公民Ⅱ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 公民Ⅱ
科目番号 190008 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 間宮陽介 他著『政治・経済』東京書籍 ISBN 978-4-487-18720-1,自作プリント教材
担当教員 田口 淳

到達目標

民主主義の本質について理論的・体系的に理解を深める。
また,現代の政治,経済,国際関係などについて客観的に理解するとともに,現実の情勢並びに諸課題を主体的に探究・考察し,公正な判断力を養い,良識ある公民としての必要な能力と態度を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
現代の政治に関する理解現代の政治情勢について十分説明ができる。現代の政治情勢について概略説明ができる。現代の政治情勢について説明ができない。
現代の国際社会に関する理解現代の国際社会の情勢について十分説明ができる。現代の国際社会の情勢について概略説明ができる。現代の国際社会の情勢について説明ができない。
現代の経済に関する理解現代の経済情勢について十分説明ができる。現代の経済情勢について概略説明ができる。現代の経済情勢について説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
①民主主義の本質について理論的・体系的に理解を深めます。
②現代の政治,経済,国際関係などについて客観的に理解するとともに,現実の情勢を主体的に探究する態度を身につけます。
③日本国憲法の基本原理,日本の政治機構などについて理解し,現代の政治の諸課題について考察を深めます。
④「法の支配」の意義について理解を深めるとともに,現実の社会における法の機能について学び,国民の司法参加の意義や課題について考察します。
⑤現代経済のしくみを基礎的な経済理論の観点から理解するとともに,国民経済の動向および,政府の役割と日本経済が抱える課題などについて考察します。
⑥国際社会の現状と諸課題について理解し,国際社会に生きる日本の役割について考察します。
⑦以上の理解や考察を踏まえて,現代社会の諸課題について主体的に考察するとともに公正な判断力を養い,良識ある公民としての必要な能力と態度を身につけます。
授業の進め方・方法:
講義形式を基本とする。要点は板書もしくはプリントを配布しながら進めていく。
適宜,現代社会に関するテーマについての討論等を通して,各自の思索が深まるようにする。
注意点:
日頃から新聞・ニュースに関心を持ちながら,現代社会の諸問題について考える機会を設けてほしい。単位追認試験は実施する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバス説明,政治の必要性について考える
作文(政治と人間生活など)
「政治の必要性」に関する討議を通して,「政治の必要性」を理解する
2週 第1章第1節 民主政治の基本原理 
①民主政治の成立        
②基本的人権の確立
民主政治の基本原理について,その成り立ちを歴史的な観点から理解し,また,民主主義を支える「法の支配」の原理についてその意義を学び,実社会を規制する法の意義や機能について理解する。
人権の意義と歴史的経緯および人権の国際化の現状について理解する。
3週 ③現代の民主政治         
④世界の主な政治体制
民主政治の本質について歴史的経緯や脆弱性,今日的な課題について理解する。
民主政治の主たる形態である議院内閣制と大統領制について,その特徴を理解すると共に,イスラム諸国の政治体制,および社会主義国の変遷や権力集中制をとる国々の現状について理解する。
4週 第2節 日本国憲法の基本原理  
①日本国憲法の制定と基本原理  
②基本的人権の保障       
③平和主義
日本国憲法の成立過程と三大基本原理である国民主権,基本的人権の尊重,平和主義について歴史的な経緯を踏まえながら理解する。
日本国憲法が保障する基本的人権について,平等権,自由権,社会権などに関する具体的な判例に則しながら,その特徴と課題について理解する。                       日本国憲法の根本理念である平和主義について理解すると共に,現実の課題である日米安全保障条約にともなう沖縄の米軍基地の問題や自衛隊の現状などについて理解する。
5週 第3節 日本の政治機構     
