到達目標
1. 古典物理の体系が前提とする実在論や決定論では理解、説明できない現象が存在することを典型的な例をもちいて説明できる。
2. 二準位スピン系を例に量子力学の基礎と量子情報・量子測定の諸概念を説明できる。
3. 物理操作が状態空間に作用するユニタリー演算子で記述できることを説明でき、それにもとづいて量子系の時間発展を記述するシュレディンガー方程式を導くことができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
隠れた変数の理論 | 隠れた変数の理論が従うCHSH不等式を説明でき、量子力学が不等式を破ることの意味を説明できる。 | 隠れた変数の理論が従うCHSH不等式を説明できる。 | 隠れた変数の理論が従うCHSH不等式を説明できない。 |
量子力学の基礎 | 二準位スピン系を用いて、物理量の観測確率や期待値が量子状態を定めることを説明できる。ボルン則により量子状態かの密度演算子や状態ベクトルから物理量の確率分布を計算できる。 | 二準位スピン系を用いて、物理量の観測確率や期待値が量子状態を定めることを説明できる。 | 物理量の観測確率や期待値が量子状態を定めることを説明できない。 |
物理操作と量子系の時間発展 | 物理操作が状態空間に作用するユニタリー演算子で記述できることにもとづいて量子系の時間発展を記述するシュレディンガー方程式を導くことができ、量子系の対称性と保存則の関係を説明できる。 | 物理操作が状態空間に作用するユニタリー演算子で記述できることにもとづいて量子系の時間発展を記述するシュレディンガー方程式を導くことができる。 | 物理操作が状態空間に作用するユニタリー演算子で記述できることにもとづいて量子系の時間発展を記述するシュレディンガー方程式を導くことができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
量子力学は現代科学技術の根底をなす最も基本的な理論体系の一つであり、将来の科学技術の発展も量子力学の理解なくしては達成されない。本講義では、量子情報・量子測定を中心とした量子力学の基礎を学び、現代物理学の考え方を習得する。
授業の進め方・方法:
各回の内容を参考書に従って詳細に講義します。
【授業時間30時間】
注意点:
本科、専攻科1年時に学習した物理学、数学の内容を完全に理解していることを前提に講義します。
参考書:現代の量子力学(吉岡書店)サクライ=ナポリターノ(著)、量子論の基礎(サイエンス社)清水明(著)
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
隠れた変数の理論と量子力学 |
CHSH不等式
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2週 |
二準位系の量子力学 |
量子状態の記述
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3週 |
多準位系の量子力学 |
多準位系への拡張
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4週 |
合成系の量子状態 |
テンソル積
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5週 |
物理量の相関と量子もつれ |
エンタングルメントエントロピー
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6週 |
量子操作および時間発展 |
シュレディンガー方程式
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7週 |
量子測定 |
不確定性関係
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
一次元空間の粒子の量子力学 |
位置演算子と運動量演算子
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10週 |
量子調和振動子 |
零点エネルギー
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11週 |
磁場中の荷電粒子 |
ランダウ準位
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12週 |
粒子の量子的挙動 |
トンネル効果
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13週 |
空間回転と角運動量演算子 |
二準位スピンの角運動量演算子
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14週 |
三次元球対称ポテンシャル問題 |
水素原子
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15週 |
量子情報物理学 |
量子コンピュータ
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16週 |
期末試験返却 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 中間・定期試験 | ポートフォリオ | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
専門的能力 | 70 | 30 | 100 |