物質化学基礎実験B

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物質化学基礎実験B
科目番号 1413T11 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 化学コース 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 配布するテキストプリント
担当教員 小西 智也,鄭 涛,西岡 守,中村 厚信,大田 直友,吉田 岳人,大谷 卓,上田 康平

到達目標

物理化学の土台となる、分子の運動、平衡論、速度論に関する実験技術を習得すること。
物質収支とエネルギー収支の観点から 流体、伝熱の原理が説明でき、操作を身につけること。
気液分離(蒸留)、乾燥、吸着、粉体に関する原理が説明でき、操作を身につけること。
微生物を培養するための基本的な操作を習得する
生体物質を抽出して、分離し、解析する
生物多様性保全における課題を観察し,現状を把握する
チーム内の人と協力して実験とデータ整理の実施ができること。
原理を応用する能力と工程設計の内容について計画、データ整理、レポート作成能力を身につけること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安
評価項目1各実験テーマに関する応用問題を解くことができる。各実験テーマに関する基礎問題を解くことができる。各実験テーマに関する基礎知識を説明できる。
評価項目2レポート作成時に、設問だけでなく、独自に問題を設定し、論理的に考察できる。レポート作成時に、設問を論理的に考察できる。レポートで論理的な考察を記述できる。
評価項目3図や表、模式図を用い、読みやすいレポートを記述できる。レポートの形式に従い、科学的な文章を記述できる。科学的な文章を記述できる。
評価項目4チーム内での役割を認識し、主体的に行動できる。チーム内でコミュニケーションを取り、協調的に行動できる。チームで作業・実験を進めることができる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
【物理化学実験】
物理化学は化学反応や状態変化を定量的に理解する上で有効なツールであり、有機化学、無機化学、分析化学、化学工学でも重要な役割を果たす。本講義では実験を通して、物理化学の基本となる分子運動、平衡論、速度論の基本概念を学ぶ。加えて、赤外分光およびX線回折による光の物理現象を利用した構造決定手法を学ぶ。実験、演習、考察課題、レポートの作成や定期試験を通じ、各実験の基礎知識を説明できる能力や論理的に考察を書ける能力を習得する。
【化学工学実験】
化学工学の知識は独創性や応用面への活用が必要であり、学習には実験と実習が欠かせない。装置に直接触れて、装置の構成と操作方法を理解すると共に理論および計算式を実験データと対比して理解できるようにする。
【生物工学実験】
前半は、生物工学の基礎となる実験方法を習得するとともに、実験を通して、微生物学と生物化学の知識を習得する。
後半においては,生物多様性保全における課題(開発による絶滅危惧種の増加)を野外で観察・記録・考察し,生物多様性保全にむけての現状を把握する。
授業の進め方・方法:
【物理化学実験】
一回の授業で効率よく知識を習得するため、実験と簡単な演習を組み合わせた形式で講義を展開する。また、実験テーマによっては講義を行う。
【化学工学実験】
各テーマごとの実験装置を操作してデータの取り方、データの解析を行い、装置内で発生する現象を工学的に処理する方法を学び、実験を通じて解析に用いる物質、運動量、エネルギー収支および原理を深く理解させる。また、装置の運転、配管の実習などを通して、実際の技術を習得する。
【生物工学実験】
実験と講義
注意点:
【物理化学実験】
白衣、保護メガネ、上履き、実験ノート、関数電卓を忘れずに持参すること。
テキスト中にわからないことがある場合、教科書や図書館にある専門書を調べることを推奨する。
原則、すべての実験を行う必要がある。装置の故障など、状況に応じて実験テーマが変更される可能性がある。
【化学工学実験】
