電気回路Ⅱ・同演習

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電気回路Ⅱ・同演習
科目番号 200225 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義,演習 単位の種別と単位数 学修単位: 3
開設学科 電気情報工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 3
教科書/教材 教科書:大下眞二郎,「電気回路」,共立出版
担当教員 漆原 史朗

到達目標

1.簡単なひずみ波形を入力とする定常解解析を行うことができる。
2.電気回路について,基本法則に基づいて微分方程式を導出し,過渡現象解析を行うことができる。
3.ラプラス変換を用いたs領域の等価回路から過渡現象解析を行うことができる。
4. 集中定数回路と対比して分布定数系として回路を取扱う必然性や解析方法について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ひずみ波形を入力とする定常解解析フーリエ級数の物理的な意味を理解し,ひずみ波形を入力とする回路網解析を行うことができる。簡単なひずみ波形を入力とする定常解解析をフーリエ級数やフーリエ変換を用いて行うことができる。 簡単なひずみ波形を入力とする定常解解析をフーリエ級数やフーリエ変換を用いて行うことができない。
簡単な過渡現象解析基本法則に基づいて微分方程式を導出し,定常解,過渡解の意味を理解して過渡現象解析ができる。電気回路について,基本法則に基づいて微分方程式を導出し,過渡現象解析を行うことができる。電気回路について,基本法則に基づいて微分方程式を導出し,過渡現象解析を行うことができない。
ラプラス変換を用いた過渡現象解析インパルス応答,ステップ応答を理解し,回路解析に応用したs領域の等価回路から過渡現象解析を行うことができる。 s領域の等価回路を利用して過渡現象解析を行うことができる。s領域の等価回路を利用して過渡現象解析を行うことができない。
分布定数回路の定常解解析 分布定数系として回路を取扱う必然性や解析方法の違いについて理解した上で,分布定数回路の基本解を求めることができる。 集中定数回路と対比して分布定数系として回路を取扱う必然性や解析方法の違いについて説明できる。 集中定数回路と対比して分布定数系として回路を取扱う必然性や解析方法の違いについて説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気回路Ⅱでは,電気回路Ⅰで学んだ正弦波定常解析を踏まえて,過渡現象解析の一般解の導出過程を定着させる。さらに,工業数学で習熟したフーリエ変換,ラプラス変換を用いた回路解析を身に付け,高等数学と電気回路における物理現象との関係を理解し,応用できる能力を育む。また,これまで扱ってきた集中定数回路に対して分布定数系として回路を取扱う必然性や解析方法の違いを理解する。
授業の進め方・方法:
教科書の内容を中心とした講義と例題等の解説を行う。学生は「演習ノート」を用意して章末問題等の演習を行うなど,自主的に予習・復習して理解度を高める。
注意点:
・2回の試験結果(中間試験,期末試験)の平均点を評価とする。
・説明,証明問題では,数式等を用いて論理的に記述できているかどうかも含めて評価する。
・自主学習については「演習ノート」で確認する。
・本科目の単位は,高等専門学校設置基準第17条第4項により認定される。
・定期試験毎に「演習ノート」を提出する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
三角関数の直交性
ひずみ波形のフーリエ級数展開
フーリエ級数の物理的な意味を理解できる。
2週 対称なひずみ波形
ひずみ波形の実効値
ひずみ波形の電力
ひずみ波形をフーリエ級数展開して,実効値や電力を求めることができる。
3週 フーリエ変換と諸特性
線形回路に対する応答
フーリエ変換を用いて線形回路における定常解解析を行うことができる。
4週 過渡現象解析と微分方程式
微分方程式の一般解と定常解,過渡解
回路の微分方程式を導出し,定常解,過渡解を算出することができる。
5週 キャパシタとインダクタに関わる初期値
直流RL直列回路と時定数
キャパシタおよびインダクタに関わる初期条件を理解できる。直流RL直列回路の過渡解析ができる。
6週 直流RC直列回路と時定数
直流RLC直列共振回路の過渡現象
直流RC直列回路およびRLC直列共振回路の過渡解析ができる。
7週 交流回路の過渡解析 交流波形を入力した場合の回路網における過渡解析を行うことができる。
8週 中間試験
4thQ
9週 ラプラス変換の定義
逆ラプラス変換(部分分数展開)
ラプラス変換の物理的な意味合いを理解できる。また,部分分数展開を用いた逆ラプラス変換を行うことができる。
10週 回路方程式の導出(s関数)
インパルス・ステップ応答
インパルス応答,ステップ応答を理解し,回路解析に応用することができる。
11週 S回路法における抵抗,インダクタンス,キャパシタンスの取り扱い
S回路法における各素子の扱い方を理解して等価回路を導くことができる。
12週 S回路法を用いた回路解析 s領域の等価回路から過渡現象解析を行うことができる。
13週 分布定数回路と集中定数回路
基礎方程式(電信方程式)と基本解
集中定数回路と対比して分布定数系として回路を取扱う必然性や解析法の違いについて説明できる。
14週 進行波と位相速度
有限長線路の電圧,電流分布
分布定数回路の基本解を求めることができる。
15週 反射現象と定在波 反射現象について理解し,定在波の生じる理由や特性について説明することができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
ひずみ波形を入力とする定常解解析2525
簡単な過渡現象解析2525
ラプラス変換を用いた過渡現象解析2525
分布定数回路の定常解解析2525