概要:
学問としての化学を深く理解・体得するには、それぞれの専門科目の授業と自分自身による化学の実験が必須である。本科目は化学コース配属後初めての実験科目であり、化学実験における基礎的な知識(実験技術、化学実験室におけるルール、実験ノートの作成方法、実験結果の考察方法など)を修得を目的とする。
化学実験の基礎となる分析を主眼とするものであり、基本的な定性分析・定量分析に関する知識と技術を修得することを目的とする。
授業の進め方・方法:
化学において実験は基礎であり、基礎技術の習得は不可欠である。実験目的をよく考え、実験方法、考え方をまずは予習において学び、それを実験において確かめ、化学の法則を実際に経験し、理解を深める。また実験後においては、正確な測定によって得られた実験データを用いて解析を行い、レポートにまとめる。このレポートの作成の段階を復習とすると、化学実験では、予習、実験、復習を繰り返すことによって実験を深く学ぶ。実験の始まる前までに実験ノートに実験計画を記入して、実験に臨むことを課す。実験終了時には結果と実験データを記録したノート及び報告書を担当の教員に提出することにより、この実験の終了とする。
注意点:
実験を事故なく遂行するため下記の注意事項を必ず守ること。
1. 実験室内は飲食厳禁。
2. 実験室に入室する際には、必ず所定の白衣、上履きを着用する。また長い髪の学生は後ろで束ねること。
3. 実験を開始する前に、必ず保護メガネ、保護手袋を着用する。
4. 担当教員から諸注意や指示があった時は速やかに従うこと。
5. レポートは所定の期日までに提出する。
6. 欠席時は速やかに担当教員に申し出ること。本科目は未実験や未提出レポートがある場合は単位を与えない。
7. 成績はレポート,ノート状況,試験,取り組み姿勢より総合的に評価する。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
|
2週 |
学生実験におけるノートの書き方,レポートの書き方
|
ノートの書き方,レポートの書き方が実践できる。
|
3週 |
実験室でのルール,基本操作 |
基本操作,試薬の準備ができる。
|
4週 |
定性分析 1 |
陽イオン(第I属)について、分離及び確認ができる。
|
5週 |
定性分析 2 |
陽イオン(第III属)について、分離及び確認ができる。
|
6週 |
定性分析 3 |
陽イオン(第II属)について、分離及び確認ができる。
|
7週 |
陽イオンの系統分析 (未知試料分析) |
陽イオン(未知試料)について、分離及び確認を行い、定性分析することができる。
|
8週 |
定量分析 |
定量分析の基礎を説明でき,中和反応や酸化還元反応式を書くことができる。
|
2ndQ |
9週 |
中和滴定1 |
中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。
|
10週 |
中和滴定2 |
中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。
|
11週 |
酸化還元滴定 |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。
|
12週 |
キレート滴定 |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度及び硬度を計算することができる。
|
13週 |
緩衝液 |
緩衝液の原理を理解し、緩衝溶液のpHを計算することができる。
|
14週 |
水質調査 |
水の性質を理解し、水質の有機汚濁指標であるCODの分析を行うことができる。
|
15週 |
器具チェック/試験/ノート提出/総括 |
|
16週 |
実験予備日/器具チェック |
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。 | 4 | |
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 2 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 2 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 2 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 2 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 2 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 2 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 2 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 2 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 2 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 2 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 2 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 2 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 2 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 2 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 2 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 2 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 2 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 2 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 2 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 2 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 2 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 2 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 2 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 2 | |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 2 | |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 2 | |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 2 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 2 | |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 2 | |
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 2 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 2 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 2 | |
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。 | 2 | |