到達目標
化学工学Ⅲでは、蒸留、ガス吸収の理論について説明ができ、物質収支や蒸留・吸収塔の設計のための計算ができることを目標とする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 単蒸留の物質収支が計算でき、レイリーの式を用いて留出液組成などを3つ以上計算できる。 | 単蒸留の物質収支が2つ計算でき、レイリーの式を用いて留出液組成などを2つ計算できる。 | 単蒸留の物質収支が1つ計算でき、レイリーの式を用いて留出液組成などを1つ計算できる。 | 単蒸留の物質収支が計算でき、レイリーの式を用いて留出液組成などを計算できない。 |
評価項目2 | マッケーブシール法により、2つ上の異なる条件によって精留塔の理論段数を求められ、最小理論段数と最小還流比を求められる。 | マッケーブシール法により、精留塔の理論段数を1つ求められる。 | x-y線図を描くことができる。 | x-y線図を描くことができない。 |
評価項目3 | ガス吸収の二重境膜説を説明でき、境膜物質移動係数と総括物質移動係数の関係を2つ以上計算できる。 | ガス吸収の二重境膜説を説明でき、境膜物質移動係数と総括物質移動係数の関係を1つ計算できる。 | ガス吸収の二重境膜説を説明できる。 | ガス吸収の二重境膜説を説明できない。 |
評価項目4 | 吸収塔の物質収支を2つ以上計算できる。 | 吸収塔の物質収支を1つ計算できる。 | 吸収塔について説明できる。 | 吸収塔について説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
化学工学の単位操作のうち、蒸留と吸収の理論とそれに関連する計算方法を学ぶ。
※実務との関係
この科目は企業で廃棄物処理施設(分離工程含む)の評価を担当していた教員が、その経験を生かし、蒸留や吸収の原理について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
化学工学Ⅲの授業では化学工学Ⅰで学んだ単位換算、物質収支の知識とともに物理化学で学ぶ知識も必要であるため関連する教科書を利用すること。授業の一部は動画を用いるが、動画については予習や復習に動画を活用して欲しい。
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートを実施します。
注意点:
化学工学Ⅱに引き続いて、化学工学に関する内容を学習します。化学工学Ⅲでは化学工学実験で行った蒸留について理論、実習、演習の3つによって理解度が高めることができます。実験で学んだことを思い出して授業を受けてみてください。授業中に演習や作図をすることがあるので、関数電卓とグラフ用紙を持参すること。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 蒸留の原理、二成分系の気液平衡 ラウールの法則 |
シラバスから学習の意義、授業の進め方、評価方法を理解し、自学自習に活用できる。 気液平衡を表す温度-組成線図およびx-y線図を読み取ることができ、理想溶液の場合について気液平衡組成を計算できる。 ラウールの法則に基づいて理想溶液の気液平衡組成を計算できる。
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2週 |
単蒸留とフラッシュ蒸留 |
単蒸留の物質収支が計算でき、レイリーの式を用いて留出液組成などを計算できる。 フラッシュ蒸留において物質収支式とx-y線図から留出液と缶出液の組成を求めることができる。
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3週 |
蒸留塔、連続精留の原理 連続精留塔の物質収支 |
代表的な蒸留塔の種類を挙げ、特に段塔の構造を説明できる段塔による連続精留の原理を説明できる。 精留塔の物質収支を計算でき、操作線、q線を描ける。
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4週 |
理論段数と還流比 |
マッケーブシール法により、精留塔の理論段数を求められる。 最小理論段数と最小還流比を求められる。
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5週 |
液体に対する気体の溶解平衡 吸収速度 |
ヘンリーの法則に基づいて気体の溶解平衡関係を計算できる。 吸収速度としてFickの法則について説明ができる。
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6週 |
二重境膜説 吸収塔 |
ガス吸収の二重境膜説を説明できる境膜物質移動係数と総括物質移動係数の関係を計算できる。 代表的な吸収塔の種類を挙げ、特に充填塔の特徴を説明できる。
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7週 |
吸収塔の物質収支と塔高 |
吸収塔の物質収支と塔高を計算できる。
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8週 |
まとめ |
試験問題の解説を通じて、間違った箇所を理解できる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 化学工学 | 蒸留の原理について理解できる。 | 4 | |
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。 | 4 | |
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。 | 4 | |
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。 | 4 | |
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 35 | 25 | 60 |
専門的能力 | 35 | 5 | 40 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |