物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0037 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「PEL物理化学」福地賢治編著(実教出版)
担当教員 野本 直樹

到達目標

化学反応や状態変化などのエネルギーの移動をともなう様々な現象を表すために必要な物理量や数式など物理化学の基本を学ぶ。特に熱力学の基本法則を徹底して身につける。以下の3点が到達目標レベルである。(1)物理量を表す単位を理解し、SI単位(基本単位、組立単位、接頭語)を説明できる。(2)物質の状態を理解して、三態の相互変化について説明できる。(3)気体の法則を理解して、理想気体の状態方程式から必要な物理量を計算できる。(4)気体分子運動論から気体の圧力を定義し、温度と分子運動の関係を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目(1)物理量を表す単位を理解し、SI単位を用いて、非SI単位を含む様々な物理量の単位を換算できる。物理量を表す単位を理解し、SI単位を用いて、基本的な物理量の単位を換算できる。物理量を表す単位を理解し、SI単位(基本単位、組立単位、接頭語)を説明できる。物理量を表す単位を理解できず、SI単位(基本単位、組立単位、接頭語)を説明できない。
評価項目(2)物質の状態を理解して、三態の相互変化について説明できる。物質の状態および三態の相互変化について理解できる。物質の状態を理解して、三態について説明できる。物質の状態を理解できず、三態について説明できない。
評価項目(3)気体の法則を理解して、理想気体の状態方程式から必要な物理量を計算できる。気体の法則を理解して、理想気体の状態方程式を説明できる。気体の法則および理想気体の状態方程式を理解できる。気体の法則を理解できず、状態方程式を説明できない。
評価項目(4)気体分子運動論から気体の圧力を定義し、温度と分子運動の関係を説明できる。気体分子運動論から気体の圧力を定義し、温度と分子運動の関係を理解できる。気体分子運動論から気体の圧力を定義できる。気体分子運動論から気体の圧力を定義できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
【第2学期開講】
物理化学は物理と化学を合わせたような学問分野であり、「理論化学」とも呼ばれている。物理化学を学ぶための基礎知識および物質の状態を理解することによって、物理化学全体の理解が進む。数式が多く、一見難しそうに見えるが、一旦身に付ければ、あとは問題に合わせて自分で式を導けるので、覚える式は少なくて済むようになる。エネルギーという目に見えないものを相手にするため内容を理解することは簡単ではないが、まずは自分で計算してみることである。そして、ある程度計算ができるようになったら、式の背景にある現象について考えてみよう。そうすると、式の意味が理解できるようになり、物理化学の有用性について知ることができるだろう。
授業の進め方・方法:
ここで学ぶ内容は後に続く「物理化学Ⅱ~Ⅳ」の基礎となるので、しっかり理解しておくこと。また、計算問題を多く解くので、授業で行った計算は簡単なものでも一度は必ず自分で計算してみること。再試験は一切実施しない。毎回、その日の復習として小テストを実施する。授業中の居眠り、内職、携帯電話(スマホ)操作については、大幅減点するため、集中して授業に取り組むこと。
注意点:
補助教材:「物理化学演習」小野宗三郎ら著(共立出版)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理化学の目的と役割・物質のとらえ方・単位について 物理化学を学ぶことの意義を理解している。SI基本単位を理解している。SI単位への単位換算ができる。
2週 基礎的用語
温度・圧力
基礎的用語(状態量・系・外界・境界)を理解して、身の回りのいろいろな系を分類できる。温度・圧力を定義して、理解ができる。理想気体の状態方程式を用いる問題を計算できる。
3週 熱、仕事、エネルギー 熱と熱容量、仕事、エネルギーを定義して、それぞれが計算できる。
4週 エネルギー
第1章まとめ小テスト
位置、内部、流動エネルギーを計算できる。第1章の内容を活用できる。
5週 物質の三態
状態変化、臨界点
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の状態方程式を証明できる。すべての純物質に臨界点があることを理解する。
6週 気体 気体の状態方程式を活用できる。
7週 液体の特徴と液体の変化 液体の特徴を理解して、液体の変化(蒸発・凝縮、凝固・融解)の関係を説明できる。
8週 固体 固体の特徴を理解して、結晶構造を説明できる。また、固体と液体の中間相としての液晶や柔粘性結晶を説明できる。
2ndQ
9週 固体
第2章まとめ小テスト
結晶、非晶、液晶、柔粘性結晶等について説明できる。
第2章の内容を活用できる。
10週 理想気体の性質、理想気体の状態方程式、混合気体の性質 気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の状態方程式を証明できる。
11週 気体分子運動論 エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。エンタルピーの温度依存性を計算できる。
12週 多原子分子の運動エネルギーと熱容量 多原子分子の運動エネルギー、熱容量を計算できる。
13週 分子速度の分布 気体分子の平均速度を計算できる。
14週 第3章まとめ小テスト 第3章の内容を活用できる。
15週 定期試験
16週 答案返却・解答解説全体の学習事項のまとめ授業改善アンケートの実施 試験問題の解説を通じて間違った箇所を理解している。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4
混合気体の分圧の計算ができる。4
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4

評価割合

試験小テストレポート合計
総合評価割合50500100
知識の基本的な理解3040070
思考・推論・創造への適用力2010030