到達目標
「波動と場」は、電磁気学のみならず、光学、音響学、機械工学などさまざまな応用分野の基礎であり、理論と実験の両面により支えられている物理学の最先端を学ぶ上でも必要不可欠となる学問である。本講義では、数学的な波動の記述から本格的な波動方程式による取り扱いまでを中心に波動の基礎を学び、現代物理学の中核を占める「場」の概念をつかむことを目標とする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安(可) |
力学と振動 | 種々の振動の問題を線形代数、微分方程式を駆使して扱うことができ、質点系からの連続極限により波動方程式が導出できる | 減衰振動や強制振動などの典型的問題を数学的手法を用いて処理できる | 減衰振動や強制振動などの典型的問題を定式化できる |
1+1次元波動 | 場の方程式から得られるエネルギーや運動量などの保存則について論ずることができる | フーリエ展開を利用して波動方程式の完全な固有関数系を構成できる | 境界条件を考慮して波動方程式の具体例を扱うことができる |
3次元への拡張 | ベクトル解析やテンソル代数の基本事項を用いて波動方程式の具体例の導出を行える | 3次元波動方程式の議論に必要なベクトル解析やテンソル代数の基本事項に習熟している | 波動方程式の多成分・空間3次元への拡張について説明でき、具体例をあげることができる |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
本科、第1学年で学んだ工学に現れる波動の題材から選んだ具体例を通じて現代物理学の中核を占める「場」の概念を学ぶ。
授業の進め方・方法:
授業は教科書に沿って内容を説明する形で進めます。実際の問題に取り組むための演習も行います。
【授業時間30時間+自学自習時間15時間】
注意点:
十分な自学自習の時間を求めます。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
数学的準備 |
波動を扱うために必要な数学的事項に習熟する
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2週 |
単振動と減衰振動 強制振動 パラメータ励振 |
種々の振動問題を微分方程式として立式できる
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3週 |
固有値問題としての連成振動 連成振動の一般論 (質点+ばね)の鎖の連続極限 |
連成振動の一般解を行列の固有値問題を利用して求めることができる
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4週 |
弦の微小横振動と1+1次元波動方程式の一般解 初期値問題 1+1次元波動の境界での反射:境界条件 |
弦の微小横振動から1+1次元波動方程式を導出できる
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5週 |
流体中の音波 定常波と変数分離 |
流体中の音波を記述する波動方程式を導出できる
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6週 |
フーリエ級数 フーリエ展開と変数分離 |
フーリエ展開を用いて波動方程式を処理できる
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7週 |
分散関係と群速度 波動のエネルギーと運動量 |
波動方程式の保存則を説明できる
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
3次元空間内の波の記述 変位と場 勾配、湧き出し度、渦度 |
3次元空間内を伝わる波動の記述に必要な基礎事項を説明できる
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10週 |
弾性体と流体 完全流体の基礎方程式 |
完全流体の基礎方程式を書き下せる
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11週 |
テンソル代数 物体の変形と歪みテンソル 弾性体に働く力と応力テンソル |
テンソル代数の基礎事項を用いて弾性体を扱うことができる
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12週 |
フック則 ヤング率とポアソン比 等方媒質中の弾性波 |
ヤング率やポアソン比などを用いて弾性体を説明できる
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13週 |
電磁場の方程式と4ベクトルポテンシャル ゲージ不変性 真空中の電磁場に対する波動方程式 |
電磁気学の基本方程式にあるゲージ対称性について説明できる
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14週 |
光の歴史 幾何光学極限とフェルマーの原理 干渉と回折の基本事項 |
干渉と回折の現象を波動方程式の解の性質から説明できる
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
期末試験返却 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 小テスト | ポートフォリオ | 発表・取り組み姿勢 | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 20 | 20 | 10 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 50 |
専門的能力 | 30 | 10 | 10 | 0 | 0 | 50 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |