伝熱特論

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 伝熱特論
科目番号 62019 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 3rd-Q 週時間数 4
教科書/教材 なし
担当教員 德永 敦士

到達目標

第3クオーター開講
(1)一次元熱伝導方程式の数値解析ができる.
(2)境界層の積分方程式を解析できる.
(3)ミクロの観点から,温度,圧力について考察ができる.

ルーブリック

優れた到達レベルの 目安良好な到達レベルの 目安最低限の到達レベルの 目安未到達レベルの 目安
一次元熱伝導方程式一次元熱伝導方程式を導くことが出来,差分式を数値的に解析できる一次元熱伝導方程式を導くことができ,さらに差分式を検討できる一次元熱伝導方程式を導くことができる一次元熱伝導方程式を導くことができない
境界層の積分方程式境界層内の積分方程式について,プロフィル法によって解くことが出来,その結果を用いて平均熱伝達率を解析できる境界層内の積分方程式について,プロフィル法によって解析できる境界層内のエネルギー,運動量,質量保存のいずれかの積分方程式が導出できる境界層内のエネルギー,運動量,質量保存のいずれかの積分方程式が導出できない
温度と圧力について気体分子運動論に基づく温度,圧力の式を導出することが出来,分子の平均速度を考察できる気体分子運動論に基づく温度,圧力の式を導出することができる気体分子運動論に基づく温度,圧力の式の内,いずれかの式を導出することができる気体分子運動論に基づく温度,圧力の式を導出することができない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
昨今の伝熱学は,エネルギー関連分野のみではなく,ナノテクノロジーや,電子デバイスといった,様々な分野を対象とする.しかしながら,これらの分野でも,伝熱基本三形態を中心とした本質的な理解が重要であり,さらに数値解法などの新たな技術を活用した現象の把握が必要である.そこで,これらの視点からの講義によって,熱・物質輸送現象の理解を深める.
授業の進め方・方法:
基本的な伝熱の支配方程式を利用した式の導出においては学生自身に取り組んでもらう.また演習問題も同様に学生に解答と解説を行ってもらう.内容は一次元の熱伝導方程式の導出とエクセルを利用した熱伝導方程式の数値解析を行う.またプロフィル法による積分方程式の解析,気体分子運動論による温度や圧力の考え方を示す計画である.目に見えないものであり,身近な現象を例に説明する.
注意点:
数値計算にはプログラミングの能力が必要であるが,簡単な数値計算ならばExcelでも計算可能である.そこで,可能であればノートパソコンを持参し,実際に数値計算を行ってもらう予定である.
ある程度の数学的知識が必要なため,微積分を復習しておくこと.

現在,熱工学の知識はすべての分野に必要なものになっています.例えば,パソコンなどの電子デバイス機器や,環境,ナノテクノロジーなどその対象は多岐にわたっています.しかしながら,これらの分野においても,熱伝導,熱伝達,熱放射の伝熱三形態を中心とする基本的な理解が重要です.これらを理解するために,基本的な伝熱三形態について説明し,最終的には各自で数値計算を行なってもらいます.現在ではパソコンも発達し,パッケージソフトを活用した数値計算が可能になり,数値を入れれば何らかの答えが吐出される仕様になっています.つまり,中身を知らなくても結果は出てくることになります.ここに数値計算の怖さがあります.その値は正しいでしょうか?その結果を判断するのは自分であり,多岐にわたる分野において利用される熱計算のための知識をこの講義で身に付けてほしいと思います.

学期内に成績を再評価する場合がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 伝熱三形態
熱伝導方程式
伝熱の基本三形態(熱伝導,熱伝達,熱放射)について理解できる
熱伝導方程式の導出と数値解析法について理解できる
2週 数値解析法I
数値解析法II
支配方程式を差分化できる
熱伝導方程式の導出と数値解析法について理解できる
3週 凝縮理論I
凝縮理論II
ヌセルトの凝縮理論について理解できる
滴状凝縮について理解できる.
4週 中間試験
試験解説
中間試験を行い,これまでの内容を理解する.
試験問題の解説により,理解を深める.
5週 境界層理論I
境界層理論II
エネルギー方程式,運動量保存則,連続の式について理解できる
積分方程式について理解できる
温度分布,速度分布を求めることができる
局所ヌセルト数,平均ヌセルト数について理解できる
6週 気体分子運動論I
気体分子運動論II
温度,圧力などについてミクロな観点から説明できる.
分子動力学解析の基本的な考え方について理解できる.
7週 気液相変化伝熱I
気液相変化伝熱II
凝縮係数などの分子境界条件について理解できる.
気液界面輸送現象に対する昨今の研究内容について理解できる.
8週 期末試験(熱伝導,熱伝達)
期末試験解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
知識の基本的な理解60565
思考・推論・創造への適用力201535