分析化学

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 分析化学
科目番号 1413C01 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 化学コース 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 クリスチャン分析化学 原書7版 I.基礎編(丸善出版), 配布の講義資料
担当教員 山田 洋平

到達目標

1. 分析的な視点(定性・定量的な視点)で化学を再考する。
2. 誤差の考え方、数値の取り扱い(有効数字を考慮した計算)を学び、教科書の例題を解けるようになる。
3. 検定手法(有意差検定、結果の棄却)、検量線の取り扱い(検出限界、定量限界)について学び、教科書の例題を解けるようになる。
4. 試料採取の段階で生じる誤差を小さくする手法について学び、教科書の例題を解けるようになる。
5. 溶液内の化学平衡(主に酸塩基平衡)に関する理論を学び、教科書の例題を解けるようになる。
6. 分析機器について学び、演習問題について考察できるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)
1.分析化学的な視点定量・定性分析について説明できる。実験の目的に応じて、定量・定性分析を使い分けられる。実験器具がもつ不確かさを考慮した上で実験計画を立てられる。定量・定性分析について説明できる。資料や助言があれば、実験器具がもつ不確かさを考慮した上で実験計画を立てられる。定量・定性分析について説明できる。実験器具がもつ不確かさについて説明できる。
2.誤差および数値の取り扱い実験値を統計的な考え方に基づき、実験結果を記述・解釈できる。資料や助言があれば、実験値を統計的な考え方に基づき、実験結果を記述・解釈できる。標準偏差、信頼区間など基本的な語句の意味や計算を行うことができる。
3.検定手法、検量線の取り扱い実験値を統計的な考え方に基づき、実験結果を記述・解釈できる。資料や助言があれば、実験値を統計的な考え方に基づき、実験結果を記述・解釈できる。T検定、最小二乗法など基本的な語句の意味や計算を行うことができる。
4.試料採取における誤差実験値を統計的な考え方に基づき、実験結果を記述・解釈できる。資料や助言があれば、実験値を統計的な考え方に基づき、実験結果を記述・解釈できる。実験結果に対して、試料採取の段階で生じる誤差がどのような影響を与えるか説明できる。
5.溶液内の化学平衡論化学平衡の考え方を学び、教科書の例題を9割以上解くことができる。化学平衡の考え方を学び、教科書の例題を7割以上解くことができる。化学平衡の考え方を学び、教科書の例題を5割以上解くことができる。
6.機器分析分析機器により得られる結果は、試料採取から試料調製、測定、測定結果の統計的な処理の結果であり、そのすべての段階を把握しておかなければ正確な結果を得ることはできないことを説明できる。各分析機器の基本構造および特徴を正確に説明できる。 分析機器により得られる結果は、試料採取から試料調製、測定、測定結果の統計的な処理の結果であり、そのすべての段階を把握しておかなければ正確な結果を得ることはできないことを説明できる。各機器分析の持つ特徴を説明できる。分析機器により得られる結果は、試料採取から試料調製、測定、測定結果の統計的な処理の結果であり、そのすべての段階を把握しておかなければ正確な結果を得ることはできないことを説明できる。復習すれば、各機器分析の持つ特徴を説明できる。 

