無機機能材料工学

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 無機機能材料工学
科目番号 0022 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 前期:4
教科書/教材 機能性セラミックス化学 掛川一幸ら (朝倉書店)
担当教員 茂野 交市

到達目標

 本科目では特に機能性セラミックス材料に焦点をあて、その合成プロセス、合成された材料の分析手法、各種材料の性質についての知見を深める。
 最終的な目標は以下の3点である。
(1) 機能性無機材料の合成プロセスに関して技術的観点からの説明ができる。
(2) 合成された機能性無機材料の分析手法に関して技術的観点からの説明ができる。
(3) 合成された機能性無機材料の性質に関して技術的観点からの説明ができる。
そして、合成プロセス及び合成された機能性無機材料の特性との関係を分析し、特性向上のために必要な方策を提案できるきっかけをつかむことが目標である。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安
評価項目(1)機能性無機材料の合成プロセスに関して技術的観点からの説明ができ、多数の材料に適用でき、性能向上の方策を提案できる。機能性無機材料の合成プロセスに関して技術的観点からの説明ができ、2,3の材料に適用できる。機能性無機材料の合成プロセスに関して技術的観点からの説明ができる。機能性無機材料の合成プロセスに関して技術的観点からの説明ができない。
評価項目(2)機能性無機材料の分析手法に関して説明ができ、多数の材料に適用でき、性能向上の方策を提案できる。機能性無機材料の分析手法に関して説明ができ、2,3の材料に適用できる。機能性無機材料の分析手法に関して説明ができる。機能性無機材料の分析手法に関して説明ができない。
評価項目(3)機能性無機材料の性質に関して技術的観点からの説明ができ、多数の材料に適用でき、性能向上の方策を提案できる。機能性無機材料の性質に関して技術的観点からの説明ができ、2,3の材料に適用できる。機能性無機材料の性質に関して技術的観点からの説明ができる。機能性無機材料の性質に関して技術的観点からの説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
【第2学期開講】機能性無機材料(金属材料・半導体材料・セラミックス材料)は生活・産業に使用されているさまざまな機器や生産設備に組み込まれ快適で効率的な社会を支えている。本科目では、主としてセラミックス材料に焦点を当てる。まずセラミックスの構造の概要について学習する。次に、セラミックスの合成プロセスについて、そして合成されたセラミックスの分析手法について学習する。さらに、身近で重要なものや話題性のある機能性セラミックス材料をいくつか選びその機能を電子、原子レベルで理解し、材料の製造および応用製品の概要について学習する。ここまでの内容を習得すると、簡単な無機機能材料に関する文献を理解し、要約できることが期待される。また、無機材料分野における研究開発の基本的な内容を自ら理解し、自ら深堀するための基礎ができるものと期待される。
授業の進め方・方法:
 本科目は本科の無機材料工学Ⅰ、Ⅱとの関連が強いため、復習しておくことが望ましいです。上述のように機能性無機材料は金属・半導体・セラミックスと広範囲にわたっており、講義ではその一端(セラミックス材料)を学習するにすぎません。私自身も社会人になってはじめてセラミックス材料に関わり、研究開発に携わりながら独学で勉強してきました。現在も研鑽を積んでいるところです。
 みなさんには関連書物をしっかり読み、授業を受け、レポートを作成する過程で、無機機能材料工学に興味をもち、自ら学習して新しい知見を得ることの喜びを知り、本格学習へのきっかけをつかんでもらいたいと思います。そして、無機機能材料工学だけでなく物質工学各分野における研究開発のヒントをつかんでもらえれば幸いです。
注意点:
補助教材:はじめて学ぶセラミック化学(日本セラミックス協会編)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
「無機機能材料の導入」
身の回りの製品の中に用いられている無機機能材料の種類と応用分野について概要を説明し、興味ある分野の調査ができる。
2週 機能性セラミックスの構造 セラミックスの微細構造とそれが特性に及ぼす影響についての概要を説明できる。
3週 機能性セラミックスの合成プロセス(1) 機能性セラミックス原料粉末の種々の合成プロセスとそれらが物性に及ぼす影響について説明できる。
4週 機能性セラミックスの合成プロセス(2) 機能性セラミックスの種々の成形プロセスとそれらが物性に及ぼす影響について説明できる。
5週 機能性セラミックスの合成プロセス(3) 機能性セラミックスの種々の焼結プロセスとそれらが物性に及ぼす影響について説明できる。
6週 機能性セラミックスの分析手法(1) セラミックスの結晶構造の解析に利用されるX線回折の原理および測定方法を説明できる。
7週 機能性セラミックスの分析手法(2) セラミックスの微細構造観察に利用される電子顕微鏡の原理および測定方法を説明できる。
8週 機能性セラミックスの分析手法(3) セラミックスの熱的安定性の評価に利用される熱分析の原理および測定方法を説明できる。
2ndQ
9週 機能性セラミックスに関する演習1 機能性セラミックスに関する文献を調べ、実際の研究開発における合成・分析の例について説明できる。
10週 機能性セラミックスの特性(1) 構造セラミックスの性質とその用途について説明できる。
11週 機能性セラミックスの特性(2) 誘電セラミックスの性質とその用途について説明できる。
12週 機能性セラミックスの特性(3) 導電セラミックスの性質とその用途について説明できる。
13週 機能性セラミックスの特性(4) バイオセラミックスの性質とその用途について説明できる。
14週 機能性セラミックスに関する演習2 機能性セラミックスに関する文献を読み、実際の研究開発における合成・分析・特性評価の例について説明できる。
15週 「定期試験」
16週 答案返却・解答解説
全体の学習事項のまとめ
授業改善アンケートの実施
試験問題の解説を通じて特に重要部分、誤答が多かった部分を復習し、説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート(小テスト含む)合計
総合評価割合6040100
知識の基本的な理解402060
思考・推論・創造への適用力201030
態度・志向性(人間力)01010