①国会と立法          
②内閣と行政           
国会が「国権の最高機関」とされることの意義と三権分立との関係を理解する。また,二院制を採用している意義と特徴および衆議院の優越がどのように機能しているかについて理解し,日本の国会の権限と課題について理解する。
戦前と戦後の内閣の違いを理解した上で,内閣の機能や内閣総理大臣の権限を理解する。また,世界的な傾向である行政国家化と官僚制の問題を考え,あわせて日本の行政をめぐる諸課題と改革の動きについて理解する。
6週 ③裁判所と司法
④地方自治
司法のあり方について,戦前と現行憲法下の共通点と異なる点を考察し,三審制のしくみや違憲法令審査権の意義,検察審査会の役割などについて理解する。また,国民の司法参加と司法改革の動きやさらなる課題についても理解する。                            民主政治における地方自治の意義とあり方について理解すると共に,国と地方との関係や課題,住民の政治参加のしくみと意義について理解する
7週 第4節 現代政治の特質と課題
①戦後政治と政党
②選挙と政治意識
③世論と政治参加
民主政治における政党や利益集団の意義と役割について考察し,あわせて日本における政党の歴史的経緯について理解する。
「18歳選挙権」を念頭におき,民主政治における選挙の意義を理解し,そこから導き出される選挙の原則を理解する。また,選挙制度の類型とそれぞれの特徴を理解するとともに,日本の選挙制度が抱える課題や問題点について理解する。
世論の役割を考察し,世論形成に大きな影響を及ぼすマスメディアの現状とあり方について考えながら,国民の新たな政治参加の仕方について理解する。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 試験返却・解説
第5節 現代の国際政治
①国際政治の特質
②国際社会と国際法
国際社会の成立過程と主権国家と国際社会の関係について学習し,国際組織や地域的機構など主権国家以外の構成要素や新たに登場してきたNGOの役割について理解する。
国際社会の秩序維持にとって,国際法がどのような役割を果たしているかを理解すると共に,国際法に基づく司法的解決の制度について理解する。
10週 ③国際連合の役割と課題
④戦後国際関係の展開と日本     
国際平和の実現のために形成された勢力均衡や集団安全保障のしくみについて理解する。また,その具体化である国際連合の成立過程やしくみ,役割と課題について理解する。
第二次世界大戦後の冷戦構造の変遷について学習し,冷戦の終結後もなぜ紛争などの問題が起こっているのかについても理解を深める。
11週 ⑤国際政治の課題
⑥地球環境と資源・エネルギー問題
⑦国際社会における日本の役割
第二次世界大戦後の核軍拡競争の流れと非核化,軍縮の努力について学習し,地域紛争の現状と難民の問題や2001年以降拡散するテロリズムについて理解する。
地球環境問題と資源・エネルギー問題についてその現状と課題や環境保護への取組みについて理解する。                      地球規模の課題に対応するには何が重要かを考察し,また,今日の国際社会における日本外交の課題について理解する。
12週 第2章第1節 現代の資本主義経済
①資本主義体制の成立
②資本主義経済の発展と変容
資本主義経済の成立と特徴を経済理論との関係を理解する。
資本主義経済の変容について理解を深め,社会主義経済の理論と現状,また,1970年代以降に台頭した新自由主義について理解する。
13週 第2節 現代経済のしくみ
①経済主体と経済の循環
②生産のしくみと企業
経済主体間の結びつきをもとに,経済活動の循環について理解する。
企業の種類や規模について,それぞれの特徴を理解する。
14週 ③市場経済の機能と限界
④国民所得と経済成長
資本主義経済の核心をなしている市場の働きについて理解し,市場の失敗についても理解を深めます。
国民経済をマクロ的にとらえることの意義を理解し,物価や景気の変動が国民生活におよぼす影響についても理解する。
15週 ⑤金融のしくみと機能
⑥財政のしくみと機能
金融の基本的なしくみとともに銀行や中央銀行が果たす役割について理解する。また,金融の自由化など金融をめぐる環境の変化についても理解を深める。
租税の意義や財政の基本的な役割を理解すると共に,財政の課題と財政改革の必要性についても理解する。
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 第3節 日本経済の発展と産業構造の変化
