回路設計(論理設計)

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 回路設計(論理設計)
科目番号 210213 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義,演習 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 参考書:伊原充博,他 著「ディジタル回路」コロナ社,五島正裕 著「ディジタル回路」数理工学社,Myke Predko 著,日向俊二 訳「独習デジタル回路」翔泳社
担当教員 北村 大地

到達目標

4年,5年前期までに修得した各専門科目や実験の知識をもとに,論理回路から成る電子機器を設計及び開発できることを目標とする。
前期では,基本的な素子の取り扱い方,データシートの読み方等の基礎的な知識を講義しつつ,汎用ロジックICを用いた337拍子生成回路を一例として製作し,さらに学生自ら自由に拡張や改良を行う。また,開発業務における安全上の注意点,チームでの開発マネジメント法,コミュニケーションスキル等を実践的に学ぶ。
後期では,FPGAによるストップウォッチの開発例を元に,自らデバイスの設計及び開発を行い,最終的に製作したデバイスの目的や特徴等をプレゼンテーションする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
設計制作能力自ら考えた設計仕様をまとめ,これに基づいて論理回路を設計し製作することができる。与えられた設計仕様に基づいて論理回路を設計し製作することができる。設計仕様に基づく論理回路が設計製作できない。
開発マネジメント能力チームでの開発において,各人の作業内容や責任を明らかにでき,円滑な開発を自らマネジメントできる。チームでの開発において,自分の作業内容に責任を持って従事できる。チームでの開発において,自分の作業内容を実行できない。
プレゼンテーション能力設計製作した論理回路やデバイス等を,他者にとって明確かつ魅力的に説明できる。設計製作した論理回路やデバイス等を,他者にとって明確に説明できる。設計製作した論理回路やデバイス等を他者に説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 C-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
これまで座学で学んだ回路設計の理論を実際のものづくりに活用して,技術者として必要な全般的な知識や技術を実践的に学ぶ。さらに,設計を通して社会における技術の必要性を理解し,技術者としての心構えを形成する。また,設計及び製作の中で,意見交換,討議を重ねることにより,コミュニケーション能力やチームマネジメント能力を高める。汎用ロジックICやFPGA等,実際の電子デバイスに利用されている機構を理解し,これらを用いた設計製作能力を養う。
授業の進め方・方法:
3~5人のチームに分かれて,個人またはチーム単位で設計仕様の決定,回路の設計,製作,及び改良を行う。初期段階においては,設計開発における安全上の注意事項や各素子のデータシートの読み方等基礎的な知識について解説を行い,その後はチーム単位での活動とする。
注意点:
・2年次の情報基礎数学,3年次の論理回路,4年次の計算機ハードウェア等で学習した知識が必要となる。
・教材については,適宜プリントを配布する。また,実験で用いる部品も支給・貸与する。
・事前連絡無く遅刻・欠席した場合,チームメイトが迷惑を被る。そのような無責任な行動は一般的に許されないことを理解してもらうために,個人成績(チームワーク)から減点する可能性がある。
・定期試験は前期期末試験のみ実施する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスと授業計画の説明,基本ICの種類と動作 論理回路における基本的な汎用ロジックICの種類や動作について説明できる。
2週 開発における安全上の注意,データシートの読み方,スイッチやLED等の取り扱い 論理回路における基本的な汎用ロジックICのデータシートの各項目の意味を説明できる。スイッチやLEDを適切に接続できる。
3週 チーム決め,マルチバイブレータ回路 抵抗,コンデンサ,論理反転を用いたマルチバイブレータ回路の動作原理を説明でき,設計できる。
4週 337拍子回路の要求仕様提示,回路図面製作,マルチバイブレータ回路設計製作 与えられた仕様に従って適切な要求仕様書,機能ブロック図,回路結線図,製造図面を作成できる.
5週 マルチバイブレータ回路設計製作 作成した仕様書及び設計図を基に論理回路を製作できる.
6週 マルチバイブレータ回路設計製作,337拍子回路設計製作 作成した仕様書及び設計図を基に論理回路を製作できる.
7週 マルチバイブレータ回路設計製作,337拍子回路設計製作 作成した仕様書及び設計図を基に論理回路を製作できる.
8週 337拍子回路設計製作,追加仕様設計製作 追加・変更された仕様に対して適切に仕様書及び設計図を修正でき,それに基づいて論理回路を製作できる.
2ndQ
9週 337拍子回路設計製作,追加仕様設計製作 追加・変更された仕様に対して適切に仕様書及び設計図を修正でき,それに基づいて論理回路を製作できる.
10週 337拍子回路設計製作,追加仕様設計製作 追加・変更された仕様に対して適切に仕様書及び設計図を修正でき,それに基づいて論理回路を製作できる.
11週 337拍子回路設計製作,追加仕様設計製作 追加・変更された仕様に対して適切に仕様書及び設計図を修正でき,それに基づいて論理回路を製作できる.
12週 制作物発表会 各チームで製作した回路を他者に魅力的かつ分かりやすくプレゼンテーションすることができる。
13週 FPGA設計演習 汎用ロジックICとFPGAの用途の違いやFPGAによる開発工程を具体的に説明できる.
