システム設計論Ⅰ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 システム設計論Ⅰ
科目番号 0024 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 経営情報学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 効果的プログラム開発技法 第5版,国友義久 (近代科学社)
担当教員 武藤 義彦

到達目標

到達目標は,(1)各開発工程モデルの特徴および必要性の理解,(2)DFDとE-R図を用いた業務のモデル化および複合設計手順の理解,(3)画面設計・データ正規化・テストケース設計の実現である。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1各開発工程モデルの特徴および必要性を整理し,評価できる。古典的な開発工程であるウォーターフォールモデルとプロトタイプモデルの特徴を整理できる。ウォーターフォールモデルの特徴を整理できる。ウォーターフォールモデルの特徴を整理できない。
評価項目2小規模な業務に対して,DFDとER図を適用しモデル化できるとともに,DFD関連文書を用いた詳細化ができる。小規模な業務に対して,DFDとER図を適用しモデル化できる。数ステップからなる業務をDFDとER図を用いてモデル化できる。数ステップからなる業務をDFDとER図を用いてモデル化できない。
評価項目3複合設計におけるモジュール独立性を検討し,STS分割・トランザクション分割による実装計画を立てることができる。複合設計におけるモジュール独立性に関して,モジュール強度とモジュール結合度を検討できる。複合設計におけるモジュール独立性に関して,モジュール強度を考えることができる。複合設計におけるモジュール独立性に関して,モジュール強度を考えることができない。
評価項目4画面設計においてユーザビリティを高める要素を検討し,画面体系図・画面遷移図を作ることができる。画面設計においてユーザビリティを高める要素を検討できる。画面設計におけるユーザビリティの重要性を説明できる。画面設計におけるユーザビリティの重要性を説明できない。
評価項目5自ら主キーを定めた上で第2・第3正規化を実行し,その整合性を評価できる。主キーの設定されたデータの正規化において第2・第3正規化を実行し,その整合性を評価できる。データ正規化において第1正規化(繰り返し部分の独立)を実行し,他者へ説明できる。データ正規化において第1正規化の必要性を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE (d)-(3) 説明 閉じる
教育目標 (B)① 説明 閉じる
教育目標 (B)② 説明 閉じる

教育方法等

概要:
第3学期開講
本講義は構造化設計をテーマとし,最初に情報システム開発工程モデルおよび業務分析手法としてDFDとE-Rモデルを取り上げる。その後,モジュールの独立性とモジュール分割手法に重点を置いて複合設計を詳説する。最後に,ユーザビリティを意識した画面設計および各種のテスト技法を解説する。
授業の進め方・方法:
90分間の授業時間を60分間の講義と30分間の演習に分割する。講義では,各回の内容のうち重要なポイントおよび例題をまとめたプリントを配布しながら説明する。その後,当日の講義と関連した演習問題を解く。
注意点:
上述のように,講義で取り上げる内容のうち重要なポイントをまとめたプリントを配布するが,教科書も併せて理解することが期待される。本講義で用いるテキストにはシステム設計の考え方が随所に記述されており,各手法の役割が詳細に述べられているためである。故に,講義の時間内に取り上げた内容が全てでない。
また,DFDとE-R図,画面遷移図等の演習では,どこまで詳細化するかによって結果が異なり,故にモデラーによって成果物に違いが生じる。つまり,自分がどのように考えて最終的な結果に到達したかを説明できなければならない。
後半に取り上げる「複合化設計」では,プログラム例を示しながらモジュールの独立性に言及するため,C言語における関数,Java言語におけるクラスとメソッドを用いたプログラムの記述ができる(少なくともプログラムを読める)知識が要求される。

(1) 各開発工程モデルの特徴および必要性を整理・評価できる。(16%)
(2) DFDや E-R図を用いて業務をモデル化できる。(16%)
(3) 複合設計の手順を理解し,実装できる。(16%)
(4) 適切な画面設計とテストケース設計を実現できる。(16%)
(5) 自ら主キーを定めたうえで,データの正規化ができる。(16%)
(6) 授業内容に挙げた各項目に関する演習課題を解くことができる。(20%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 情報システムを取り巻く環境の変化および現在の情報システム開発の抱える問題点 マネジメント支援,グローバルシステムへと変遷した情報システムを取り巻く環境の変化を理解できる。
・開発期間の短縮等,現在の問題点を理解できる。
2週 情報システム開発工程:ウォーターフォールモデル ウォーターフォールモデルの各局面の役割を理解し,本モデルの抱える問題点を把握できる。
3週 情報システム開発工程:プロトタイプモデル,スパイラルモデル,アジャイルモデル ウォーターフォールモデルのバリエーションと位置付けられるその他のモデルにおける改善点および特徴を理解できる。
4週 構造化分析の必要性と抽象化,階層化,分割統治,形式化の概念 ・ユーザニーズの把握,データ収集能力,要件の不透明さ等,システム要件定義時の問題点を把握できる。
・抽象化,階層化,分割統治の概念を理解できる。
5週 データフローダイアグラム (DFD):DFDによるモデルの記述,DFD関連文書による詳細化 ・DFDの構成要素と規約を理解できる。
・DFDを用いて物理/論理モデルを表現できる。
・DFD関連文書を記述できる。
6週 E-Rモデルによるデータの関連性の記述 ・データ中心アプローチの必要性を理解できる。
・エンティティの概念とそれらの関連を記述できる。
・E-Rモデルを用いて業務をモデル化できる。
7週 構造化設計による複雑さの最小化:分割統治,独立性,強度,階層化;IPOダイアグラムによる詳細化 ・複雑さの最小化に必要な分割統治,独立性,強度,階層化の重要性を理解できる。
・IPOダイアグラムを用いて業務機能を記述できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 複合設計におけるモジュール独立性:モジュール強度,モジュール結合度 ・構造化設計の概念をプログラム設計に適用する上でモジュール化の意義を理解できる。
・モジュール強度/結合度の特徴を理解できる。
10週 複合設計の手順:STS分割,トランザクション分割,共通機能分割 ・複合設計の代表的な手順であるSTS分割,トランザクション分割,共通機能分割の考え方を理解できる。
・具体的な事例をモジュール構造へと展開できる。
11週 複合設計の結果に対するレビュー モジュール構造の評価指標であるモジュールの独立性,制御範囲,モジュールの大きさ/簡潔さの測定方法を理解できる。
12週 画面設計:ユーザビリティの要件,画面体系図と画面遷移図 ・ユーザビリティの高い画面レイアウトの特徴を理解できる。
・画面体系図と画面遷移図を記述できる。
13週 データの正規化 ・データ正規化の必要性を理解できる。
・1次~3次正規化の観点を理解し,具体的な事例に適用できる。
14週 テスト工程:ソフトウェアテストの手順,テストケースの設計 ・ソフトウェア・テストの手順を理解できる。
・ホワイトボックステストとブラックボックステストそれぞれに応じたテストケースを設計できる。
15週 期末試験
16週 学習事項のまとめおよび授業改善アンケートの実施 情報システム設計・開発の観点を整理し,DFDやE-R図による記述,画面設計における観点,複合設計の観点および手順を関連付けることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
知識の基本的な理解 【知識・記憶、理解レベル】4000001050
思考・推論・創造への 適用力【適用、分析レベル】4000001050
汎用的技能 【  】0000000
態度・志向性(人間力) 【  】0000000
総合的な学習経験と 創造的思考力【  】0000000