物理学特論

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理学特論
科目番号 5997F05 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科共通 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 量子力学10講(名古屋大学出版 谷村省吾著)
担当教員 園田 昭彦

到達目標

思考実験を用いてミクロとマクロの違いを説明できる.ブラケットの計算ができる.ボルンの確率解釈を説明できる.エルミート共役とエルミート演算子を説明できる.簡単な例で固有値と固有ベクトルを計算できる.ユニタリー変換や行列の対角化の計算ができる.円周上や直線上の粒子の存在確率を計算できる.ボルンの確率公式を説明できる.パウリ行列の計算ができる.ロバートソンの不確定性関係とケナードの不確定性関係の表式を導出できる.CHSH不等式の破れを示すことができる.2状態系の時間発展方程式を解くことができる.生成・消滅演算子を用いて調和振動子のエネルギー固有値を計算できる.調和振動子の波動関数をエルミート多項式で表現できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限の到達レベル(可)
状態ベクトルと演算子無限次元ヒルベルト空間の必要性を論じ,粒子の連続スペクトルを求めることができる.調和振動子の生成・消滅演算子の計算ができ,固有関数とエネルギー固有値を求めることができる.状態ベクトルと演算子の簡単な例を計算できる.
量子力学における確率解釈波束の収縮や干渉効果を説明でき,確率を求めることができる.簡単な例で確率を求めることができる.思考実験を用いてミクロとマクロの違いを説明できる.
量子効果とその諸問題エンタングルメントや不確定性関係を説明ができ,応用問題を解くことができる.エンタングルメントや不確定性関係の例題を解くことができる.不確定性関係の簡単な例を計算できる.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
量子力学は原子や電子などミクロの世界のものたちの性質や運動法則を数学的に書き表し,ミクロの世界の現象を予測するための理論である.工学分野にも関係し,金属などの材料物性,半導体,超伝導,量子情報,量子コンピュータ,量子化学などあらゆる分野で量子力学が基礎となっている.本講義では,量子力学の考え方を導入し,線形代数学に基づく抽象的な概念であるヒルベルト空間,状態ベクトル,確率,物理量を表す演算子,行列表示,ユニタリー変換を説明する.その後,本講義の中心になる,位置と運動量,非可換物理量の量子効果,複合系とエンタングルメント,運動方程式,最後には具体例として,調和振動子を取り上げる.また,必要に応じて,数学の復習を行う.
授業の進め方・方法:
講義では理解できないことや疑問に思ったことなどは積極的に質問すること.また,友達や先輩と積極的に議論を行うこと.予習→講義→復習,このサイクルを大切にし,自分の理解度が定量的に分かるようにしておくこと.
【授業時間30時間】
注意点:
本科,専攻科で学習した物理学や数学の内容を理解していることを前提とする.必要に応じて受講前までに復習しておくこと.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 量子力学の考え方 思考実験を用いてミクロとマクロの違いを説明できる.
2週 状態を表すベクトル ブラケットの計算ができる.
3週 ボルンの確率解釈 ボルンの確率解釈を説明できる.
4週 演算子 エルミート共役とエルミート演算子を説明できる.
5週 固有値・固有ベクトル 簡単な例で固有値と固有ベクトルを計算できる.
6週 行列表示とユニタリー変換と対角化 ユニタリー変換や行列の対角化の計算ができる.
7週 位置と運動量 円周上や直線上の粒子の存在確率を計算できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 可換物理量と結合確率 ボルンの確率公式を説明できる.
10週 非可換物理量の量子効果 パウリ行列の計算ができる.
11週 不確定性関係 ロバートソンの不確定性関係とケナードの不確定性関係の表式を導出できる.
12週 複合系とエンタングルメント CHSH不等式の破れを示すことができる.
13週 運動方程式 2状態系の時間発展方程式を解くことができる.
14週 調和振動子のエネルギー固有値 生成・消滅演算子を用いて調和振動子のエネルギー固有値を計算できる.
15週 調和振動子の波動関数 調和振動子の波動関数をエルミート多項式で表現できる.
16週 期末試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

中間・定期試験小テストポートフォリオ発表・取り組み姿勢その他合計
総合評価割合50203000100
基礎的能力2520150060
専門的能力250150040
分野横断的能力000000