到達目標
(1) TCP/IPを構成する要素を理解し,ネットワークのもつ冗長性の重要性を理解できる。
(2) セキュリティに関する問題点を認識し,それを解決する各技術の長所と短所を理解できる。
(3) 急速に普及した無線LANの特徴およびセキュリティ上の問題点を理解できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安(優) | 標準的な到達レベルの目安(良) | 最低限の到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安(不可) |
評価項目1 | 誤り訂正の理論およびパケット分割の必要性をまとめ,評価できる。 | ARQにおけるRTO決定アルゴリズムおよびルーティングテーブル構成など,実装レベルを評価できる。 | OSI参照モデルおよびネットワークトポロジについて整理できる。 | OSI参照モデルおよびネットワークトポロジについて整理できない。 |
評価項目2 | 共通鍵暗号・公開鍵暗号の概要およびDESやRSAの実装を整理し,評価できる。 | ポートスキャンやDoS等の準備行動の技術的背景を評価できる。 | 不正アクセス事例を把握し,セキュリティ確保の必要性を整理できる。 | 不正アクセス事例を把握し,セキュリティ確保の必要性を整理できない。 |
評価項目3 | WEP/WPA/WPA2の技術的背景であるTKIP, AES等の暗号化技術の詳細を整理し,評価できる。 | 無線LAN高速化の基本技術であるMIMOとチャネル・ボンディングの考え方を評価できる。 | CSMA/CAの仕組みおよびIEEE802.11a/b/g/n/ac の特徴を整理できる。 | CSMA/CAの仕組みおよびIEEE802.11a/b/g/n/ac の特徴を整理できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
コンピュータ・ネットワークについて,技術的な側面を学ぶことで現在の技術の制約や応用可能性を学ぶ。最初に基礎技術である TCP/IP に関して,IPレベルでの誤り制御やルーティングおよび TCP レベルでの高次制御を説明する。その後,アプリケーション・プロトコルを概観する。後半では,現代のネットワークにおいて重視されるセキュリティ確保の技術を説明する。
※実務との関係
この科目は企業でTCP/IP関連のシステム設計・構築を担当していた教員が、その経験を生かし,TCP/IPの設計思想,実装およびセキュリティについて講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
スライドを多用し,授業計画に列挙した個々の技術を説明する。また,個々の技術に対応したレポート課題を課す。
ネットワーク技術を含む情報技術分野はアップデートが頻繁であり,10年前の常識があっという間に通用しなくなる。講義中に最新情報を提供できるよう努める
なお,授業で利用するスライドの縮小版を授業で配布するとともに,関連情報と併せて Web ページで公開する。
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートを実施します。
注意点:
情報ネットワークを支える技術は,暗号化技術を除けば,単純なアルゴリズムの集まりである。故に,論理的に考えれば技術概要を理解するのは容易と言える。技術的な詳細は概ね RFC (Request For Comments) に書かれており,講義で取り上げるテーマと関連した RFC を随時,紹介するから,関心のある者は各自で読むことを勧める。
暗号化技術は数学,特に近年は代数学が多用されており,独力での理解が困難になりつつあるが,講義の最中に関連書籍を紹介するから,関心のある者は読んで欲しい。
指定した教科書がなくても理解できるように講義を進めるが,技術の詳細の理解やレポート課題に取り組む上では購入した方がよい。なお,この教科書はエンジニア向けに書かれているため,将来的にも役立つだろう。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
TCP/IPの基礎: ・OSI参照モデルと TCP/IP ・IPv4からv6への移行 ・ネットワークトポロジの実装(イーサネット (CSMA/CD),トークンリング) |
・OSI参照モデルとTCP/IP階層モデルを対応付け,各層の役割を理解できる。 ・パケットの概念,IPヘッダ,TCPヘッダの有する情報,IPアドレスクラス,DNSの概要を理解できる。 ・コンテンション方式,トークンパッシング方式それぞれの仕組み,特徴,利点・欠点を理解できる。
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2週 |
誤り制御: ・誤り制御の考え方 ・ARQ (Automatic Repeat reQuest) と FEC (forward Error Correction) ・パリティ損失の検出方法,パリティチェック,ハミング符号 |
・Stop-and-Wait, Go-Back-N, Selective Repeat の各ARQの考え方および現実的な RTO の決定方法を理解できる。 ・FECの必要性と概要を理解できる。 ・CRC誤り検出,ハミング符号による誤り訂正の理論的背景を理解できる。
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3週 |
IP: ・ルーティングの概念,RIP (Routing Information Protocol), OSPF (Open Shortest Path First) ・IPの分割処理と再構築処理,ARP, ICMP |
・ルーティングの概要を理解できる。 ・RIP におけるルーティングテーブルを構築できる。 ・RIP と OSPF の組み合わせが現実的解だと理解できる。 ・様々なデータリンク間での通信のためのパケット分割の必要性を理解できる。
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4週 |
TCP:TCPの基礎,ウィンドウ制御,フロー制御 中間まとめ |
・通信速度を向上させるためのウィンドウ制御とフロー制御の必要性を理解できる。 ・輻輳制御によるネットワークの混雑解消の仕組みを理解できる。 ・中間まとめとしてネットワークトポロジ,ルーティング,パケット分割を再整理するとともに,中間まとめ試験を実施する。
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5週 |
アプリケーションプロトコル:DNS, WWW, 電子メール,遠隔ログイン セキュリティ(1):ネットワーク・セキュリティの概要 |
・HTTP, Cookie, SMTP, POP, telnet の各プロトコルの概要を理解できる。 ・不正アクセス事例を把握し,セキュリティ確保の必要性を理解できるとともに,ポートスキャンやDoS等の準備行動の技術的背景を理解し説明できる。
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6週 |
セキュリティ(2):共通鍵・公開鍵暗号と電子署名の理論およびその実装 無線LANの概要:IEEE802.11規格,CDMA/CA |
・共通鍵暗号・公開鍵暗号の概要を理解するとともに,DESやRSAの実装を理解できる。 ・共通/公開鍵暗号のハイブリッドの必要性を理解できる。 ・CSMA/CAの仕組みと特徴を理解できる。 ・IEEE802.11a/b/g/n/ac の特徴を説明できる。 ・MIMOとチャネル・ボンディングの概要を説明できる。
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7週 |
無線LANのセキュリティ:WEP/WPA/WPA2とその技術 無線PAN (Personal Area Network):IEEE820.15, RFID, Bluetooth, ZigBee |
・ワイヤレスネットワーク特有の脆弱性を認識できる。 ・WEP/WPA/WPA2の概要の理解とともの,その技術的背景であるTKIP, AES等の暗号化技術の詳細を理解できる。 ・PANの必要性,BluttothやZigBeeの仕様を理解できる。 ・Bluetooth,ZigBeeのネットワーク構成を理解できる。
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8週 |
学習事項のまとめおよび授業改善アンケートの実施 |
・情報ネットワークを支える技術を整理し,wired / wireless / mobile それぞれの分野での技術の共通性や特性を理解できる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 100 |
知識の基本的な理解 【知識・記憶、理解レベル】 | 35 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 | 50 |
思考・推論・創造への 適用力 【適用、分析レベル】 | 35 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 | 50 |
汎用的技能 【 】 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
態度・志向性(人間力) 【 】 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
総合的な学習経験と 創造的思考力 【 】 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |