電子工学基礎

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 電子工学基礎
科目番号 190210 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:物理 (実教出版,佐藤 文隆 他著)
担当教員 鹿間 共一

到達目標

自由電子運動の基礎を理解するうえで重要となる気体分子の運動についてて理解する。
エレクトロニクスの基礎知識の理解と電子の振る舞いやバンド図についての基礎的な理解に基づいて,半導体や電子デバイスの原理や動作などについて理解するとともに、これから学習するエレクトロニクス科目の基礎知識を身に着ける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
気体の分子運動と気体の性質気体の分子運動という観点から気体の特性について理解し説明することが出来るとともに知識を応用して種々の問題が解ける気体の分子運動という観点から気体の特性について理解し説明することが出来る気体の分子運動という観点から気体の特性について理解し説明することが出来ない
半導体の特性と半導体を用いたデバイス半導体および半導体素子の原理をバンド図を基に説明できるとともに、新しい素子についてもこの知識を基に理解することが出来る半導体および半導体素子の原理をバンド図を基に説明できる半導体および半導体素子の原理をバンド図を基に説明できない
半導体デバイスの利用半導体素子を使った応用回路の原理につて自ら理解していける能力を持っている半導体素子を使った簡単な応用回路の原理につて説明できる半導体素子を使った簡単な応用回路の原理につて説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電子工学(エレクトロニクス)を勉強していくために必要となる基礎的概念について、定性的に理解を深め今後エレクトロニクスを学んでゆくための基礎知識を身に付ける。
授業の進め方・方法:
教科書の内容を中心とし,板書をしながら講義を進めていく。特に半導体に関する項目については教科書にない内容を大幅に追加して講義する。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物質の3態変化、気体分子の熱運動、気体の圧力 物質の熱運動について理解し、3態における運動状態の違いを説明することが出来る
2週 ボイルの法則、シャルルの法則、理想気体の状態方程式 気体における状態方程式を熱運動と絡めて説明することが出来る
3週 気体分子の運動と圧力 気体分子の運動を用いて圧力の式の導出ができる
4週 気体の内部エネルギー、気体のする仕事 気体のする仕事について導出することが出来る
5週 熱力学の第1法則、気体の状態変化(1) 気体の状態変化について式を用いて計算できる
6週 気体の状態変化(2) 気体の状態変化について式を用いて計算できる
7週 サイクル、不可逆変化 気体の状態変化について式を用いて計算できる
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 原子構造 原子の構造を説明することが出来る
10週 放電現象、 放電現象について説明することが出来る
11週 電界と磁界中で電子が受ける力 電界、磁界中の電子が受ける力を計算することが出来る
12週 トムソンの実験 トムソンの実験式を導出することが出来る
13週 ミリカンの実験、光電子放出 光電子放出について説明することが出来る
14週 光電効果の特性、光の粒子性 光電子放出について説明することが出来る
光の2重性の概念について説明できる
15週 エレクトロンボルト、X線 電子ボルトにつて説明することが出来る
X線について説明することが出来る
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 バンド構造の形成 なぜバンド構造が形成されるか説明することが出来る
2週 導体、絶縁体、半導体のバンド構造、 材料の違いによりバンド構造が異なり、バンド構造の違いによりどのように電気伝導度の違いが出てくるか説明することが出来る
3週 フェルミ分布、真性半導体、 フェルミ分布について説明することが出来る
真性半導体についてその特徴が説明できるとともに、正孔の概念についても説明することが出来る
4週 n型半導体、p型半導体、 n形、p形半導体のバンド構造とそのようなバンド構造になる理由を説明することが出来る
5週 拡散とドリフト、電流密度と移動度、 電気伝導のメカニズムについて説明することが出来る
固体中の電量密度を移動度を用いて表すことが出来る
6週 電気抵抗、ダイオードの構造、pn接合のバンド構造 導電率から抵抗値を求めることが出来る
p型半導体とn型半導体を接合したときのバンド図について説明することが出来る
7週 順方向電圧とバンド構造 順方向電圧を加えた時のバンド図の変化を説明することが出来る
順方向電流が流れることを説明できる
8週 後期中間試験
4thQ
9週 逆方向電圧とバンド図 逆方向電圧を加えた時のバンド図を描き、逆方向電流が流れる理由を説明することが出来る
10週 ダイオードの電圧-電流特性とダイオードを用いた回路の解法 ダイオードの電圧-電流特性とダイオードを用いた回路の解法について説明でき、簡単なダイオードを含む回路の解析ができる
11週 整流回路、半端整流回路 半端整流回路と平滑回路について説明することが出来る
全波整流の回路を説明できる
12週 クリッパ回路、種々のダイオード素子 クリッパ回路等の動作原理を説明できる
種々のダイオード応用素子の動作について説明できる
13週 トランジスタの構造と働き トランジスタの構造と動作について説明できる
14週 トランジスタの動作原理 トランジスタの動作原理をバンド図を使って説明できる
15週 MOSFET MOSFETの動作について説明することが出来る
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。2
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。2
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。2
熱機関の熱効率に関する計算ができる。2
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。3
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
気体の分子運動2525
半導体と半導体デバイス5050
半導体デバイスの利用2525