トライボロジー

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 トライボロジー
科目番号 62007 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 3rd-Q 週時間数 4
教科書/教材 「はじめてのトライボロジー」 佐々木信也他著 (講談社)
担当教員 後藤 実

到達目標

トライボロジーの科目における到達目標レベルは次の通りである。
1)固体間の摩擦・摩耗現象の基礎が理解できる。
2)潤滑油による潤滑の基礎が理解できる。
3)簡単な機械要素の摩擦損失低減や耐摩耗性の向上を図るための方針を立案する事が出来る。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1固体間の接触状態を考慮した摩擦・摩耗現象を定量的に理解できる。固体間の接触状態を考慮した摩擦・摩耗現象を定性的に理解できる。固体間の摩擦・摩耗現象の基礎が理解できる。固体間の摩擦・摩耗現象の基礎が理解できない。
評価項目2レイノルズ方程式を用いた動圧軸受の潤滑理論を定量的に理解できる。潤滑油に含まれる各種添加剤による境界潤滑の基礎が理解できる。潤滑油による潤滑の基礎が理解できる。潤滑油による潤滑の基礎が理解できない。
評価項目3機械要素の摩擦損失低減や耐摩耗性の向上を図るための具体的な潤滑法を複数立案し、それらの得失を理解出来る。機械要素の摩擦損失低減や耐摩耗性の向上を図るための具体的な潤滑法を立案出来る。簡単な機械要素の摩擦損失低減や耐摩耗性の向上を図るための方針を立案出来る。簡単な機械要素の摩擦損失低減や耐摩耗性の向上を図るための方針を立案出来ない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係
この科目は企業で商用車用ディーゼルエンジン省燃費・環境技術の研究開発およびトラック車体機構の研究開発を担当していた教員が、その経験を生かし、エネルギー損失低減や機械システムの耐久性・信頼性向上に必要不可欠な摩擦・摩耗現象の基礎と潤滑技術について指定した専門書を参照しながら対話を主とした講義形式で授業を行うものである。

トライボロジーは1966年に公表されたJOSTレポートにおいて「相対運動をする2物体間の相互作用をおよぼしあう表面、およびこれに関連する諸問題と実地応用に関する科学と技術」と定義されている比較的新しい学問領域である。トライボロジーが取り扱う対象は機械の摩擦・摩耗のみならず、物理・化学などの自然科学の分野や材料学はもとより電気・電子工学なども含まれる学際領域の学問分野である。実際の工業界においても、摩擦・摩耗・潤滑に関する技術課題は機械・化学・生物・地学・電気・電子などありとあらゆる業種において存在し、その課題克服への要望は今後も絶えることはないだろう。この複雑な摩擦・摩耗現象を解明し、人類の役に立つ技術へと変えていく研究者がトライボロジストであり、トライボロジストは複数の専門分野にわたる知識と広い視野そして深い洞察力と高いコミニュケーション能力が必要とされる。このトライボロジーの授業をきっかけに、トライボロジーが持つ学際的な課題に取り組む面白さを感じ、広い視野と旺盛な好奇心をもったトライボロジストの卵が巣立って行ってくれることを願ってやまない。
授業の進め方・方法:
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートや口頭試問等を実施します。
注意点:
トライボロジーは幅広い学術分野にわたる学問であるので、各自の専門外の分野についても積極的に予習・復習を行うこと。
講義の中で理解できない点や不明な点は積極的に質問し、極力その授業中に解決するよう留意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 第1回トライボロジーの概要 第2回固体の表面と接触① トライボロジーの歴史や位置づけ、およびトライボロジーが目指すものを理解できる。固体表面の形状を表す粗さパラメータや固体表面層の構造と性質について理解できる。
2週 第3回固体の表面と接触② 第4回乾燥摩擦 個体間の接触におけるヘルツ接触および真実接触面積の概念を理解できる。すべり摩擦の基本法則と摩擦の凝着理論の関係について理解できる。また、摩擦の掘り起こし効果、スティックスリップ現象、および、閃光温度について理解できる。
3週 第5回潤滑油 第6回グリース 潤滑油の構成と、基油および添加剤の作用について理解できる。グリースの構成と作用について理解できる。
4週 第7回境界潤滑と混合潤滑 第8回流体潤滑理論と動圧軸受 境界潤滑と混合潤滑の違いをストライベック線図を用いて理解できる。流体潤滑理論の基礎と動圧軸受への応用について理解できる。
5週 第9回摩耗 第10回トライボマテリアルと固体潤滑 摩耗形態とその解析モデルについて理解できる。トライボマテリアルの種類と固体潤滑理論について理解できる。
6週 第11回摩擦・摩耗試験 第12回表面の計測・分析 摩擦・摩耗試験の目的と分類を理解できる。トライボロジーにおける表面の計測・分析の目的と意義を理解し、各種計測・分析技術の基本原理と留意点を理解できる。
7週 第13回ナノトライボロジー 第14回トライボロジー最前線 ミクロな領域の摩擦・摩耗現象を理解し、ミクロ現象とマクロ現象の関係について理解できる。トライボロジーの最新の話題について理解できる。
8週 第15回期末試験 第16回答案返却・解答解説、授業改善アンケートの実施 解答解説によりトライボロジーについてより一層理解を深められる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
知識の基本的な理解150000419
思考・推論・創造への適用力150000520
汎用的技能100000111
総合的な学習経験と創造的思考力4000001050