法学A

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 法学A
科目番号 54002 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 経営情報学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「はじめての法律学 HとJの物語 第6版」松井茂記 他(有斐閣アルマ)、「法学六法2024」(信山社)
担当教員 濵本 千恵子

到達目標

①日本における犯罪の成立要件を説明できる。刑罰の意味について、応報刑論と目的刑論の双方の見解を説明できる。
②刑事裁判と民事裁判の役割と目的の違いを説明できる。
③われわれが日常的に行っている「契約」を中心にして、私的自治の原則の意味とその例外を説明できる。私的自治の原則と消費者保護の必要性、企業の法令遵守について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限のレベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1社会における法の意義と役割を説明できる。法とその他の社会規範の違いを指摘できる。制定機関の違いによって法を分類できる。制定機関ごとに法を分類することができない。
評価項目2犯罪と刑罰の意味について、学説をふまえた上で、自己の見解を説明できる。犯罪の成立要件を説明できる。刑事裁判と民事裁判の違いを説明できる。刑事裁判と民事裁判の違いを説明できる。刑事裁判と民事裁判の違いを説明できない。
評価項目3過失責任主義とその例外について、具体的な法令を挙げて説明できる。過失責任主義とその例外について説明できる。過失責任主義について説明できる。過失責任主義について説明できない。
評価項目4私的自治の原則と、その例外を規定する各種の法律について説明できる。具体的な事案について契約成立の有無を答えることができる。私的自治の原則について説明できる。私的自治の原則について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
「法学」の講義全体としては「憲法」、「刑法」、「民法」を主軸に、関連する法律を確認する。本講義では、刑法、および民法について学ぶ。ただし講義の中で法律相談を行うわけではない。具体的なケースを上げながら、法律の根底にある「法の目的・役割」を探っていく。
授業の進め方・方法:
講義は教科書、および配布資料を中心に進める。教員が一方的に話すのではなく、可能な限り学生の発言をうながす。実際の事件や事故、法律上のトラブルなどについて、世間で関心の高い時事問題があれば、講義の中で扱うこともある。本講義は学修単位科目であるため、毎回の講義の前後に事前事後学習を実施する。また、1つの単元が終了するごとに小テストを実施し、授業内容の確認を行う。
注意点:
日本は法の支配する立憲国家である。日本における様々な制度の背景には法が存在し、これらの制度が我々の生活を支えている。法学を学習する際には、我々の生活と法が密接な関係にあることを念頭に置く必要がある。成績は、学期末の試験に加え、小テスト、事前事後学習確認テスト、レポートを総合的に評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入・法とは何か
【第1回】シラバスの内容を理解できる。法の分類、宗教・道徳と言った社会規範と法との違いを説明できる。
2週 刑法 教科書の事例をもとに、「犯罪」に該当する行為を挙げることができる。刑罰の種類を指摘できる。
3週 刑法
刑罰を科す意味について、自己の見解を説明できる。
4週 刑法
自由主義社会における刑法の原則を説明できる。罪刑法定主義とその派生原則の内容を説明できる。
5週 刑法 犯罪成立要件(構成要件、違法性など)を説明できる。
6週 刑法 具体的な事例を使い、刑罰の「量」を計算できる。
7週 刑事訴訟法 裁判の種類を説明できる。刑事裁判の「かたち」について、糾問主義と弾劾主義の違いを説明できる。
8週 刑事訴訟法
憲法や刑訴法が、捜査段階で被疑者・被告人の人権を保障するためにどのような規定を置いているか説明できる。
2ndQ
9週 刑事訴訟法 憲法や刑訴法が、公判段階で被疑者・被告人の人権を保障するためにどのような規定を置いているか説明できる。略式裁判、裁判員制度の特徴を説明できる。
10週 民法Ⅰ・不法行為法 刑事裁判と民事裁判の違いを説明できる。一般的不法行為の成立要件を説明できる。
11週 民法Ⅰ・不法行為法 特殊な不法行為の種類とその必要性を、被害者救済の視点から説明できる。
12週 民法Ⅱ・契約法 近代私法の基本ルール「私的自治の原則」の意味と、自由主義社会との関係を説明できる。
13週 民法Ⅱ・契約法
法律行為とはどのような効果をもたらすかを説明できる。契約成立・不成立のケースを、事例を挙げて説明できる。
14週 民法Ⅱ・契約法 法律行為の主体となる「人」について、権利能力、意思能力、行為能力の関係を説明できる。私法上の権利の種類や、法律行為の効果を説明できる。
15週 期末試験 法学Aの学習内容について試験を行う。
16週 試験返却・解説 期末試験を返却し、解説を行う。試験は解説終了後、回収する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文社会科学社会公民的分野自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前7,前10
工学基礎技術者倫理技術者倫理説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。2前2,前3,前4,前5
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3前10,前11
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3前2,前3,前10,前11,前12,前13,前14
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3前13,前14
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3前10,前11,前12,前13,前14
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3前2,前13
専門的能力分野別の専門工学経済・ビジネス系分野法律権利・義務関係について説明できる。4前12,前13,前14
自然人・法人概念を理解し、その能力について説明できる。4前13,前14
物権と債権の概念、その種類について説明できる。4前13,前14
契約と意思表示について説明できる。4前12,前13,前14
契約と物権変動について説明できる。4前13,前14
契約の種類について説明できる。4前12,前13,前14
売買契約の法律関係について説明できる。4前12,前13,前14
代理制度と時効制度について説明できる。3前13,前14
契約以外の法律行為について説明できる。3前12,前13,前14
産業財産権について説明できる。3前12,前13,前14
著作権について説明できる。3前12,前13,前14

評価割合

期末試験小テスト事前事後学習確認テストポートフォリオその他合計
総合評価割合601515100100
基礎的能力4010105065
専門的能力20555035
分野横断的能力000000