制御理論

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 制御理論
科目番号 210223 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「制御基礎理論」,コロナ社,中野道雄,美多勉 共著
担当教員 漆原 史朗

到達目標

1. フィードバック制御系に関して,その利点と基本的な課題について説明することができる。
2. ラプラス変換を用いて動的システムを伝達関数の形で表現し,ブロック線図を用いて表すことができる。
3. インパルス応答,ステップ応答や定常偏差などのシステムの定常および過渡特性を求めることができる。
4. 周波数応答として,ベクトル軌跡やボード線図でシステムの特性を表現できる。
5. ナイキストの安定判別法を用いてシステムの安定性について吟味することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
フィードバック制御系の特性フィードバック制御系に関して,その利点と基本的な課題についてフィードフォワード制御系と比較して説明することができる。フィードバック制御系に関して,その利点と基本的な課題について説明することができる。フィードバック制御系に関して,その利点と基本的な課題について説明することができない。
伝達関数とブロック線図動的システムの線形表現を理解した上で,伝達関数やブロック線図を用いて制御システム全体を表すことができる。ラプラス変換を用いて動的システムを伝達関数の形で表現することができる。また,伝達関数で表された要素の結合と信号の流れを,ブロック線図を用いて表すことができる。ラプラス変換を用いて動的システムを伝達関数の形で表現することができない。また,伝達関数で表された要素の結合と信号の流れを,ブロック線図を用いて表すことができない。
システムの定常および過渡特性むだ時間を含むなどやや複雑なシステムのインパルス応答,ステップ応答やステップ入力,ランプ入力に対する定常偏差を求めることができる。簡単なシステムのインパルス応答,ステップ応答やステップ入力,ランプ入力に対する定常偏差を求めることができる。簡単なシステムのインパルス応答,ステップ応答やステップ入力,ランプ入力に対する定常偏差を求めることができない。
システムの周波数特性ベクトル軌跡やボード線図によってシステムの周波数特性を表現でき,周波数特性と伝達関数との関係を明確に説明できる。ベクトル軌跡やボード線図によって簡単なシステムの周波数特性を表現できる。ベクトル軌跡やボード線図によってシステムの周波数特性を表現できない。
安定性解析ナイキストの安定判別法(位相余裕,ゲイン余裕)を用いてフィードバック制御系設計に応用できる。ナイキストの安定判別法(位相余裕,ゲイン余裕)をについて説明できる。ナイキストの安定判別法(位相余裕,ゲイン余裕)をについて説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
システムの伝達関数表現に基づいた古典制御理論の基礎的内容を理解し,フィードバックの本質的な利点や課題について説明できるようになる。また,演習等を行うことにより制御系設計を行う基礎能力を育み,ロバスト制御を視野に入れた現代的な観点で制御システムを設計できる応用能力を身に付ける。
授業の進め方・方法:
教科書の内容を中心とした講義と章末問題等の解説が中心となる。各自で演習問題を行うことにより自主的に理解度を深めることが必要になる。
注意点:
・工業数学Ⅱと電気回路Ⅱ・同演習を受講し,理解していることが望まれる。
・工業数学Ⅱで修得したラプラス変換の数学的知識が必要となる。
・2回の試験結果(中間試験,期末試験)と課題レポートで評価する。
・課題レポートや試験における説明,証明問題では,数式等を用いて論理的に記述できているかどうかも含めて評価する。
・本科目の単位は,高等専門学校設置基準第17条第4項により認定される。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・授業のガイダンス,・制御とは
制御工学で扱う内容について
制御工学の歴史や概念について説明できる。
2週 ・制御とは
制御系の標準的構成について
典型的な制御系の基本構成について説明できる。
3週 ・制御とは
フィードバック制御の利点と課題
制御系設計の手順について
フィードバック制御系の利点や課題について説明できる。
4週 ・動的システム(Ⅰ)
微分方程式によるシステムの動特性の記述
微分方程式によりシステムの動特性を表現することができる。
5週 ・動的システム(Ⅱ)
ブロック線図の結合方式と簡単化
システムの動特性をブロック線図を用いて表現でき,複雑なシステムの伝達関数を導出できる。
6週 ・動的システム(Ⅲ)
動的システムの伝達関数の導出
周波数特性と伝達関数
周波数伝達関数から正弦波入力の定常解解析とゲイン特性,位相特性について説明できる。
7週 ・動的システム(Ⅳ)
周波数伝達関数とベクトル軌跡
プロパーの意味と極,零点の意味
周波数伝達関数からベクトル軌跡やボード線図により周波数特性を表すことができる。
8週 ・過渡応答と安定化(Ⅰ)
インパルス応答とステップ応答の導出
システムのインパルス応答やステップ応答を導出することができる。
2ndQ
9週 中間試験
10週 ・過渡応答と安定化(Ⅱ)
一次システムの応答の導出
一次システムの過渡応答を解析でき,定常偏差を求めることができる。
11週 ・過渡応答と安定化(Ⅲ)
二次システムの応答の導出
二次システムの過渡応答を解析でき,定常偏差を求めることができる。
12週 ・過渡応答と安定化(Ⅳ)
内部安定性について
内部安定性の定義と内部安定性の安定条件を説明できる。
13週 ・動的システムの安定性(Ⅰ)
安定性(安定条件)の説明
簡単なシステムにおける安定性の概念を説明できる。
14週 ・動的システムの安定性(Ⅱ)
ナイキストの安定判別法
ナイキストの安定判別法について説明できる。
15週 ・動的システムの安定性(Ⅲ)
ナイキストの安定判別法の演習
位相余裕,ゲイン余裕などの観点から簡単なシステムの安定性を判別できる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。3
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。3
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。3
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。3
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。3
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。3

評価割合

試験課題レポート合計
総合評価割合5050100
フィードバック制御系の特性101020
伝達関数とブロック線図101020
定常および過渡特性101020
周波数特性101020
安定性解析101020