システム制御工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 システム制御工学Ⅱ
科目番号 190335 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械電子工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 井上和夫監修「MATLAB/Simulinkによるわかりやすい制御工学」森北出版SBN 978-4-627-91721-7山本透・水本郁朗著「線形システム制御」 朝倉書店 ISBN978-4-254-20160-4MATLAB用配布プリント
担当教員 吉永 慎一

到達目標

(1)システムの周波数伝達関数をもとめ,周波数特性(ゲイン特性,位相特性)の計算ができる。
(2)簡単な要素のベクトル軌跡,ボード線図を作図できる。
(3)周波数特性より,安定性・安定余裕を読み取ることができる。
(4)システムを状態空間表現で表すことができ,それらを伝達関数に変換することができる。
(5)状態空間表現におけるシステムの安定性・可制御性・可観測性を判別することができる。
(6)状態フィードバック制御を理解し,極配置法によるレギュレータ制御系を設計できる。
(7)LQ最適法の意味と設計方法を説明できる。
(8)オブザーバの意味を理解し,オブザーバ併合レギュレータを設計できる。
(9)可制御正準形,可観測正準形を導出できる
(10)正準形を用いたレギュレータ・オブザーバの設計ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1高次元のシステムの周波数伝達関数をもとめ,周波数特性(ゲイン特性,位相特性)の計算ができる。 低次元のシステムの周波数伝達関数をもとめ,周波数特性(ゲイン特性,位相特性)の計算ができる。 与えられたシステムの伝達関数から周波数伝達関数を求められない。
評価項目2高次元のシステムのベクトル軌跡,ボード線図を作図できる。 ベクトル軌跡,ボード線図の意味を知っており,簡単な要素のベクトル軌跡,ボード線図を作図できる。 ベクトル軌跡,ボード線図の意味を知らない。
評価項目3周波数特性より,安定性・安定余裕を読み取ることができ,制御系設計に利用できる。 周波数特性より,安定性・安定余裕を読み取ることができる。 周波数特性より,安定性・安定余裕を読み取ることができない。
評価項目4システムを状態空間表現で表すことができ,それらを伝達関数に変換することができる。 システムを状態空間表現で表すこができるが,それらを伝達関数に変換することができない。 システムを状態空間表現で表すことができない。
評価項目5状態空間表現におけるシステムの安定性・可制御性・可観測性を判別することができ,安定性が伝達関数表現の場合と同じであることを説明できる。 状態空間表現におけるシステムの安定性・可制御性・可観測性を判別することができる。 状態空間表現におけるシステムの安定性・可制御性・可観測性を判別することができない。
評価項目6指定した方法(アッカーマンや計数比較法等のアルゴリズム)でフィードバックゲインを設計できる。 状態フィードバック制御,極配置の意味を知り,フィードバックゲインを設計できる。 状態フィードバック制御,極配置の意味を知らない。
評価項目7LQ最適法の意味を知っており,Q,Rと制御性能の関係を説明できる。 LQ最適法の意味はわかるがQ,Rと制御性能の関係を説明できない。 LQ最適法の意味を知らない。
評価項目8オブザーバ併合レギュレータを設計でき,かつ各ゲインが独立して設計できる事を説明できる。 オブザーバの意味と役割を理解し,オブザーバ併合レギュレータの各ゲインを設計できる。 オブザーバの意味と役割を知らない。
評価項目9任意の状態空間表現を,可制御正準形,可観測正準形に変換できる。 可制御正準形,可観測正準形を知っており,伝達関数の各パラメータを正準形の各行列との関係を知っている。 可制御正準形,可観測正準形を知らない。
評価項目10正準形を用いて,任意のシステムのレギュレータ・オブザーバの設計ができる。 レギュレータゲイン・オブザーバゲインを極配置で求める際,指定極と正準形の各パラメータの関係性を知っている。 レギュレータゲイン・オブザーバゲインを極配置で求める際,指定極と正準形の各パラメータの関係性を知らない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-(2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
システムの周波数特性及び現代制御論に関して学び, 技術者に必要な制御系設計に関する解析能力, 設計能力を養う。
授業の進め方・方法:
1.項目ごとにその基本的な考え方と理論を例題に基づいて解説する。
2.演習問題を学生に解かせ, それらの解答に基づき,再度,必要な理論の考え方を解説する。
3.必要に応じて制御系の応用ソフトウェア(MATLAB, Simulink)を用いて必要な実習を行う。

