工業物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 工業物理Ⅱ
科目番号 210113 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:高橋正雄 著「工科系の基礎物理学」東京教学社 ISBN 978-4808220648,及びプリント配布,参考書:大熊政明 著「新・工業力学 ― 例解から応用への展開 ―」数理工学社 ISBN 978-4901683241,金宮好和「英語で学ぶロボティクス」 コロナ社 ISBN 978-4-339-04588-8
担当教員 滝 康嘉,山崎 容次郎

到達目標

1.剛体のつり合い問題について,力とモーメントのつり合い式を求め解くことができる。
2.剛体の運動方程式を求め,運動を計算することができる。
3.3次元空間における剛体の姿勢を表現することができる。
4.応力-ひずみの関係式を用いて,弾性体の問題を解くことができる。
5.応用物理実験やセンサ計測の原理や実問題を理解し,結果を解析できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複雑な剛体のつり合い問題を解くことができる簡単な剛体のつり合い問題を解くことができる。簡単な剛体のつり合い問題を解くことができない。
評価項目2剛体の運動方程式を求め,運動を計算することができる。簡単な剛体の運動方程式を求め,運動を計算することができる。簡単な剛体の運動方程式を求め,運動を計算することができない。
評価項目33次元の剛体の姿勢の表現方法を理解でき,複数の手法で表現することができる。3次元の剛体の姿勢の表現方法を理解でき,簡単な問題で表現することができる。3次元の剛体の姿勢の表現方法を理解できず,表現できない。
評価項目4応力-ひずみの関係式を用いて,弾性体の問題を解くことができる。応力-ひずみの関係式を用いて,弾性体の基礎的な問題を解くことができる。応力-ひずみの関係式を用いて,弾性体の基礎的な問題を解くことができない。
評価項目5応用物理実験やセンサ計測といった実問題の結果の解析ができ,その力学的理論を説明できる。応用物理実験やセンサの力学的原理を理解し,結果の解析ができる。応用物理実験やセンサ計測について理解も分析もできない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
質点系・剛体の力学の基礎理論とその導出過程を理解することによって,物理的思考力を身につけるとともに,機械工学への応用力を身に付ける。また,連続体としての弾性体の基礎を理解する。特に3次元CAD・CAEを扱う上で必要となる基礎知識・基礎的概念の習得を目指し,ドローンの姿勢表現や慣性センサの力学的原理についても取り扱う。
授業の進め方・方法:
最初に物理現象や工学的応用を例示しイメージや学習意義をつかんでもらった後,基礎理論と基本的な例題を取り上げる。授業の後半は演習を主体とし,理解を深めてもらう。内容によっては,学生が予習やグループ学習で取り組む演習も設定する。また,必要に応じて課題演習やレポートを課し,理解と実践力の習熟を図る。
注意点:
・演習室等の使用で授業場所が変更になる場合もありますので,注意して下さい。
・オフィスアワーは別途指示しますが,メールやTeamsのチャットでも質問を受け付けます。
・また,クラウドやTeamsを介して講義資料を公開する予定です。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,剛体の力学の概説 剛体やその力学の概念を理解できる。
2週 力のモーメント 二次元問題の力のモーメントを計算することができる。
3週 剛体のつり合い 二次元問題の剛体のつり合い問題を解くことができる。
4週 重心の計算 剛体の重心を求めることができる。
5週 重心の計算 積分を使って剛体の重心を求めることができる。
6週 ベクトルの外積
力のモーメント角運動量
ベクトルの外積を使って,力のモーメントと運動量ベクトルを求めることができる
7週 重心の運動
質点系の回転運動
質点系の並進の運動方程式と回転の運動方程式を理解する
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 剛体の回転運動の関係式 剛体の回転運動の式と回転の運動エネルギーを理解する
10週 慣性モーメント 簡単な形の物体の慣性モーメントを計算することができる
11週 固定軸を持つ剛体の運動
固定軸を持つ剛体の運動を解くことができる。
12週 平行軸の定理
剛体振り子
平行軸の定理を応用し剛体振り子の固有振動数や振動周期を計算することができる。
13週 剛体の平面運動の運動方程式(1) 剛体の平面運動の運動方程式の導出課程を理解する。
14週 剛体の平面運動の運動方程式(2) 剛体の平面運動の運動方程式を立てて,解くことができる。
15週 剛体の平面運動と力学的エネルギー 剛体の平面運動の力学的エネルギーを利用して,剛体の運動を計算することができる。
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 姿勢を表す回転行列とオイラー角 3次元空間における姿勢の表現方法を理解できる。
2週 ロール・ピッチ・ヨー角,単位四元数(クォータニオン) 3次元空間における姿勢の表現方法を理解できる。
3週 慣性センサとその原理 慣性センサの力学的原理を理解できる。
4週 角運動量と慣性テンソル,オイラーの運動方程式 慣性テンソルの特徴やオイラーの運動方程式を理解できる。
5週 ラグランジュの運動方程式 ラグランジュの運動方程式を導出できる。
6週 応用物理実験・測定演習 応用物理の実問題の結果を分析でき,理論を理解できる。
7週 応用物理実験・測定演習 応用物理の実問題の結果を分析でき,理論を理解できる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 試験返却と解説,固体の変形,応力ーひずみ曲線 ひずみや応力を説明できる。
10週 弾性定数(ヤング率,ポアッソン比) ヤング率やポアッソン比の意味を正しく理解して使うことができる。
11週 弾性定数(体積弾性率,剛性率),弾性体のエネルギー 体積弾性率や剛性率の意味を正しく理解して使うことができる。
12週 弾性定数間の関係 ヤング率とポアッソン比から体積弾性率と剛性率を求めることができる。
13週 棒の引っ張り 引っ張られた棒のひずみや伸びを求めることができる。
14週 ねじれ ねじれ振り子の振動周期や丸棒のねじれ定数を求めることができる。
15週 棒の曲げ 曲率と曲げモーメントの関係式を導くことができる。
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
力のモーメントを求めることができる。3前2
角運動量を求めることができる。3前6,後4
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前6,後4
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前2
重心に関する計算ができる。3前1,前4,前5
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前1,前10
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前1,前7,前9,前11,前12,前13,前14,前15,後4,後5
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4前1,前6
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4前2
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4前2,前3
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4前4,前5,前11,前12,前13,前14,前15
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4前9,後3,後4,後5
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4前15,後5
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4前15,後5
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4前7,前9,前11,前13,前14,後4,後5
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4前9,前11,前12,前13,前14,前15,後4
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後1,後9
応力とひずみを説明できる。4後1,後9
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4後2,後3,後4,後10,後11,後12
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。4後6,後14
部材が引張や圧縮を受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4後3,後11

評価割合

試験提出課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力301040
専門的能力402060
分野横断的能力000