物質化学実験

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物質化学実験
科目番号 1414T06 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 化学コース 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:4
教科書/教材 レジュメ・テキストを配布する
担当教員 中村 厚信,西岡 守,吉田 岳人,大田 直友,鄭 涛,大谷 卓,杉山 雄樹,小西 智也,上田 康平

到達目標

各研究室における研究テーマに関連する実験(調査)を実施することにより、研究における課題解決のプロセスを体得する。「学生実験」と「卒業研究」の根本的な違いについて認識する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1研究テーマにおける解決すべき課題を自分で発見できる。研究テーマにおける解決すべき課題について説明できる。研究テーマにおける解決すべき課題について説明できない。
評価項目2研究テーマにおける課題の解決方法を自分で提案できる。研究テーマにおける課題の解決方法を説明できる。研究テーマにおける課題の解決方法について説明できない。
評価項目3課題の解決方法にかかる実験(調査)の意味・意義を理解した上で遂行できる。課題の解決方法にかかる実験(調査)を遂行できる。課題の解決方法にかかる実験(調査)を遂行できない。
評価項目4実験(調査)の実施結果について自分の考察内容を説明できる。実験(調査)の実施結果を説明できる。実験(調査)の実施結果を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
学生は4〜5名の少人数グループに分かれ、最初の4回は生化学的な実験を行う。その後、週替りで化学コースの全研究室をまわる。各研究室で提示される実験または調査に取り組むことで、自分が所属したい研究室・取り組みたい研究テーマの指針を定めるとともに、卒業研究を実施する上で必要な作法(課題の抽出と解決にかかる考え方・取り組み方)について学ぶ。この科目のうち4校時分は、企業で半導体集積素子の設計及び製造プロセスの研究・開発を担当していた教員が、その経験を活かし、物質化学について実験形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
あらかじめ配布されるレジュメで実験内容や作業工程を予習しておき、各研究室において卒業研究のテーマに関連する実験または調査に取り組む。実験・調査終了後はレポートを提出し、実施内容に関する小テストを受ける。
【授業時間60時間+自学自習時間30時間】
注意点:
1. 各回のはじめに安全確保についての説明があるので、開始時間までにレジュメに記載された場所に集合すること。
2. それぞれの実験または調査にふさわしい衣服・履物・保護用品を着用すること(詳しくはレジュメを参照のこと)。
3. それぞれの実験または調査に必要な物品を携帯すること(詳しくはレジュメを参照のこと)。
4. 担当教員の指示や注意事項に従い、気を引き締めて取り組むこと。
5. レポートは実験(調査)終了後1週間以内に提出すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 実験ガイダンス 実験時の安全対策とこれからの実験内容を説明できる。
2週 DNA、タンパク質の抽出 DNA、タンパク質を抽出できる。
3週 制限酵素処理 DNAを制限酵素処理後に電気泳動で分離できる。
4週 タンパク質の活性測定 タンパク質の活性を測定できる
5週 透光性アルミナセラミックスの焼結 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
6週 外来種の分布状況調査-タンポポ調査 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
7週 セラミックス蛍光体の作製と評価 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
8週 チタン酸リチウムナノ粒子の合成と評価 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
2ndQ
9週 マンデル酸の光学分割 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
10週 各研究室の卒業研究テーマに関連する実験(調査)の実施。 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
11週 物質の分離と成分分析 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
12週 各研究室の卒業研究テーマに関連する実験(調査)の実施。 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
13週 各研究室の卒業研究テーマに関連する実験(調査)の実施。 各実験(調査)の意味を説明でき、安全に実施することができる。
14週 実験(調査)内容における発表・試問の実施 これまでに実施した実験(調査)の結果について説明し、どのような問題解決につながったかを説明できる。
15週 企業・研究機関における研究開発について学習 実務における課題発見および問題解決について説明できる。
16週 予備日

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4
蒸留による精製ができる。4
吸引ろ過ができる。4
再結晶による精製ができる。4
分液漏斗による抽出ができる。4
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4
収率の計算ができる。4
分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。4
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4
化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3
他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験小テスト相互評価態度レポートその他合計
総合評価割合02000800100
基礎的能力0100040050
専門的能力0100040050