注意点:
・数学(微分積分,線形代数,複素関数論)の復習を行っておくこと。
・数学的な式展開,証明が多い内容なので必ず授業の予習復習を行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
周波数解析と周波数特性について
周波数特性の意味を知っている。
2週 周波数伝達関数とゲインと位相の関係 周波数伝達関数を導出でき、ゲインと位相を計算できる。
3週 高次関数のゲインと位相の求め方
周波数特性について
高次関数に対するゲインと位相の計算の導出方法を知っている。
4週 ボード線図の意味と書き方
ベクトル(ナイキスト)軌跡の意味と書き方
ボード線図とベクトル軌跡の意味を知っている。
5週 一次遅れ系の周波数特性と折れ線近似
一次遅れ系のローパスフィルタ特性について
一次遅れ系の周波数特性を知っている。
6週 二次遅れ系の周波数特性 二次遅れ系の周波数特性を知っている。
7週 その他要素のボード線図とベクトル軌跡
高次関数のボード線図の合成
高次関数のボード線図を折れ線近似で合成できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 テスト返却と解説
ナイキストの安定判別法を用いたゲインの決定
ナイキストの安定判別法を知っており,簡単な制御系の設計に利用できる。
10週 安定余裕について
ゲイン余裕と位相余裕の計算
安定余裕の意味を知っており,計算できる。
11週 ボード線図による安定余裕の導出 安定余裕の意味を知っており,計算できる。
12週 状態量と状態空間モデル
状態方空間モデルの求め方
状態空間表現の意味を知っている。
13週 状態空間表現から伝達関数への変換 状態空間表現から伝達関数に変換できる。
14週 状態方程式の解と遷移行列
状態方程式と遷移行列の関係性を知っている。
15週 遷移行列の計算と各種応答の計算 遷移行列の計算ができ,システムの応答を導出できる。
16週 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 伝達関数から状態空間への変換(実現問題) 伝達関数から状態空間への変換することの意味を知っている。
2週 固有値と極の関係
状態空間における安定性
状態空間表現におけるシステムの極を導出できる。
3週 可制御性の意味と判別について
可観測の意味と判別について
可制御性・可観測性の意味を理解し、 判別ができる。
4週 レギュレータの意味
LQ最適法について
LQ最適法の意味を説明できる。
5週 極配置の意味について
アッカーマンの手法による極配置アルゴリズム
極配置法の原理を理解し,アッカーマンのアルゴリズムで極配置を行える。
6週 オブザーバについて オブザーバの意味と役割を知っており,極配置によりオブザーバゲインを計算できる。
7週 双対性を用いたオブザーバの設計 双対性の意味をりかいしている。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 テスト返却と解説
オブザーバ併合レギュレータの設計
オブザーバ―をもちいたレギュレータの設計の意味を知っている。
10週 オブザーバ併合レギュレータの設計
分離定理について
分離定理の意味を理解し、説明できる。
11週 可制御正準形・可観測正準形について 可制御正準形・可観測正準形を知っている。
12週 正則行列をもちいた可制御正準形・可観測正準形への変換 可制御正準形・可観測正準形に変換できる。
13週 可制御正準形・可観測正準形を用いたた,レギュレータ,オブザーバの設計 可制御正準形・可観測正準形における,レギュレータ・オブザーバの設計ができる。
14週 Matlab/Simulink演習(1) MATLAB/Simulinkを用いて,状態フィードバック制御系のシミュレーションが行える。
15週 Matlab/Simulink演習(2) MATLAB/Simulinkを用いて,状態フィードバック制御系のシミュレーションが行える。
16週 後期期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合8020100
到達目標(1)8210
到達目標(2)8210
到達目標(3)8210
到達目標(4)8210
到達目標(5)8210
到達目標(6)8210
到達目標(7)8210
到達目標(8)8210
到達目標(9)8210
到達目標(10)8210