概要:
【物理化学実験】
物理化学は化学反応や状態変化を定量的に理解する上で有効なツールであり、有機化学、無機化学、分析化学、化学工学でも重要な役割を果たす。本講義では実験を通して、物理化学の基本となる分子運動、平衡論、速度論の基本概念を学ぶ。加えて、赤外分光およびX線回折による光の物理現象を利用した構造決定手法を学ぶ。実験、演習、考察課題、レポートの作成や定期試験を通じ、各実験の基礎知識を説明できる能力や論理的に考察を書ける能力を習得する。
【化学工学実験】
化学工学の知識は独創性や応用面への活用が必要であり、学習には実験と実習が欠かせない。装置に直接触れて、装置の構成と操作方法を理解すると共に理論および計算式を実験データと対比して理解できるようにする。
【生物工学実験】
前半は、生物工学の基礎となる実験方法を習得するとともに、実験を通して、微生物学と生物化学の知識を習得する。
後半においては,生物多様性保全における課題(開発による絶滅危惧種の増加)を野外で観察・記録・考察し,生物多様性保全にむけての現状を把握する。
授業の進め方・方法:
【物理化学実験】
一回の授業で効率よく知識を習得するため、実験と簡単な演習を組み合わせた形式で講義を展開する。また、実験テーマによっては講義を行う。
【化学工学実験】
各テーマごとの実験装置を操作してデータの取り方、データの解析を行い、装置内で発生する現象を工学的に処理する方法を学び、実験を通じて解析に用いる物質、運動量、エネルギー収支および原理を深く理解させる。また、装置の運転、配管の実習などを通して、実際の技術を習得する。
【生物工学実験】
実験と講義
注意点:
【物理化学実験】
白衣、保護メガネ、上履き、実験ノート、関数電卓を忘れずに持参すること。
テキスト中にわからないことがある場合、教科書や図書館にある専門書を調べることを推奨する。
原則、すべての実験を行う必要がある。装置の故障など、状況に応じて実験テーマが変更される可能性がある。
【化学工学実験】
「化学工学基礎」「化学工学1」で習得した内容を基礎とする。数学、物理、物理化学、化学工学を十分に理解しておくことが望ましい。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 化学工学実験 | 流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。 | 4 | |
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。 | 4 | |
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 3 | |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 3 | |
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 3 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 3 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 3 | |
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。 | 3 | |