手法、X線構造解析と単粒子クライオ電子顕微鏡について学ぶ。
4週 チャネルとポンプ 生体膜の存在、チャネルとポンプの違い、能動輸送と受動輸送、カリウムイオン選択能、P-タイプポンプについて学ぶ。
5週 モータータンパク質・細胞骨格 細胞を形作る骨、細胞骨格の特性を知る。化学エネルギーを力学エネルギーに変換する分子モータータンパク質について学習する。
6週 光センサタンパク質と生物発光 ロドプシンをモデルに光を感じる仕組みについて学ぶ。また蛍光タンパク質、発光タンパク質についても学ぶ。
7週 液-相液分離
タンパク質の5次構造とよばれる液-相液分離からみた、膜に包まれていない構造・ドロップレット、天然変性タンパク質の存在、液-相液分離から考える代謝、情報伝達、神経変性を学ぶ。
8週 期末試験 知識の定着を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。2
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。2
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。1
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。1
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。2
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。2
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。2
分化について説明できる。2
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。2
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。2
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。2
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。2
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。2
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後1
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4後1,後2,後9
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4
グリコシド結合を説明できる。4
多糖の例を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4後1
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4後4,後5,後6,後12,後13,後14
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4後1,後9
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4後1,後2,後9
タンパク質の高次構造について説明できる。4後3,後9
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4後4,後5,後6,後11,後14
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4後2,後4,後5,後6,後10
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4後6,後14,後15
解糖系の概要を説明できる。2
クエン酸回路の概要を説明できる。2
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。2
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。2
各種の光合成色素の働きを説明できる。2
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。2
炭酸固定の過程を説明できる。2

評価割合

試験レポート小テスト合計
総合評価割合602515100
基礎的能力40201575
専門的能力205025
分野横断的能力0000