概要:
コンピュータ・ネットワークについて,技術的な側面を学ぶことで現在の技術の制約や応用可能性を学ぶ。最初に基礎技術である TCP/IP に関して,IPレベルでの誤り制御やルーティングおよび TCP レベルでの高次制御を説明する。その後,アプリケーション・プロトコルを概観する。後半では,現代のネットワークにおいて重視されるセキュリティ確保の技術を説明する。
授業の進め方・方法:
スライドを多用し,授業計画に列挙した個々の技術を説明する。また,個々の技術に対応したレポート課題を課す。
ネットワーク技術を含む情報技術分野はアップデートが頻繁であり,10年前の常識があっという間に通用しなくなる。講義中に最新情報を提供できるよう努める
なお,授業で利用するスライドの縮小版を授業で配布するとともに,関連情報と併せて Web ページで公開する。
注意点:
情報ネットワークを支える技術は,暗号化技術を除けば,単純なアルゴリズムの集まりである。故に,論理的に考えれば技術概要を理解するのは容易と言える。技術的な詳細は概ね RFC (Request For Comments) に書かれており,講義で取り上げるテーマと関連した RFC を随時,紹介するから,関心のある者は各自で読むことを勧める。
暗号化技術は数学,特に近年は代数学が多用されており,独力での理解が困難になりつつあるが,講義の最中に関連書籍を紹介するから,関心のある者は読んで欲しい。
指定した教科書がなくても理解できるように講義を進めるが,技術の詳細の理解やレポート課題に取り組む上では購入した方がよい。なお,この教科書はエンジニア向けに書かれているため,将来的にも役立つだろう。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
TCP/IPの基礎(1): ・OSI参照モデルと TCP/IP ・IPv4からv6への移行 |
・OSI参照モデルとTCP/IP階層モデルを対応付け,各層の役割を理解できる。 ・パケットの概念,IPヘッダ,TCPヘッダの有する情報,IPアドレスクラス,DNSの概要を理解できる。
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2週 |
TCP/IPの基礎(2): ・ネットワークトポロジの実装(イーサネット (CSMA/CD),トークンリング) |
コンテンション方式,トークンパッシング方式それぞれの仕組み,特徴,利点・欠点を理解できる。
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3週 |
誤り制御(1): ・誤り制御の考え方 ・ARQ (Automatic Repeat reQuest) と FEC (forward Error Correction) |
・Stop-and-Wait, Go-Back-N, Selective Repeat の各ARQの考え方および現実的な RTO の決定方法を理解できる。 ・FECの必要性と概要を理解できる。
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4週 |
誤り制御(2): パリティ損失の検出方法,パリティチェック,ハミング符号 |
CRC誤り検出,ハミング符号による誤り訂正の理論的背景を理解できる。
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5週 |
IP(1):ルーティングの概念,RIP (Routing Information Protocol), OSPF (Open Shortest Path First) |
・ルーティングの概要を理解できる。 ・RIP におけるルーティングテーブルを構築できる。 ・RIP と OSPF の組み合わせが現実的解だと理解できる。
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6週 |
IP(2):IPの分割処理と再構築処理,ARP, ICMP |
・様々なデータリンク間での通信のためのパケット分割の必要性を理解できる。 ・ARPによるMACアドレスの取得,ICMPによる障害通知の仕組みを理解できる。
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7週 |
TCP:TCPの基礎,ウィンドウ制御,フロー制御 |
・通信速度を向上させるためのウィンドウ制御とフロー制御の必要性を理解できる。 ・輻輳制御によるネットワークの混雑解消の仕組みを理解できる。
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8週 |
中間まとめ |
中間まとめとしてネットワークトポロジ,ルーティング,パケット分割を再整理するとともに,中間試験を実施する。
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2ndQ |
9週 |
アプリケーションプロトコル: DNS, WWW, 電子メール,遠隔ログイン |
HTTP, Cookie, SMTP, POP, telnet の各プロトコルの概要を理解できる。
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10週 |
セキュリティ(1): ネットワーク・セキュリティの概要 |
不正アクセス事例を把握し,セキュリティ確保の必要性を理解できるとともに,ポートスキャンやDoS等の準備行動の技術的背景を理解し説明できる。
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11週 |
セキュリティ(2): 共通鍵・公開鍵暗号と電子署名の理論およびその実装 |
・共通鍵暗号・公開鍵暗号の概要を理解するとともに,DESやRSAの実装を理解できる。 ・共通/公開鍵暗号のハイブリッドの必要性を理解できる。
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12週 |
無線LANの概要: IEEE802.11規格,CDMA/CA |
・CSMA/CAの仕組みと特徴を理解できる。 ・IEEE802.11a/b/g/n/ac の特徴を説明できる。 ・MIMOとチャネル・ボンディングの概要を説明できる。
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13週 |
無線LANのセキュリティ: WEP/WPA/WPA2とその技術 |
・ワイヤレスネットワーク特有の脆弱性を認識できる。 ・WEP/WPA/WPA2の概要の理解とともの,その技術的背景であるTKIP, AES等の暗号化技術の詳細を理解できる。
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14週 |
無線PAN (Personal Area Network): IEEE820.15 RFID, Bluetooth, ZigBee |
・PANの必要性,BluttothやZigBeeの仕様を理解できる。 ・Bluetooth,ZigBeeのネットワーク構成を理解できる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
学習事項のまとめおよび授業改善アンケートの実施 |
・情報ネットワークを支える技術を整理し,wired / wireless / mobile それぞれの分野での技術の共通性や特性を理解できる。
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