①経済再建から高度成長へ
②オイルショック後の日本経済
③日本経済の現状
第二次世界大戦後の日本経済復興期の諸改革や高度経済成長にいたる経緯と背景について理解する。                  オイル・ショック後の日本経済の変容と産業構造の変化について理解し,バブル経済とその崩壊について理解する。           「構造改革」の特徴と影響について考察し,世界金融危機や東日本大震災後の日本経済の現状について理解する。                
2週 第4節 福祉社会と日本経済の課題
①公害と環境保全
②消費者問題
日本経済の発展とともに発生した公害問題と政府による公害への対策の動きを理解し,環境問題の解決と循環型社会の形成に向けての方策を理解する。                  消費者問題とは何か,またその背景に何があるかを考え,消費者主権の意義を理解する。
3週 ③農業・食料問題
④中小企業の現状と課題
日本農業の現状と農業政策の変遷を理解し,食料問題や日本農業の課題について理解する。
中小企業の地位と役割について理解し,日本の中小企業の現状と課題について理解する。
4週 ⑤雇用と労働問題
⑥社会保障と福祉
労働問題と労働運動の歴史的経緯について学習し,労働者の権利や労働組合の意義について理解する。また,雇用環境の変化と現代の労働問題について理解する。
社会保障制度の歴史について,外国も含めた発展の経緯について学習し,日本の社会保障制度の4つの柱について理解する。また,人口減少社会の問題点や課題とその解決策について理解する。
5週 第5節 国民経済と国際経済
①貿易と国際収支
②国際経済体制の展開
貿易の意義,自由貿易の利点などについてリカードの比較生産費説をもとに理解する。また,国際収支のとらえ方や外国為替のしくみを理解する。
国際通貨体制やIMF-GATT体制の変遷について理解すると共に,保護貿易主義の台頭と国際協調の動きについて理解する。
6週 ③発展途上国の経済
④地域主義の動き
南北問題や南南問題の歴史的な変遷と発展途上国の経済発展の状況および南北格差の是正について理解する。
EUの成立過程と現状について理解すると共に,ASEANやAPECなどさまざまな形態をとる地域的経済統合の動きについて理解する。
7週 ⑤グローバル化する世界経済 グローバル化の進展にともなうさまざまな経済環境の変化について考え,日本の役割について理解する。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 試験返却・解説
第3章第1節 日本社会の諸課題
①少子高齢化社会において社会保障はどうあるべきか?      
日本の政治や経済に大きな影響を与える少子高齢化について,どのような問題が起こるか理解する。
10週 ②どのようにして若者の労働環境を改善するか? 若者を取り巻く労働環境の現状を理解し,フリーターやニート,非正規雇用の増加について背景や問題点を理解する。
11週 第2節 国際社会の諸課題
①地球環境にやさしいエネルギーをどう確保するか?
世界のエネルギー供給の現状と課題を理解し,原子力発電の動向について2011年の福島第一原子力発電所事故以後の動きを理解する。また,再生可能エネルギーの開発状況を確認し,省資源・省エネルギーの取り組みの必要性について理解する。
12週 ②経済援助は貧困を削減できるか? 国際的な経済格差と貧困の現状を理解する。また,国際社会による経済援助の現状とその問題点について理解すると共に,開発援助のあるべき姿についても理解する。
13週 ③パレスチナ問題とは何か? 国際社会の課題の一つであるパレスチナ問題に焦点を当て,歴史的経緯や問題の所在,宗教対立の根深さなどについて理解を深める。
14週 ④地球社会で日本がなすべきことは何か? 現在の地球社会で実現すべき価値は何か,地球社会はその価値の実現のためにどのような状況のもとにおかれているか,日本にはそのためのどのような能力があるのかを理解する。
15週 総まとめ
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会公民的分野自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力90000010100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000