生物化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 生物化学Ⅲ
科目番号 0113 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 ストライヤー 基礎生化学学 (東京化学同人)
担当教員 島袋 勝弥

到達目標

(1)生体構成成分である糖、タンパク質、脂質、核酸の構成要素および構造、性質をまとめることができる。
(2)生体分子間に働く相互作用の種類、水の物理的、化学的な性質を考えることができる
(3)糖、アミノ酸、脂肪酸などのうち基本的な物質については、その構造を考えることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目14種類の生体分子の化学性質について理解しており、それぞれの代表的な物質の名称をまとめることができる。4種類の生体分子の化学性質について理解している。4種類の生体分子の化学性質について区別がつく生体分子に糖、タンパク質、脂質、核酸の4種類があることを知らない。
評価項目2イオン結合、水素結合、疎水結合などの生体分子に働く相互作用について考えることができる。水素結合、イオン結合、疎水相互作用などを知っており、区別することができる。水素結合、イオン結合、疎水相互作用などを知っている生体分子の相互作用として、水素結合、イオン結合、疎水相互作用などを挙げることができない。
評価項目3アミノ酸については20種類すべての構造を書くことができ、糖、核酸、脂質は代表的なものの構造をまとめることができる。アミノ酸については20種類の構造が区別でき、、糖、核酸、脂質は代表的なものの構造が区別できる。アミノ酸については20種類の構造が違うことを知っており、糖、核酸、脂質は複数種類があることを知っているアミノ酸、糖、核酸、そして脂質の基本的な構造が書けない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義の受講者は生物コースの学生であるため、3年次に受講した生物化学ⅠとⅡの復習を行うとともに、更により深い知識を習得させることを目的としている。この講義では生体にとって大切な物質である糖、タンパク質、脂質、核酸の構造とその機能について講義をする。                                                                                        
授業の進め方・方法:
「生物化学」とは、「生物」の「化学」です。だから、有機化学や無機化学と同様に化学の一分野になります。これまでに低学年で培ってきた基礎的な化学の知識が、生物化学にも大切になってきます。私達の身の回りには、様々な化学物質が溢れています。忘れがちですが、我々人間も化学物質の塊です。生物化学はそのような生物の中にある化学物質に着目していきます。第3学年の生物化学I、IIで既に生物化学の世界に触れてきたと思います。人間の体には、およそ3万種類ものタンパク質が存在し、そして、それらの情報はDNAに刻まれている、歳を取れば、体に脂肪もつきやすくなるし、甘い食べ物に含まれる糖を取り過ぎてはいけないなどの話はこれまでに何度も耳にしたことがあるでしょう。皆さんは、タンパク質、DNA,、脂肪、そして糖という言葉に対して、まだ、具体的なイメージを持てないかもしれません。生物化学IIIを通して、生物を構成する物質がどのような化学的な性質を持っているのか、より詳しく見ていきます。化学の目から見ると、人間も細菌も大した違いがないことがわかり、驚くかもしれません。
注意点:
この講義を通じて、主要な4つの生体分子、糖、アミノ酸、脂質、そして核酸の化学的な性質を学ぶ。生物化学は、「生物」の化学であるので、これまで学んできた化学の知識の応用だと考えてほしい。授業には、予習をして望むこと。復習を兼ねた自学自習用に少テストを課す。この生物物理IIIの内容は、後期に開講される生物化学IVの土台となるので、しっかりと学習し、身に付けること。この授業は、日本語と英語のバイリンガルで授業を実施します。英語力に不安のある人は、十分な予習と復習をして授業を受けるようにしてください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生体分子の概要 生物化学ⅢとⅣの全体的な流れを説明し、生体中の水について説明する。
2週 水の性質 水の物理学的、化学的な性質を知り、それが生体反応にどのように関わるか説明する。
3週 糖(炭水化物)① 単糖類について、その構造および機能について説明する。
4週 糖(炭水化物)② 多糖類について、その構造および機能について説明する。
5週 アミノ酸とタンパク質① タンパク質の種類および機能について概説し、それを構成するアミノ酸について説明する。
6週 アミノ酸とタンパク質② アミノ酸の構造と性質について説明する。
7週 アミノ酸とタンパク質③ ペプチドの構造とアミノ酸配列の決定の仕方等について説明および演習を行う。
8週 中間まとめ 中間まとめとして試験を実施する。
2ndQ
9週 タンパク質の構造 タンパク質の立体構造について説明する。
10週 酵素 酵素の性質、分類等について概説する。
11週 脂質① 脂肪酸の構造および性質について説明する。
12週 脂質② 自然界に広く分布する脂質について説明する。
13週 核酸とその成分① 核酸の基本的構造について説明する。
14週 核酸とその成分② 核酸の性質等について説明する。
15週 前期末試験、学年末試験
16週 まとめ 全体の学習事項のまとめを行う。また授業評価アンケートを行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。2
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。2
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。1
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。1
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。2
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。2
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。2
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。2
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。2
分化について説明できる。2
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。2
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。2
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。2
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。2
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。2
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4
グリコシド結合を説明できる。4
多糖の例を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。3
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4
タンパク質の高次構造について説明できる。4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
DNAの半保存的複製を説明できる。2
RNAの種類と働きを列記できる。2
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。2
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4
解糖系の概要を説明できる。2
クエン酸回路の概要を説明できる。2
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。2
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。2
各種の光合成色素の働きを説明できる。2
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。2
炭酸固定の過程を説明できる。2

評価割合

レポート小テスト合計
総合評価割合4060100
基礎的能力02020
専門的能力404080
分野横断的能力000