電力工学

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電力工学
科目番号 62010 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 3rd-Q 週時間数 4
教科書/教材 「電気エネルギー工学」 八坂保能編著 (森北出版)
担当教員 吉田 雅史

到達目標

 電気エネルギーは社会の基盤技術で不可欠なものです。その核心である電力工学は従来の発変電、送配電に加え燃料電池や超電導など関連工学分野を取り込んだ複合工学です。講義では電力エネルギーの生成、活用に加え、先端電力技術の概要の理解を深める。
①主要発電方式(水力、火力、原子力)の原理を理解し、発電設備の構成について説明できる。
②再生可能エネルギー及び次世代エネルギーの原理と課題について説明できる。
③電力システムの構成及び電力の質の確保の意義とその方法について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1良好な到達水準に加え、主要発電方式(水力、火力、原子力)におけるエネルギーの有効利用法について検討できる。最低限の到達水準に加え、主要発電方式(水力、火力、原子力)の発電電力量、熱効率を計算で導出できる。主要発電方式(水力、火力、原子力)の発電原理と発電設備の構成について説明できない。
評価項目2良好な到達水準に加え、再生可能エネルギー及び次世代エネルギーの技術的課題について検討できる。最低限の到達水準に加え、再生可能エネルギー及び次世代エネルギーの現状及び経済性について説明できる。再生可能エネルギー及び次世代エネルギーの特徴と原理について説明できない。
評価項目3良好な到達水準に加え、電力輸送において発生する高調波障害の原理及び対策法について検討できる。最低限の到達水準に加え、電力品質の定義及びその維持に必要な手段について説明できる。電力システム(変電、送配電)の原理及び構成機器について説明できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係
この科目は地方自治体で水力発電に関する送電線や受電設備などの電気工作物の保全・維持管理を担当していた教員が、その経験を活かし、送配電設備や発電設備の原理や構造、実務上で重要となる事項について講義形式で授業を行うものである。
 経済活動を行ううえでエネルギーの発生・輸送技術は、経済活動の根幹に関わる重要な要素です。本講義を通じて電力の発生・輸送の仕組みを学ぶとともに、現在の電力システムに関わる制度や経済性について学んでいく。
授業の進め方・方法:
 講義中心に進めていく。必要に応じて課題やレポートを課す。この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートやオンラインテストを実施します。
注意点:
発変電から送配電、新エネルギーまで広範囲な分野のポイントを扱うので、必ず予習復習をすること。既存のエネルギー発生法も再生可能エネルギー、そして電力輸送、貯蔵技術はいずれも利点と課題を秘めています。この課題に対してどのように解決するか、今後の電力技術はどうあるべきかについても自分なりの意見を考えながら講義を受けて下さい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 電気エネルギーの基礎
水力発電
電力工学学習の狙いと、電気エネルギーの発生と利用について説明する。
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。
2週 火力発電
原子力発電
火力発電の原理について理解し、火力発電主要設備を説明できる。
原子力発電の原理について理解し、原子力発電主要設備を説明できる。
3週 再生可能エネルギーの利用
次世代発電方式
再生可能エネルギーの特徴とエネルギー利用の仕組みについて説明できる。
核融合技術の原理について理解し、その仕組みと現状の課題について説明できる。
4週 エネルギー貯蔵技術
三相交流電力
二次電池やその他のエネルギー貯蔵技術の種類及び蓄電の仕組みについて説明できる。
電力輸送における三相交流電力の仕組み及び重要性を説明できる。
5週 電力システムの構成
送変電機器
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。 交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴について説明できる。
送電線路および送変電機器の構成と機能について説明できる。
6週 電力系統の故障(1)
電力系統の故障(2)
電力系統の故障における影響を説明でき、故障時に発生する三相短絡電流及び1線地絡電流を計算で導出できる。
対象座標法を用いて非平衡故障時の地絡電流や健全相の電位を導出できる。
7週 電力システムの保護
電力品質と電力システムの経済的運用
送電線の中性点接地の意義を理解し、各種接地方式の特徴について説明できる。また送電線で生じる誘導現象について対策方法を説明できる。
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。電力システムの経済運用について説明できる。
8週 期末試験
試験解答及びまとめ
試験を実施する。
試験の解答を行い、学習事項全体のまとめを行う。授業アンケートを行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力200000020
専門的能力4000004080
分野横断的能力0000000