到達目標
1.量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量のエルミート演算子表現、演算子の固有値と固有関数、重ね合わせの原理と期待値)を理解し、数理的に表現することができる。
2.1次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)と障壁透過問題(箱型ポテンシャル)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数・透過率を導出することができる。
3.3次元球対称ポテンシャル中の1電子問題についてシュレーディンガー方程式を立て、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて数理的及び空間的イメージを表現することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安(可) |
評価項目1 | 量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量のエルミート演算子表現、演算子の固有値と固有関数、重ね合わせの原理と期待値)を理解し、数理的に表現することができる。 | 量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量の演算子表現、演算子の固有値と固有関数、重ね合わせの原理と期待値)を理解し、数理的に表現することができる。 | 量子力学の基礎原理(シュレーディンガー方程式と波動関数、波動関数の確率解釈、物理量のの固有値と固有関数、重ね合わせの原理)を理解し、数理的に表現することができる。 |
評価項目2 | 1次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)と障壁透過問題(箱型ポテンシャル)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数・透過率を導出することができる。 | 1次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数を導出できる。 | 1次元空間の粒子(電子)の束縛状態(井戸型ポテンシャル、調和振動子)に、シュレーディンガー方程式を適用することで、エネルギー準位・固有関数を導くための方法を説明できる。 |
評価項目3 | 3次元球対称ポテンシャル中の1電子問題についてシュレーディンガー方程式を立て、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて数理的及び空間的イメージを表現することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。 | 3次元球対称ポテンシャル中の1電子問題についてシュレーディンガー方程式を立て、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて空間的イメージを表現することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。 | 3次元球対称ポテンシャル中の1電子問題について、低次の軌道に関して方位量子数・磁気量子数を用いて説明することができる。水素原子のエネルギー準位を主量子数を用いて説明できる。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
本講義は、化学分野の基盤科目である物理化学の中でも、20世紀前半に急速に進展した量子化学について、その基礎を数学的手段を駆使した一貫した理論体系として把握する。次に化学への重要な応用として、水素原子の電子軌道に関して数理的に理解することを学ぶ。具体的問題解法を多く取り入れることで理解力を涵養し、応用化学分野への適応能力を身につける。
授業の進め方・方法:
授業内容は授業計画を参照すること。基本的に講義形式をとる。板書が主体であるが,関連資料のスライド紹介も取り入れる.学生への発問はするので(3-5回/1コマ),積極的に答えること。指名されない学生も積極的に考えること。計15回(計約60問)の課題は、自主的に考えて解き問題解法の力を養うこと。
注意点:
4年生までの数学・物理・化学系科目の知識を前提として活用するので、これらの内容をしっかり復習しておくこと。また授業各回毎に出された課題の実施を含む自学自習が不可欠である。授業時間内に自学自習課題の解説を十分に行うことは不可能なので、疑問点があれば質問に来ること。質問にあたっては、先ず自分で調べ考えてみて、何が理解できなかったのかをはっきりさせてから質問に来ること。
シラバス指定参考書:原田義也著 「量子化学(上)・(下)」 裳華房
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
量子化学の基本概念 |
エネルギーと振動数、運動量と波数ベクトル、波動関数とシュレーディンガー方程式を、数式表現した上で、意味を説明できる。
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2週 |
シュレーディンガー方程式の簡単な応用:1次元井戸型ポテンシャルでの束縛 |
1次元井戸型ポテンシャルの束縛状態において、固有関数とエネルギー固有値を導出できる。
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3週 |
シュレーディンガー方程式の簡単な応用:1次元箱型ポテンシャルの障壁透過 |
1次元箱型ポテンシャルの障壁透過において、波動関数を設定し透過率を計算できる。
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4週 |
シュレーディンガー方程式の簡単な応用:1次元近似の化合物パイ電子への応用 |
共役ポリエンの電子状態を1次元近似により定式化し、1,3-ブタジエン, 1,3,5-ヘキサトリエン中のパイ電子エネルギー準位を算出できる。
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5週 |
シュレーディンガー方程式の簡単な応用:調和振動子 |
調和振動子の束縛状態において、固有関数とエネルギー固有値を計算できる。
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6週 |
量子化学の基礎原理 |
波動関数とその確率解釈, 物理量の演算子表現, 固有方程式・固有関数・固有値, に関して数式表現に基づいて説明できる。
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7週 |
量子化学の基礎原理 |
波動関数の直交性, 期待値, 時間に依存するシュレーディンガー方程式とその波動関数の変数分離, に関して数式表現に基づいて説明できる。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
量子化学の基礎原理:不確定性関係 |
ハイゼンベルグの不確定性原理について物理的意味を説明でき、 交換関係から一般的な不確定性関係を導く方法を説明できる。
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10週 |
球対称ポテンシャルと3次元極座標 |
3次元極座標におけるシュレーディンガー方程式関係する各概念(ラプラシアン、変数分離法、角度成分固有関数としての球面調和関数)を数式表現に基づいて説明できる。
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11週 |
軌道角運動量 |
定義、演算子l^2, lzの交換関係と極座標表現、固有方程式, 固有関数, 固有値、を数式表現に基づいて説明できる。
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12週 |
水素原子:固有関数, 3種の量子数, エネルギー準位 |
クーロンポテンシャル動径成分の固有関数とエネルギー固有値、全固有関数と主量子数・方位量子数・磁気量子数に関して数式表現に基づいて説明できる。
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13週 |
水素原子:基底状態(1s軌道) |
基底状態の電子軌道(1s軌道)において、動径方向の概形を図示し、1s軌道の平均半径を算出できる。
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14週 |
水素原子:励起状態(2s, 2p軌道) |
励起状態の電子軌道(2s, 2p軌道)、2s軌道動径方向の概形と2p軌道の方位性の概形を図示できる。
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15週 |
水素原子:励起状態(3d軌道) |
励起状態の電子軌道(3d軌道)、3d軌道の方位性の概形を図示できる。エネルギー準位に関して、リュドベリー-ボーアモデルとの比較を論ずることができる。
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16週 |
期末試験答案返却・解答解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。 | 2 | |
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。 | 2 | |
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 4 | |
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。 | 4 | |
束一的性質を説明できる。 | 4 | |
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
エンタルピーの温度依存性を計算できる。 | 4 | |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
純物質の絶対エントロピーを計算できる。 | 4 | |
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。 | 4 | |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | |
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。 | 4 | |
評価割合
| 定期試験 | 小テスト | ポートフォリオ | 発表・取り組み姿勢 | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 0 | 0 | 0 | 40 | 100 |
基礎的能力 | 10 | 0 | 0 | 0 | 10 | 20 |
専門的能力 | 40 | 0 | 0 | 0 | 20 | 60 |
分野横断的能力 | 10 | 0 | 0 | 0 | 10 | 20 |