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
分析化学は試料に含まれる成分やその含有量を調べたり、それらの化学構造や存在状態を解析する学問である。普段あまり意識をすることはないが、分析化学の技術や考え方は、医療・食品・環境など社会の広い分野で利用されている。本講義では、分析化学の基礎となる統計学的な考え方、溶液内の化学平衡(酸塩基平衡・錯生成平衡・沈殿平衡・分配平衡)に関する理論の習得を目的とする.
授業の進め方・方法:
講義と演習により進める。
注意点:
講義では関数電卓を使用する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 分析化学とは何か~チョコレート中に含まれるカフェインの定量を例に~
分析の手順、絶対分析と相対分析、検量線の引き方について説明できる。
2週 試薬品位、基本的な分析器具と操作、試料採取と試料調製の基礎 試薬・器具の性能を理解するとともに、正しい使い方を説明することができる。
ロット(母集団)から分析試料に至るまでの過程を説明できる。
3週 分析化学におけるデータ処理その1(正確さと精度、誤差の種類、不確かさの伝播)
正確さと精度、誤差の種類について説明できる。有効数字を考慮した計算を実行できる。
4週 分析化学におけるデータ処理その2(標準偏差)
標準偏差の性質を説明できる。Excelで標準偏差を求めることができる。
5週 分析化学におけるデータ処理その3(信頼限界、誤差の伝播) 信頼限界、誤差の伝播に関する計算を行うことができる。
Excelで信頼限界を求めることができる。
6週 試験_0524 学習済み内容の理解を確認する。
7週 学生による試験解説 / 分析化学におけるデータ処理その4(有意差検定)_0526 分析データに対して正しい検定方法【有意差検定(3種のt検定)のいづれか】を選択、実行することができる。
8週 分析化学におけるデータ処理その5(結果の棄却に関する検定法・最小二乗法・相関係数)_0601 結果の棄却に関する検定を実行できる。最小二乗法・相関係数の原理を説明でき、Excelで計算できる。
2ndQ
9週 分析化学におけるデータ処理その6(Excel)_0615 統計計算のためのExcelの使い方を学ぶ。標準偏差、信頼限界、検量線の作成などを実施する。
10週 分析化学におけるデータ処理その7(検出限界と定量限界)_0616
検出限界、定量限界の求め方について説明できる。練習問題を解くことができる。
11週 分析化学におけるデータ処理その8(試料採取の統計学)_0623 分析化学における試料採取の重要性について説明できる。二項分布に基づく試料採取の統計学を説明できる。
12週 分析化学におけるデータ処理その9(試料採取の統計学)_0628 分析化学における試料採取の重要性について説明できる。二項分布に基づく試料採取の統計学を説明できる。
13週 7-12週までの復習と解説_0707 7-12週までの内容に関する演習と解説。平衡定数の定義を説明できる。
14週 試験_0721 / 化学化学平衡に関する一般的概念、 学習済み内容の理解を確認する。
15週 試験解説 / ギブス自由エネルギーと平衡定数の関係、ルシャトリエの原理_0728 平衡定数の一般的な性質および、平衡論と速度論の関係を説明できる。
16週 平衡定数を用いる計算1_0731~0804 平衡定数の値の大小を常に意識し、正しい近似を用いて平衡に関する計算を実行できる。
後期
3rdQ
1週 平衡定数を用いる計算2 活量、活量係数、イオン強度の概念を学び、演習問題を解くことができる。
2週 酸・塩基に関する化学平衡その1(弱酸、弱塩基) 分子構造から酸・塩基の強弱を類推する技術を学ぶ。各種酸・塩基の平衡定数を文献から検索できる。弱酸、弱塩基の溶液のpHを計算できる。
3週 酸・塩基に関する化学平衡その2(弱酸の塩、弱塩基の塩) 各種酸・塩基の平衡定数を文献から検索できる。弱酸の塩・弱塩基の塩の溶液のpHを計算できる。
4週 酸・塩基に関する化学平衡その3(緩衝液) ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式を導出し、緩衝溶液のpH計算ができる。
5週 試験 / 酸・塩基に関する化学平衡その4(多塩基酸) 多塩基酸に関する演習問題を解くことができる。
6週 学生による試験解説 / 酸・塩基に関する化学平衡その5(多塩基酸) 多塩基酸とその塩に関する演習問題を解くことができる。
7週 酸・塩基に関する化学平衡その6(多塩基酸の塩) 多塩基酸とその塩に関する演習問題を解くことができる。
8週 酸・塩基滴定その1 酸塩基の価数・強弱に応じた滴定曲線を描くことができる。滴定率に応じた計算を実行することができる。
4thQ
9週 酸・塩基滴定その2 酸塩基の価数・強弱に応じた滴定曲線を描くことができる。滴定率に応じた計算を実行することができる。
10週 機器分析の誘い~電磁波と物質の相互作用~ 電磁波と物質の相互作用について説明できる。
11週 電磁波と物質の相互作用、吸光光度法 UV-Vis吸光光度分析計について説明できる。
12週 蛍光光度法 蛍光光度計について説明できる。
13週 原子吸光分析 原子吸光分析計について説明できる。
14週 ICP発光分析 ICP発光分析について説明できる。
15週 試験
16週 試験解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。4
電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。4
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4
錯体の生成について説明できる。4
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。4
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。4
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。4
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。4
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。4
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。4
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。4
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。4
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。4

評価割合

試験課題レポート発表合計
総合評価割合65305100
基礎的能力0000
専門的能力65305100