量子化学1

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 量子化学1
科目番号 1414D20 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 化学コース 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:真船文隆著 「量子化学-基礎からのアプローチ-」 化学同人
担当教員 吉田 岳人

到達目標

1.量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量のエルミート演算子表現、演算子の固有値と固有関数、重ね合わせの原理と期待値)を理解し、数理的に表現することができる。
2.1次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)と障壁透過問題(箱型ポテンシャル)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数・透過率を導出することができる。
3.3次元球対称ポテンシャル中の1電子問題についてシュレーディンガー方程式を立て、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて数理的及び空間的イメージを表現することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)
評価項目1量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量のエルミート演算子表現、演算子の固有値と固有関数、重ね合わせの原理と期待値)を理解し、数理的に表現することができる。量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量の演算子表現、演算子の固有値と固有関数、重ね合わせの原理と期待値)を理解し、数理的に表現することができる。量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量のの固有値と固有関数、重ね合わせの原理)を理解し、数理的に表現することができる。
評価項目21次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)と障壁透過問題(箱型ポテンシャル)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数・透過率を導出することができる。1次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数を導出できる。1次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数を導くための方法を説明できる。
評価項目33次元球対称ポテンシャル中の1電子問題についてシュレーディンガー方程式を立て、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて数理的及び空間的イメージを表現することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。3次元球対称ポテンシャル中の1電子問題についてシュレーディンガー方程式を立て、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて空間的イメージを表現することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。3次元球対称ポテンシャル中の1電子問題について、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて説明することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義は、化学分野の基盤科目である物理化学の中でも、20世紀前半に急速に進展した量子化学について、その基礎を数学的手段を駆使した一貫した理論体系として把握する。次に化学への重要な応用として、水素原子の電子軌道に関して数理的に理解することを学ぶ。具体的問題解法を多く取り入れることで理解力を涵養し、応用化学分野への適応能力を身につける。この科目は企業で、半導体集積素子の設計及び製造プロセスの研究・開発を担当していた教員が、その経験を活かし、量子化学の基礎について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
授業内容は授業計画を参照すること。基本的に講義形式をとる。板書が主体であるが,関連資料のスライド紹介も取り入れる.学生への発問はするので(3-5回/1コマ),積極的に答えること。指名されない学生も積極的に考えること。計15回(計約60問)の課題は、自主的に考えて解き問題解法の力を養うこと。
注意点:
4年生までの数学・物理・化学系科目の知識を前提として活用するので、これらの内容をしっかり復習しておくこと。また授業各回毎に出された課題の実施を含む自学自習が不可欠である。授業時間内に自学自習課題の解説を十分に行うことは不可能なので、疑問点があれば質問に来ること。質問にあたっては、先ず自分で調べ考えてみて、何が理解できなかったのかをはっきりさせてから質問に来ること。
シラバス指定参考書:原田義也著 「量子化学(上)・(下)」 裳華房

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 量子化学の基本概念1 エネルギーと振動数、運動量と波数ベクトル、時間に依存する波動関数とシュレーディンガー方程式を、数式表現した上で、変数分離することで,時間に依存しないシュレーディンガー方程式を導出できる.
2週 量子化学の基本概念2 時間に依存しないシュレーディンガー方程式を自由粒子に適用し,一般解を導出し,エネルギー固有値を波数で表現できる.
3週 シュレーディンガー方程式の簡単な応用1:1次元井戸型ポテンシャルでの束縛
1次元井戸型ポテンシャルの束縛状態において、固有関数とエネルギー固有値を導出できる。
4週 シュレーディンガー方程式の簡単な応用2:1次元近似の化合物パイ電子共役系への応用 共役ポリエンの電子状態を1次元近似により定式化し、1,3-ブタジエン, 1,3,5-ヘキサトリエン中のパイ電子エネルギー準位を算出できる。
5週 シュレーディンガー方程式の簡単な応用3:調和振動子 調和振動子の束縛状態において、固有関数とエネルギー固有値を計算できる。
6週 量子化学の基礎原理1 波動関数とその確率解釈, 直交性, 期待値, および物理量の演算子表現, 固有方程式・固有関数・固有値, に関して数式表現に基づいて説明できる。
7週 量子化学の基礎原理2 ハイゼンベルグの不確定性原理について物理的意味を説明でき、 交換関係から一般的な不確定性関係を導く方法を説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 3次元直交座標系における自由粒子の閉じ込め 3次元直交座標系におけるシュレーディンガー方程式を変数分離し固有値問題として解くことにより,この系のエネルギー準位を計算し,固有関数の形状を図示することができる.
10週 球対称ポテンシャルと3次元極座標 3次元極座標におけるシュレーディンガー方程式関係する各概念(ラプラシアン、変数分離法、角度成分固有関数としての球面調和関数)を数式表現に基づいて説明できる。
11週 軌道角運動量 定義、演算子L^2, Lzの交換関係と極座標表現、固有方程式, 固有関数, 固有値、を数式表現に基づいて説明できる。
12週 水素原子1:固有関数, 3種の量子数, エネルギー準位 クーロンポテンシャル動径成分の固有関数とエネルギー固有値、全固有関数と主量子数・方位量子数・磁気量子数に関して数式表現に基づいて説明できる。
13週 水素原子2:基底状態(1s軌道) 基底状態の電子軌道(1s軌道)において、動径方向の概形を図示し、1s軌道の平均半径を算出できる。
14週 水素原子3:励起状態(2s, 2p軌道) 励起状態の電子軌道(2s, 2p軌道)、2s軌道動径方向の概形と2p軌道の方位性の概形を図示できる。
15週 水素原子4:動径方向の特性 基底状態・励起状態における動径方向の波動関数を用いて,電子存在確率の極大値・半径の期待値などを計算できる。エネルギー準位に関して、リュドベリー-ボーアモデルとの比較を論ずることができる。
16週 期末試験答案返却・解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

定期試験小テストポートフォリオ発表・取り組み姿勢その他合計
総合評価割合6000040100
基礎的能力200001030
専門的能力300002050
分野横断的能力100001020