到達目標
1.熱力学の基礎概念と熱力学第1法則を理解し、関連した熱力学的問題を解析的手法で解き、定量的解を得ることができる。また化学への応用として、標準反応熱及び任意温度の反応熱を求めることができる。
2.熱力学第2法則、エントロピー、熱力学基本法則から、断熱系ではエントロピー増大の方向に状態変化することを理解する。ギブスエネルギーとヘルムホルツエネルギーを用いて、状態変化の方向と平衡条件を表現できる。
3.相平衡と溶液に熱力学的手法を取り入れることで、これらの性質を解析的手法で導き、定量的解を得ることができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 熱力学の基礎概念と熱力学第1法則を理解し、関連した熱力学的問題を解析的手法で解き、定量的解を得ることができる。また化学への応用として、標準反応熱及び任意温度の反応熱を求めることができる。(参考書レベル) | 熱力学の基礎概念と熱力学第1を理解し、関連した熱力学的問題を解析的手法で解き、定量的解を得ることができる。また化学への応用として、標準反応熱及び任意温度の反応熱を求めることができる。(指定教科書レベル) | 熱力学の基礎概念と熱力学第1を理解し、関連した熱力学的問題を解析的手法で解き、定量的解を得ることができない。また化学への応用として、標準反応熱及び任意温度の反応熱を求めることができない。 |
評価項目2 | 熱力学第2法則、エントロピー、熱力学基本法則から、断熱系ではエントロピー増大の方向に状態変化することを理解する。ギブスエネルギーとヘルムホルツエネルギーを用いて、状態変化の方向と平衡条件を表現できる。(参考書レベル) | 熱力学第2法則、エントロピー、熱力学基本法則から、断熱系ではエントロピー増大の方向に状態変化することを理解する。ギブスエネルギーとヘルムホルツエネルギーを用いて、状態変化の方向と平衡条件を表現できる。(指定教科書レベル) | .熱力学第2法則、エントロピー、熱力学基本法則から、断熱系ではエントロピー増大の方向に状態変化することを理解できない。ギブスエネルギーとヘルムホルツエネルギーを用いて、状態変化の方向と平衡条件を表現できない。 |
評価項目3 | 相平衡と溶液に熱力学的手法を取り入れることで、これらの性質を解析的手法で導き、定量的解を得ることができる。(参考書レベル) | 相平衡と溶液に熱力学的手法を取り入れることで、これらの性質を解析的手法で導き、定量的解を得ることができる。(指定教科書レベル) | 相平衡と溶液に熱力学的手法を取り入れることで、これらの性質を解析的手法で導けず、定量的解を得ることができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
本講義は、化学分野の基礎となる物理化学の中で、19世紀に確立した熱力学について、数学的手段を強化して一貫した理論体系として把握する。次に化学への重要な応用として、相平衡と溶液を熱力学の観点から数理的に理解することを学ぶ。演習問題を多く取り入れることで問題解決能力を養い、応用化学分野への適応能力を身につける。
授業の進め方・方法:
授業内容は授業計画を参照すること。基本的に講義形式をとる。板書が主体であるが,関連資料のスライド紹介も取り入れる.学生への発問はするので(3-5回/1コマ),積極的に答えること。指名されない学生も積極的に考えること。計15回(計約60問)の課題は、自主的に考えて解き問題解法の力を養うこと。
注意点:
3年生までの数学・物理・化学系科目の知識を前提として活用するので、これらの内容をしっかり復習しておくこと。また授業各回毎に出された課題の実施を含む自学自習が不可欠である。授業時間内に自学自習課題の解説を十分に行うことは不可能なので、疑問点があれば質問に来ること。質問にあたっては、先ず自分で調べ考えてみて、何が理解できなかったのかをはっきりさせてから質問に来ること。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
熱力学の基礎概念 |
熱力学に必要な基礎概念(SI単位系、圧力、熱容量・比熱、熱、仕事、内部エネルギー等を理解し、換算などの簡単な計算ができる。
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2週 |
熱力学第1法則:熱力学第1法則 |
第1法則とその基となる各種過程(準静的、可逆・不可逆)について説明でき、和差による各種計算に活用できる。
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3週 |
熱力学第1法則:各種変化 |
各種(定積・定圧・等温・断熱)変化における内部エネルギー・エンタルピー・仕事などの計算ができて、断熱変化においては、マイヤーの関係式・ポアッソンの式を理解し活用できる。
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4週 |
熱力学第1法則:反応熱 |
標準生成熱から標準反応熱を計算し、キルヒホッフの式を用いて任意の温度の反応熱が計算できる。
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5週 |
熱力学第2法則: |
第2法則を定性的に理解し説明できる。カルノーサイクルの動作を理解し、作業物質を理想気体とした場合の効率を計算できる。
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6週 |
熱力学第2法則: |
第2法則(熱比の式)から状態量であるエントロピーの存在を導出できる。膨張・温度変化など各種変化のエントロピー計算ができる。
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7週 |
熱力学第2法則: |
熱力学ポテンシャル(ギブスエネルギー、ヘルムホルツエネルギー)を用いて、等温・等圧変化、等温・等積変化の方向あるいは平衡状態を説明することができる。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
熱力学第2法則: |
マックスウェルの関係式を理解し、熱力学的状態量(独立、従属)間の関係を導くことができる。またギブス-ヘルムホルツの式を導出できる(平衡定数温度依存性の基礎)。
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10週 |
熱力学第3法則: |
第3法則に基づいて標準エントロピーにつて説明できる。簡単な化学反応におけるエントロピー変化(任意温度)を計算することができる。
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11週 |
相平衡と溶液: |
相転移・相平衡について理解し、ギブスの相律を活用することができる。純物質の状態図を理解し、クラウジウス-クラペイロンの式を理解・活用して、圧力変化と相転移温度の関係を導ける。
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12週 |
相平衡と溶液: |
2成分系の気-液平衡条件を理解し、ラウールの法則から理想溶液の蒸気圧を計算できる。
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13週 |
相平衡と溶液: |
ヘンリーの法則から理想希薄溶液の蒸気圧・液体のガス吸収を計算できる。また活量の定義から実在溶液の蒸気圧・沸点を算出できる。
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14週 |
相平衡と溶液: |
2成分系気-液状態図から沸点関連温度・気相モル分率・指定モル分率に対する蒸留回数・指定温度の液相全量などを求められる。
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15週 |
相平衡と溶液: |
束一的性質を理解し、沸点上昇、凝固点効果、浸透圧からの分子量算出ができる。
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16週 |
期末試験答案返却・解答解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 0 | 0 | 0 | 0 | 40 | 100 |
基礎的能力 | 15 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 25 |
専門的能力 | 30 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 50 |
分野横断的能力 | 15 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 25 |