電子物性工学

科目基礎情報

学校 大島商船高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電子物性工学
科目番号 0056 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子・情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 インターユニバーシティ 電子物性  著者:吉田明 オーム社 
担当教員 笹岡 秀紀

到達目標

(1)固体内で電子構造が生じる原因を説明できる。
(2)電子材料のエネルギー帯とフェルミ準位の観点から,絶縁体,導電体,半導体を説明できる.
(3)誘電分散を分極の振る舞いから説明できる。
(4)実用的な電子と光の相互作用による現象をバンド構造を使って説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1固体内で電子構造が生じる原因を自由電子近似と束縛近似の両方から説明できる。固体内で電子構造が生じる原因を束縛近似から説明できる。固体内で電子構造が生じる原因を説明できない。
評価項目2量子論から、極低温で金属の電子比熱、電気伝導率が古典論に従わない理由を説明できる。電子材料のバンド構造とフェルミ準位から,絶縁体,導電体,半導体の電気伝導率の違いを説明できる。電子材料のバンド構造とフェルミ準位から,絶縁体,導電体,半導体の電気伝導率の違いを説明できない。
評価項目32種類の誘電分散について、分極の運動方程式を解くことで違いを説明できる。誘電分散を分極の振る舞いから説明できる。誘電分散を分極の振る舞いから説明できない。
評価項目4実用的な電子と光の相互作用による現象をバンド構造を使って定量的に説明できる。実用的な電子と光の相互作用による現象をバンド構造を使って説明できる。実用的な電子と光の相互作用による現象をバンド構造を使って説明できない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE J(03) 説明 閉じる
本校 (1)-c 説明 閉じる
専攻科 (5)-b 説明 閉じる

教育方法等

概要:
エレクトロニクス材料の電気的特性を原子・電子の立場から説明する理論を学び、急速なエレクトロニクス材料の発展に追随していくための基礎学力を養う。
この科目は、公的研究機関や企業でカーボンナノ材料や、非線形IV特性をもつセラミック材料の開発を行っていた教員が、その経験を活かし、量子力学に基づいて電子材料の元素・構造と電気的特性との関連性を講義するものである。
授業の進め方・方法:
教科書に沿って進めるが、スライドと配布プリントも併用して講義をおこなう。成績は、試験、レポート、授業態度から総合的に評価する。
注意点:
レポートの提出が期限より遅れると減点される。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子物性序説と電子運動の状態(電子の波動性) 電子材料の分類、電荷の種類、電磁気的物理量単位の成り立ちを理解し、整合性のある単位を判断できる。また、何故量子力学が必要になったのか理解する。
2週 電子運動の状態(シュレディンガー方程式水と水素原子の構造) 井戸型ポテンシャル中の電子のエネルギー固有値を計算できる。水素原子の電子軌道が4つの量子数で指定できることを説明できる。
3週 電子運動の状態(トンネル効果と統計分布) ポテンシャル障壁の透過率を計算できる。電子のエネルギー準位に対する占有確率を計算できる。
4週 固体の結晶構造(結晶系と結晶の結合) 代表的な結晶系の原子配置を理解し、ミラー指数で示される面間隔や単位格子内の原子数を計算できる。
5週 固体の結晶構造(逆格子とX線回折) 逆格子の意味を理解し、ラウエ方程式からブラッグの反射条件を導ける。
6週 固体の結晶構造(格子振動) フォノンの音響モードと光学モードの違いが理解できる。
7週 固体のエネルギー構造(バンドギャップ) 自由電子近似から結晶中で電子構造が生じる原因を説明できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 固体のエネルギー構造(バンドギャップと有効質量) 束縛近似から結晶中で電子構造が生じる原因を説明できる。
また電場からエネルギをうけて有効質量がどのように変化するか説明できる。
10週 固体のエネルギー構造(状態密度、電子比熱) 自由電子近似で状態密度を計算し極低温での電子比熱が古典論に従わないことを数式でで説明できる。
11週 固体の電気伝導(金属、半導体の電気伝導率、キャリアの散乱機構) ドリフト速度と緩和時間の関係を理解する。また、半導体の電気伝導率をバンド構造から金属の電気伝導率を自由電子近似から説明できる。
12週 固体の電気伝導(超伝導) BCS理論の概略を理解し、超伝導体の種類を温度依存性と現象から区別できる。
13週 誘電体 誘電分散の生じる原因に対して分極の運動方程式をたてて、それを解くことから現象を説明できる。強誘電体の発生理由を結晶構造から説明できる。
14週 磁性体 強磁性体、反強磁性体の特徴を原子の磁気モーメント配列から説明できる。
15週 物質の光学特性 直接遷移と間接遷移の区別、半導体素子における光起電力効果、エレクトロルミネッセンス、レーザーを説明できる。
16週 前期期末試験

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合603001000100
基礎的能力0000000
専門的能力603001000100
分野横断的能力0000000