14週 FPGA設計演習 FPGAとVerilog HDLを用いて実際に論理回路を設計し,仕様通りに駆動させることができる.
15週 FPGA設計演習 FPGAとVerilog HDLを用いて実際に論理回路を設計し,仕様通りに駆動させることができる.
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 デバイスの自由設計製作(アイデアの議論と要求仕様書の作成) 設計製作において,開発するデバイスについてチームで議論し適切な要求仕様書を作成できる.
2週 デバイスの自由設計製作(アイデアの議論と要求仕様書の作成) 設計製作において,開発するデバイスについてチームで議論し適切な要求仕様書を作成できる.
3週 デバイスの自由設計製作(機能ブロック図とプレゼンテーション資料の作成) 設計製作において,適切な機能ブロック図と事前報告会のための分かりやすいプレゼンテーション資料を作成できる.
4週 デバイスの自由設計製作(事前報告会と仕様の再検討) 設計製作において,開発予定のデバイスをチーム外の人に明確に説明でき,指摘された事項について再検討できる.
5週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書及び機能ブロック図の修正と報告書作成) 設計製作において,指摘された事項に関して要求仕様書と機能ブロック図を修正し,報告書を作成できる.
6週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗12.5%).
7週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗25.0%).
8週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗37.5%).
4thQ
9週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗50.0%).
10週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗62.5%).
11週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗75.0%).
12週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗87.5%).
13週 デバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) 設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗100%).
14週 デバイスの自由設計製作(プレゼンテーション資料の作成) 各チームで製作した電子デバイスの魅力的かつ分かりやすいプレゼンテーション資料を作成できる。
15週 制作物発表会 各チームで製作した電子デバイスを他者に魅力的かつ分かりやすくプレゼンテーションすることができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。3
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。3
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。3
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。3
キルヒホッフの法則を適用し、実験結果を考察できる。3
分流・分圧の関係を適用し、実験結果を考察できる。3
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。3
重ねの理を適用し、実験結果を考察できる。3
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。3
共振について、実験結果を考察できる。3
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。3
論理回路の動作について実験結果を考察できる。3
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3
ディジタルICの使用方法を習得する。3
情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】フローチャートなどを用いて、作成するプログラムの設計図を作成することができる。3
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。3
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。3
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。3
標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。1
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。1
要求仕様に従って標準的な手法によりプログラムを設計し、適切な実行結果を得ることができる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3
他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3
複数の情報を整理・構造化できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3

評価割合

試験発表相互評価作品(チームワーク含む)レポート合計
総合評価割合101055025100
専門的能力1000201040
創造的能力0105301560