到達目標
物理化学とは、主として化学現象を物理学(たとえば熱力学や量子力学)の知識に基づいて原子・分子構造から本質的に理解し、また諸性質を定量的に表現しようとする学問の一分野である(教科書「まえがき」より引用)。物理化学2では、以下の項目を目標とする。
1. 熱力学の知識を用いて、化学平衡・反応速度・反応解析について説明でき、関連する応用問題を解くことができる。
2. 量子力学の基礎について説明でき、基本的な問題を解くことができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 化学平衡に関する応用問題を解くことができる。 | 化学平衡について演習問題を解くことができる。 | 化学平衡について説明することができない。 |
評価項目2 | 反応速度に関する応用問題を解くことができる。 | 反応速度について演習問題を解くことができる。 | 反応速度について説明することができない。 |
評価項目3 | 反応解析に関する応用問題を解くことができる。 | 反応解析について演習問題を解くことができる。 | 反応解析について説明することができない。 |
評価項目4 | 量子力学の基礎に関する発展的な問題を解くことができる。 | 量子力学の基礎に関する演習問題を解くことができる。 | 量子力学の基礎について説明することができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
週1回開講する。物理化学2では、化学平衡・反応速度・反応解析について学習し、物質の状態や物理法則に従って、化学反応がどのように進行するのかを理解する。この概念は、例えば、工場で化学製品を製造するとき、原料はどのように加えたら良いのか、温度はどのくらいにすればよいのか、時間はどのくらい待てばよいのか、製品はどのくらいの収率が期待されるのかを考える上で必要不可欠となる。さらに量子力学の基礎についても取り扱い、次の物理化学3への導入を行う。
授業の進め方・方法:
授業は主に、(1)講義と(2)演習によって構成される。(1)講義では、身近な現象や具体例を挙げながら、スライドや動画による視覚的な学習も取り入れる。(2)演習では、例題の解き方を学習したあと、演習問題に取り組み、応用力を身につける。毎回、LMS/ポートフォリオシステム(manaba)を使って、授業の振り返りおよび予習を行い、学習内容の要点を整理する。
【授業時間30時間+自学自習時間60時間】
注意点:
3年生までの数学・物理・化学系科目・物理化学1の知識を前提として活用するので、これらの内容をしっかり復習しておくこと。また授業各回の予習・課題の実施を含む自学自習が不可欠である。とくに物理化学2で取り扱う内容は、実際に「自分で手を動かして」課題・演習問題に取り組まないと、学習効果は全く見込めないといってよい。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
化学平衡(1) |
1) 質量作用の法則を説明できる。 2) ルシャトリエの原理を説明できる。 3) 平衡状態で濃度・圧力・温度が変わった時の平衡移動の方向を答えられる。
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2週 |
化学平衡(2) |
1) 濃度平衡定数・圧力平衡定数を説明できる。 2) 圧力平衡定数をギブスエネルギーで表すことができる。 3) 平衡定数を用いて平衡組成(分圧)を計算できる。
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3週 |
化学平衡(3) |
1) 化学平衡の圧力による影響を圧平衡定数で説明できる。 2) 化学平衡の温度による影響を圧平衡定数で説明できる。 3) ファント・ホッフの式を用いて、異なる温度における圧平衡定数を計算できる。
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4週 |
化学平衡(4) |
1) 不均一反応の平衡定数を表すことができる。 2) 解離圧の温度依存性について説明できる。 3) 固相がかかわる反応の化学平衡に関する問題を解くことができる。
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5週 |
反応速度(1) |
1) 反応速度を濃度で表すことができ、計算することができる。 2) 反応速度式を表すことができ、反応次数について説明できる。 3) 反応次数を実験的に決定する方法について説明することができる。
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6週 |
反応速度(2) |
1) 1 次反応の積分型の速度式を計算できる。 2) 2 次反応(単分子反応・2分子反応)の積分型の速度式を計算できる 3) 半減期を計算できる。
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7週 |
演習 |
1) 化学平衡の問題を解く手順をマスターする。 2) 反応速度の問題を解く手順をマスターする。 3) 化学平衡・反応速度の演習問題を解くことができる。
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8週 |
【中間試験】 |
1〜7週に学習した内容について試験問題を解くことができる。
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4thQ |
9週 |
反応解析(1) |
1) 逐次反応の速度式を立て、問題を解くことができる。 2) 可逆反応の速度式を立て、問題を解くことができる。
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10週 |
反応解析(2) |
1) 素反応と律速段階について説明できる。 2) 素反応群に律速段階がある時の反応速度式を導出できる。 3) 併発反応の速度式を導出できる。
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11週 |
反応解析(3) |
1) 活性化エネルギー、反応速度の温度依存性について説明できる。 2) アレニウスの式を用いて活性化エネルギーを求めることができる。 3) 触媒の定義と触媒が反応速度を加速する機構について説明できる。
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12週 |
量子化学基礎(1) |
1) 量子論が誕生した背景を説明できる。 2) 黒体放射分布とエネルギー量子仮説について説明できる。 3) 光電効果と光量子仮説について説明できる。
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13週 |
量子化学基礎(2) |
1) 光電効果と光量子仮説について説明できる。 2) 水素原子の線スペクトルについて説明できる。 3) ボーアの原子モデルついて説明できる。
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14週 |
量子化学基礎(3) |
1) ボーアの量子条件と振動数条件について説明できる。 2) 不確定性原理について説明できる。 3) シュレーディンガー方程式の概要について説明できる。
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15週 |
量子化学基礎(4) |
1) 時間に依存しないシュレーディンガー方程式を導出できる。 2) 波動関数の意味と性質を説明できる。 3) 一次元の箱の中の粒子のシュレーディンガー方程式を解くことができる。
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16週 |
演習 |
1) 化学平衡の問題を解く手順をマスターする。 2) 量子力学の基礎問題を解く手順をマスターする。 3) 反応解析・量子力学の基礎の演習問題を解くことができる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | |
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。 | 4 | |
均一および不均一反応の平衡を説明できる。 | 4 | |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | |
平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 4 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 4 | |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | ポートフォリオ | 提出物 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 5 | 25 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 5 | 10 | 45 |
専門的能力 | 40 | 0 | 15 | 55 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |