物質化学実験・演習2

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物質化学実験・演習2
科目番号 1413T06 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・演習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 化学コース 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 配布するテキストプリント
担当教員 鄭 涛,上田 康平,大田 直友,大谷 卓

到達目標

物理化学の土台となる、分子の運動、平衡論、速度論に関する実験技術を習得すること。
物質収支とエネルギー収支の観点から 流体、伝熱の原理が説明でき、操作を身につけること。
気液分離(蒸留)、乾燥、吸着、粉体に関する原理が説明でき、操作を身につけること。
微生物を培養するための基本的な操作を習得する
生体物質を抽出して、分離し、解析する
生物多様性保全における課題を観察し,現状を把握する
チーム内の人と協力して実験とデータ整理の実施ができること。
原理を応用する能力と工程設計の内容について計画、データ整理、レポート作成能力を身につけること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安
評価項目1各実験テーマに関する応用問題を解くことができる。各実験テーマに関する基礎問題を解くことができる。各実験テーマに関する基礎知識を説明できる。
評価項目2レポート作成時に、設問だけでなく、独自に問題を設定し、論理的に考察できる。レポート作成時に、設問を論理的に考察できる。レポートで論理的な考察を記述できる。
評価項目3図や表、模式図を用い、読みやすいレポートを記述できる。レポートの形式に従い、科学的な文章を記述できる。科学的な文章を記述できる。
評価項目4チーム内での役割を認識し、主体的に行動できる。チーム内でコミュニケーションを取り、協調的に行動できる。チームで作業・実験を進めることができる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
【物理化学実験】
物理化学は化学反応や状態変化を定量的に理解する上で有効なツールであり、有機化学、無機化学、分析化学、化学工学でも重要な役割を果たす。本講義では実験を通して、物理化学の基本となる分子運動、平衡論、速度論の基本概念を学ぶ。加えて、赤外分光およびX線回折による光の物理現象を利用した構造決定手法を学ぶ。実験、演習、考察課題、レポートの作成や定期試験を通じ、各実験の基礎知識を説明できる能力や論理的に考察を書ける能力を習得する。
【化学工学実験】
化学工学の知識は独創性や応用面への活用が必要であり、学習には実験と実習が欠かせない。装置に直接触れて、装置の構成と操作方法を理解すると共に理論および計算式を実験データと対比して理解できるようにする。
【生物工学実験】
前半は、生物工学の基礎となる実験方法を習得するとともに、実験を通して、微生物学と生物化学の知識を習得する。
後半においては,生物多様性保全における課題(開発による絶滅危惧種の増加)を野外で観察・記録・考察し,生物多様性保全にむけての現状を把握する。
授業の進め方・方法:
【物理化学実験】
一回の授業で効率よく知識を習得するため、実験と簡単な演習を組み合わせた形式で講義を展開する。また、実験テーマによっては講義を行う。
【化学工学実験】
各テーマごとの実験装置を操作してデータの取り方、データの解析を行い、装置内で発生する現象を工学的に処理する方法を学び、実験を通じて解析に用いる物質、運動量、エネルギー収支および原理を深く理解させる。また、装置の運転、配管の実習などを通して、実際の技術を習得する。
【生物工学実験】
実験と講義
注意点:
【物理化学実験】
白衣、保護メガネ、上履き、実験ノート、関数電卓を忘れずに持参すること。
テキスト中にわからないことがある場合、教科書や図書館にある専門書を調べることを推奨する。
原則、すべての実験を行う必要がある。装置の故障など、状況に応じて実験テーマが変更される可能性がある。
【化学工学実験】
「化学工学基礎」「化学工学1」で習得した内容を基礎とする。数学、物理、物理化学、化学工学を十分に理解しておくことが望ましい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 【オリエンテーション】
2週 【生物工学実験】滅菌・無菌操作 滅菌、無菌操作など、生物工学実験に必要な器具の準備ができる。
3週 【生物工学実験】微生物の培養 微生物が培養できる。
4週 【生物工学実験】光学顕微鏡観察 光学顕微鏡によって生物試料を観察できる。
5週 【中間試験】
6週 【講義】化学工学実験のオリエンテーション 実験の心構え、評価方法、実験ノート・レポートの書き方を理解する。単蒸留を復習する。
7週 【化学工学実験】水-メタノールの単蒸留 蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支の計算をすることができる。
8週 【化学工学実験】固体乾燥 単位操作としての乾燥の原理を理解しデータ解析の計算ができる。平衡含水率と限界含水率の推定ができる。
4thQ
9週 【化学工学実験】活性炭による酢酸の液相吸着(1) 単位操作としての吸着の原理を理解しデータ解析の計算ができる。吸着等温線の作成ができる。
10週 【化学工学実験】活性炭による酢酸の液相吸着(2) 吸着の操作、吸着量の測定と計算ができる。
11週 【化学工学実験】活性炭による酢酸の液相吸着(3) 吸着等温線の作成ができる。多孔質の比表面積を計算することができる。
12週 【化学工学実験】粒度分布 円管の摩擦損失を説明でき、流量および圧力を用いて摩擦係数の計算とムーディ線図の作成ができる。
13週 【化学工学実験】蒸留塔 篩分法の原理と操作を理解し、粒度分布図の作成ができる。
14週 【化学工学実験】円管の摩擦損失 蒸留塔の原理を理解しデータ解析の計算ができる。
15週 【講義】粒度分布・円管の摩擦損失 流量・流速の計測、温度など化学プラントで計測される諸物性の測定方法を説明できる。
16週 【期末試験答案返却】

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

定期試験レポートその他合計
総合評価割合306010100
基礎的能力1020030
専門的能力2040060
分野横断的能力001010