物性化学

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物性化学
科目番号 5517Z03 科目区分 専門 / 必修
授業形態 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 応用化学コース 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 平山令明「はじめての量子化学」講談社ブルーバックス / 染川賢一「有機分子の分子軌道計算と活用」九州大学出版会
担当教員 小西 智也

到達目標

1. 分子軌道法についてその概念と原理について説明できる。
2. 分子軌道計算ソフトを使うことができる。
3. 分子軌道計算を使って分子の各種物性や反応性について議論できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安
評価項目1分子軌道法の計算手法を説明できる。分子軌道法の原理を説明できる。分子軌道を説明できる。
評価項目2分子軌道法によって電荷分布と電子密度を計算できる。分子軌道法によって分子軌道エネルギーを計算できる。分子軌道法によって分子の立体構造を計算できる。
評価項目3分子軌道法によって分子の反応性を議論できる。分子軌道法によって分子の各種物性を議論できる。分子軌道法によって分子の安定性を議論できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
これまでに、物質が示す様々な物性について学び、また「物性」は物質の「組成」と「構造」によって決まることを学んできた。それは何故か?それを解く鍵はシュレーディンガー方程式Hψ=Eψである。本講では、分子軌道法を通して、分子の「組成」と「構造」によって電子状態が決まり、それによって物性が原理的に説明できることを理解する。まず分子軌道の概念を復習をした上で、具体的な量子化学計算の手法(Hartree-Fock法、変分法、自己無撞着法)について学習する。次に、いくつかの分子を題材として実際に分子軌道計算を行い、分子の立体構造、極性、酸性度、色、反応性等について議論する。さらに応用として、有機高分子の赤外吸収スペクトルを測定し、分子軌道法によって計算した結果と比較検討する実習も行う。
授業の進め方・方法:
講義と実習を通して学習する。実習はBYOD形式にて行うので、各自ノートパソコンとイヤホンを持参すること。各自のノートパソコンにインストールした分子構造モデリングソフトと量子化学計算ソフトを用いたハンズオン学習とする。定期試験は、量子化学計算ソフトの実技試験を含む。
注意点:
教科書の各週の授業内容に関連する箇所を事前に読んでおくこと。
シラバス指定参考書:藤永茂「入門分子軌道法」講談社

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 講義:原子の成り立ち 1. 原子の構成と電子配置を説明できる。 2. 波動関数とシュレーディンガー方程式を説明できる。 3. 量子数と構成原理を説明できる。
2週 講義:原子から分子へ(1) 1. 分子軌道を説明できる。 2. 分子軌道の導出法を説明できる。 3. 水素分子の分子軌道を導出できる。
3週 実習:原子から分子へ(2) 1. 量子化学計算ソフトにふれる。 2. 水素分子の分子軌道を計算できる。 3. 水素分子の分子軌道を表示できる。
4週 講義:分子軌道法から求められるもの(1) 1. 多体問題を説明できる。 2. Hartree方程式を説明できる。 3. 変分法と自己無撞着法を説明できる。
5週 実習:分子軌道法から求められるもの(2) 1. エタンの立体構造を計算できる。 2. エタンの分子軌道を計算できる。 3. エタンの電子密度と生成熱を計算できる。
6週 講義:分子軌道法から求められるもの(3) 1. スレーター行列式とHartree-Fock方程式を説明できる。 2. LCAO近似とHartree-Fock-Roothaan方程式を説明できる。 3. 非経験的分子軌道法と半経験的分子軌道法の違いを説明できる。
7週 実習:分子の構造を知る(1) 1. Zマトリックスを説明できる。 2. 構造最適化計算により、π電子の非局在化を説明できる。 3. 分子の立体配座解析をすることができる。
8週 講義・実習:分子の構造を知る(2) 1. 分子の生成熱を計算し、安定性を議論できる。 2. 分子の軌道エネルギーを計算し反応性を議論できる。 3. 分子の静電ポテンシャルを計算し極性を議論できる。
2ndQ
9週 講義・実習:電子の分布が分子の性質を決める(1) 1. エタノール、フェノール、酢酸の酸性度の違いを評価できる。 2. 分子内の電荷分布を計算できる。 3. 分子間に働く相互作用を計算できる。 
10週 講義・実習:電子の分布が分子の性質を決める(2) 1. 溶媒の効果を説明できる。 2. 溶媒によるグリシンの化学構造変化を計算できる。 3. グリニャール試薬の働きを計算し、説明できる。
11週 講義・実習:分子の色を知る(1) 1. 電子相関を説明できる。 2. 配置間相互作用(CI)法を説明できる。 3. 分子の励起状態と電子スペクトルを計算できる。
12週 実習:分子の色を知る(2) 1. 複雑な構造をもつ分子の構築・修正をすることができる。 2. 分子構造の変化と電子スペクトルへの影響を評価することができる。 3. 計算により指示薬の色の変化を予測できる。
13週 講義・実習:化学反応を予測する(1) 1. カルボカチオンの安定性を評価できる 2. 各原子上のフロンティア軌道の分布を評価できる。 3. フロンティア軌道の分布から反応性を予測できる
14週 実習:化学反応を予測する(2) 1. 赤外吸収スペクトルと振動モードを計算することができる。 2. SN2反応のTS最適化計算とIRC計算を実行し、反応の方向を予測できる。 3. SN2反応の置換基効果を評価できる。
15週 実習:化学反応を予測する(3) 1. フロンティア軌道理論とウッドワード・ホフマン則を説明できる。 2. 電子環状反応の立体特異性を説明・計算できる。 3. Diels-Alder反応のendo則を説明・計算できる。
16週 【答案返却】

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験提出物合計
総合評価割合7030100
基礎的能力351550
専門的能力351550