本科目は無機分析化学実験Iで習得した器具の使用方法,実験データの取扱い,計算方法を使って,基本的な定性・定量分析実験に関する知識と技術を習得する。次の3点が到達レベルである。
(1)定量分析(キレート滴定,酸化還元滴定,沈殿滴定)を実験できる。
(2)無機陽イオンの定性分析(系統的定性分析と陽イオンの各反応)を実験できる。
(3)報告書(レポート)の作成方法を実践できる。
概要:
【第1,2学期開講】
本科目は無機分析化学実験Iで習得した器具の使用方法,実験データの取扱い,計算方法を使って,基本的な定性・定量分析実験に関する知識と技術を習得する。
授業の進め方・方法:
【学習上の留意点・助言】実験は理工系学科の教育の根幹をなし,大きな意義を持つ。本実験では無機分析化学実験Iで習得した技術を定性・定量分析で実践する。すべての物質は日常生活とは異なり高濃度のため危険と考えてよい。しっかりとした心構えで臨み,予習をきちんと行うことが履修上の要点である。準備学習としては,テキスト・補助資料を通読のこと。特に安全委関わる部分(試薬の性質・反応など)を熟読しておくこと。レポート作成としては,関連する基礎知識,またなぜ結果がそうなったのかその原理を,また予想された結果と異なった理由・原因,疑問に思うこと(課題発見力)をしっかりと考察すること。
【成績評価方法】各実験テーマごとに実験結果報告書(小テスト含む)及び報告書(レポート)を提出させ,実験に対する姿勢(実験ノート,予習状況,当日の実験操作)と共に総合的に評価する。単位を取得するためには原則としてすべてのレポートを提出する必要がある。報告書の採点には,別紙のルーブリック資料がありますので,授業開始時に配布します。原則として,正当な理由なくして欠席した場合には単位を与えない。
注意点:
補助教材:「ダイナミックワイド図説化学」 (東京書籍),「溶液の化学と濃度計算」 立屋敷哲著 (丸善)
なお、以下の授業計画における○は座学、★は実験項目を示す。
また、実験は★定性分析⇒★定量分析の順に行う。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
【定性分析】 ○金属イオンの反応と系統分析の準備 |
(1) 基本操作:蒸発乾固
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2週 |
★1,2属金属イオンの系統分析
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(1)第1,2属金属イオンの系統分析ができる。
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3週 |
★3,4属金属イオンの系統分析 |
(1)第3,4属金属イオンの系統分析ができる。
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4週 |
★1,2,3,4属金属イオンの系統分析 |
(1)第1,2,3,4属金属イオンの系統分析が連続してできる。
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5週 |
★定性実技試験 |
(1)未知試料の系統分析
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6週 |
★セラミックスの作製と評価 |
(1)セッコウ硬化体の作製と簡易評価ができる。
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7週 |
【定量分析】 ○キレート滴定の説明 ★キレート滴定 ★定量実技試験 |
(1)ZnO標準溶液の調製、(2)EDTA標準溶液の調製と標定ができる。
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8週 |
★キレート滴定 |
(1)MgSO4・7H2O中のMgの定量、(2)宇部水道水中の硬度測定ができる。
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4thQ |
9週 |
○沈殿滴定の説明 ★沈殿滴定
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(1)硝酸銀の調製、(2)Mohr法による硝酸銀の標定ができる。
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10週 |
★沈殿滴定
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(1)Fajans法による硝酸銀の標定、(2)硝酸銀による塩化銅(Ⅱ)溶液の標定ができる。
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11週 |
○I2法による酸化還元滴定の説明 ★酸化還元滴定(I2法)
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(1)I2標準溶液の調製、(2)Na2S2O3標準溶液の調製と標定ができる。
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12週 |
★酸化還元滴定(I2法)
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(3)宇部水道水中の溶存酸素の定量ができる。
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13週 |
○KMnO4法による酸化還元滴定の説明 ★酸化還元滴定(KMnO4法)
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(1)Na2C2O4標準溶液の調製、(2)KMnO4溶液の標定、(3)モール塩の標定ができる。
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14週 |
★定量実技試験 =酸化還元滴定(KMnO4法) |
(1)定量分析の実技試験(H2O2の標定)
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15週 |
まとめ ★後片付け |
過去の小テストの解答および実技試験の説明講評を理解し、次回以降の操作に生かす。 全体の学習事項のまとめを行う。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。 | 4 | |
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 4 | |