電子物性

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 電子物性
科目番号 0087 科目区分 ES / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 : 2
開設学科 電気・制御システム工学専攻(平成30年度以前入学生) 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 電子物性 松澤・高橋・斉藤 共著(森北出版)
担当教員 中村 厚信

到達目標

1.固体のバンド構造について説明できる。
2.半導体中のキャリア密度の温度変化について説明できる。
3.3種類の電気分極の機構について説明できる。
4.磁性の発現機構について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1固体のバンド構造について説明でき、ブロッホの定理を用いてその電子状態を記述することができる。固体のバンド構造を、周期ポテンシャルと関連付けて説明できる。固体のバンド構造に関する考え方を理解することができない。
到達目標2真性半導体と不純物半導体のキャリア密度の温度変化について、フェルミ分布関数を用いて説明できる。真性半導体と不純物半導体のキャリア密度の温度変化について、定性的な説明をすることができる。半導体中のキャリアに関する考え方を理解することができない。
到達目標33種類の電気分極の機構について、定量的な説明をすることができる。3種類の電気分極の機構について、定性的な説明をすることができる。電気分極に関する考え方を理解することができない。
到達目標4原子の磁気モーメントや伝導電子を考慮して、磁性の発現機構について定量的に説明できる。磁性の発現機構について、定性的な説明をすることができる。磁性に関する考え方を理解することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 身の回りの様々な物質、また製造業で使われる材料が示す物理的・化学的な諸物性のほとんどは、物質中の電子の振る舞いに起因したものである。本講義は量子力学を出発点として、最も基本的な性質について述べていき、将来のより発展した学修のための基礎を身に着けることを目的としている。
授業の進め方・方法:
 講義形式で授業を行っていく。内容としては、先ず量子力学の基礎的な事柄を学んだ後、エネルギーバンド構造と半導体を学び、その後誘電体、磁性体へと進んでいく。
注意点:
 本講義を履修するためには、微分方程式や線形代数に関する知識が不可欠です。また、内容が多いため、講義中に演習問題を解く時間が無く、演習は課題として提出してもらいます。内容の理解のために、課題は他の多くの書物を参照して、自分で解決してください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物質の粒子性と波動性、不確定性原理 物質の粒子性と波動性、及び不確定性原理について説明できる。
2週 井戸型ポテンシャルの波動関数 1次元井戸型ポテンシャルにおけるシュレーディンガー方程式の解を求めることができる。
3週 トンネル効果 1次元系において、矩形のポテンシャル障壁におけるトンネル確率を求めることができる。
4週 水素原子のエネルギー準位 クーロンポテンシャルにおけるシュレーディンガー方程式の解が、3つの量子数で表されることを理解できる。
5週 金属の自由電子論 変数分離法により、3次元系の自由電子の波動関数、及び状態密度を求めることができる。
6週 フェルミ・ディラック分布関数 フェルミ・ディラック分布関数について説明できる。
7週 金属の電子密度分布とフェルミレベル 電子密度とフェルミレベル、フェルミ波数、フェルミ温度との関係を導くことができる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 周期ポテンシャルにおけるエネルギー分散 クローニッヒ・ペニーのモデルにおけるエネルギー分散の様子について理解できる。
10週 結晶内における電子の運動とバンド理論 有効質量、及びバンド理論の考え方について理解できる。
11週 真性半導体 電子密度・正孔密度の温度依存性を導出できる。
12週 不純物半導体 n型・p型半導体の特徴について説明できる。
13週 誘電体 電子分極、イオン分極、配向分極について理解できる。
14週 原子の磁気モーメント 軌道磁気モーメントとスピン磁気モーメントについて説明できる。
15週 磁性体の分類 常磁性、反磁性、強磁性、反強磁性の特徴について理解できる。
16週 期末試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

定期試験小テストポートフォリオ発表・取り組み姿勢その他合計
総合評価割合6004000100
基礎的能力200200040
専門的能力400200060
分野横断的能力000000