「化学工学基礎」「化学工学1」で習得した内容を基礎とする。数学、物理、物理化学、化学工学を十分に理解しておくことが望ましい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 【オリエンテーション・基礎確認演習】
実験の心構え、評価方法、実験ノート・レポートの書き方を理解する。基礎知識を演習形式で確認する。
2週 【物理化学実験】気体の状態方程式 空気の圧力、体積、温度を計測し、状態方程式の使い方を理解する。
3週 【物理化学実験】データの整理と基本統計量 実験で得られたデータを整理することができ、様々な基本統計量を算出することができる。
4週 【物理化学実験】相関係数と基本統計量 誤差を含むデータについて相関係数および回帰曲線を導出することができる。
5週 【物理化学実験】熱量測定 熱量の測定方法を説明でき、実験で求めることができる。
6週 【物理化学実験】ブラウン運動 コロイドのブラウン運動の観察を通して、分子運動の特徴を理解する。
7週 【物理化学実験】一次反応の反応速度 過酸化水素水の分解速度を計測し、反応速度と活性化エネルギーを算出することができる。
8週 【物理化学実験】粘度測定 エタノール溶液の粘度を計測する方法を説明でき、実験により求めることができる。
2ndQ
9週 【中間試験】
10週 【物理化学実験】銀試料の合成 粉末X線回折測定に用いる銀試料を合成する。
11週 <講義>赤外吸収スペクトル測定および解析(1)
<講義>粉末X線回折測定および解析(1)
赤外吸収スペクトル,粉末X線回折測定について、原理、測定法、解析法を説明できる。
12週 【物理化学実験】粉末X線回折測定および解析(2) 塩化銀、銀の粉末X線回折パターンから格子定数を算出し、結晶構造を解析することができる。
13週 【物理化学実験】赤外吸収スペクトル測定および解析(2) 塩化水素の赤外吸収スペクトルから回転準位エネルギーから原子間結合距離を計算できる。
14週 【物理化学実験】電池の起電力測定 ダニエル電池や濃淡電池の起電力を計測し、電池の構成と仕組みについて説明できる。
15週 【物理化学実験】硫酸銅(II)5水和物の合成と熱分析 硫酸銅(II)5水和物を合成し、熱重量示差熱分析によって熱分解過程を評価できる。
16週 【期末試験答案返却】
後期
3rdQ
1週 【オリエンテーション】
2週 【生物工学実験】滅菌・無菌操作 滅菌、無菌操作など、生物工学実験に必要な器具の準備ができる。
3週 【生物工学実験】微生物の培養 微生物が培養できる。
4週 【生物工学実験】光学顕微鏡観察 光学顕微鏡によって生物試料を観察できる。
5週 【中間試験】
6週 【講義】化学工学実験のオリエンテーション 実験の心構え、評価方法、実験ノート・レポートの書き方を理解する。単蒸留を復習する。
7週 【化学工学実験】水-メタノールの単蒸留 蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支の計算をすることができる。
8週 【化学工学実験】固体乾燥 単位操作としての乾燥の原理を理解しデータ解析の計算ができる。平衡含水率と限界含水率の推定ができる。
4thQ
9週 【化学工学実験】活性炭による酢酸の液相吸着(1) 単位操作としての吸着の原理を理解しデータ解析の計算ができる。吸着等温線の作成ができる。
10週 【化学工学実験】活性炭による酢酸の液相吸着(2) 吸着の操作、吸着量の測定と計算ができる。
11週 【化学工学実験】活性炭による酢酸の液相吸着(3) 吸着等温線の作成ができる。多孔質の比表面積を計算することができる。
12週 【講義】粒度分布・円管の摩擦損失 粒度分布の測定方法と評価方法を理解する。円管の摩擦損失を理解する。
13週 【化学工学実験】粒度分布 篩分法の原理と操作を理解し、粒度分布図の作成ができる。
14週 【化学工学実験】蒸留塔 蒸留塔の原理を理解しデータ解析の計算ができる。
15週 【化学工学実験】円管の摩擦損失 流量・流速の計測、温度など化学プラントで計測される諸物性の測定方法を説明できる。
16週 【期末試験答案返却】

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3

評価割合

定期試験レポートその他合計
総合評価割合306010100
基礎的能力1020030
専門的能力2040060
分野横断的能力001010