工学実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 工学実験Ⅰ
科目番号 4021 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 情報工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 情報工学科作成の実験書,見延庄士郎 著「新版理系のためのレポート・論文完全ナビ」講談社
担当教員 福間 一巳,河田 純,近藤 祐史,奥山 真吾,川染 勇人,篠山 学,谷口 億宇,宮﨑 貴大

到達目標

1.実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を理解する。
2.実験を通じて工学の基礎に係わる知識を理解する。
3.実験から得られたデータについて工学的に考察し,説明できる。
4.実験結果・実験データを整理・加工,図表を活用,構成・内容が充実した実験レポートの作成ができること。
5.プログラミング基礎実験分野では,ソフトウェアの標準的な開発ツールや開発環境の利用経験を通じて,簡単なソフトウェアの生成とその動作確認ができるようになること。また,数値計算ソフトを用いて,数理現象を視覚化する技術を修得する。
6.論理回路設計実験では,簡単な組合せ論理回路と順序回路を設計できること。
7.情報通信ネットワーク実験では,プロトコルの概念を理解し,かつ標準的な技術を理解すること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を説明でき,改善できる。実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を説明できる。実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を説明できない。
評価項目2実験を通じて修得した工学の基礎に係わる知識を説明できる,他人に教授できる。実験を通じて修得した,工学の基礎に係わる知識を説明できる。工学の基礎に係わる知識を,実験を通じて修得しておらず,説明できない。
評価項目3実験から得られたデータについて工学的に考察し,説明でき,他人に教授できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し,説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察できず,説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気電子工学実験・実習系領域では,電気電子に関する各種の計測,試験法等についての技術を修得するとともに,専門科目について学習した内容を実験を通して理解することを目標とする。
複雑なコンピュータのハードウェアは,電子デバイスレベル,論理ゲ-トレベル,機能ICレベル等のように,数段の階層構造をなしていることを理解する。また,工学的に複雑な数理現象を理解するために,ソフトウェアを使用した数値実験技術を修得することは,技術者として必要である。ネットワ-ク技術者としての基礎知識・能力とコンピュ-タによる機械制御の初歩的能力を修得する。本実験を通して,コンピュ-タの下位レベルから上位レベルまでを包括的に理解できることが目標である。また,この科目では,企業で電磁気学や電子デバイス等の研究を行っていた教員が,その経験を活かし,様々な電子デバイスの特性に関する実験・実習を行い,技術者として必要な,デバイス・精密な部品・測定機器の取り扱い方法,実験におけるデ-タの収集方法と分析技法,共同作業により円滑に計画を遂行する技能,技術レポ-トの書き方等に関して修得する。
授業の進め方・方法:
各テ-マ毎に,実験前後で2つのレポ-ト提出を義務付けている。実験前のレポ-トで,実験を円滑に進めるための作業手順を考え,内容を予習する。実験開始前の口頭試問で一部確認し,実際の実験で,それを遂行・理解・検証する。実験中,学生は,進行状況・協力状況等を工学実験記録シ-トに記録し,実験終了後に提出する。実験終了後の口頭試問で実験内容・成果の理解度を確認する。実験後のレポ-トでは,実験結果・考察・課題・反省・提案等を技術レポ-ト形式で記述する。前期,後期の最後の時間に,実験で修得した知識を確認するために試験を行う。低学年で履修した,実験項目に該当する電気・電子関係の知識をよく勉強しておくこと。
注意点:
この科目は指定科目である。この科目の単位修得が進級要件となるので,必ず修得すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 前期実験ガイダンス 実験に対する心構え・注意事項,記録シート・レポ-トの取り扱い方法等を説明する。
2週 レポート・論文・発表原稿(ppt)作成テクニック 実験(科学)レポート,卒業論文・学術論文,卒業研究発表・学会発表時の発表原稿(ppt)の作成テクニック(構成・内容・図表)を修得する。C1:1,2, C2:1,2, C3:1-3, C4:1-6
3週 レポート・論文・発表原稿(ppt)作成テクニック 実験(科学)レポート,卒業論文・学術論文,卒業研究発表・学会発表時の発表原稿(ppt)の作成テクニック(構成・内容・図表)を修得する。C1:1,2, C2:1,2, C3:1-3, C4:1-6
4週 電圧・電流の測定 交流回路論における電圧・電流の諸現象について,実験を通して,理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
5週 線形アナログ演算回路の基礎 オペアンプを用いた,基本演算回路(加算・減算・積分・微分・反転・非反転回路)の原理・特性・動作について,実験を通して,理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2,
D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
6週 ミニ放送局とラジオによる電子回路の実験 電圧などの電気諸量の測定方法を修得する。共振,増幅回路の原理と基本特性を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
7週 ミニ放送局とラジオによる電子回路の実験 電圧などの電気諸量の測定方法を修得する。共振,増幅回路の原理と基本特性を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
8週 ワンチップマイコンプログラミング ワンチップマイコンを用いた回路を作成し,組み込みプログラミングの手法を理解する。ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い,生成したロードモジュールの動作を確認できる。D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E2:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
2ndQ
9週 ワンチップマイコンプログラミング ワンチップマイコンを用いた回路を作成し,組み込みプログラミングの手法を理解する。ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い,生成したロードモジュールの動作を確認できる。D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E2:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
10週 数値シミュレーションI モンテカルロ法を使ったプログラムを書ける。
B3: 1, D1: 1, D2: 1, D3: 1, 2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6: 1-3
11週 数値シミュレーションI モンテカルロ法を使ったプログラムを書ける。
B3: 1, D1: 1, D2: 1, D3: 1, 2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6: 1-3
12週 ディープラーニング入門-1 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使った画像分類を学習し,認識精度の向上に有用なCNNのチューニングを習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
13週 ディープラーニング入門-1 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使った画像分類を学習し,認識精度の向上に有用なCNNのチューニングを習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
14週 前期末試験と後期実験ガイダンス 前期に行った実験テ-マに関して,基礎知識の修得状況を確認する。後期実験に対する心構え・注意事項,記録シート・レポ-トの書き方等を説明する。
15週 D/Aコンバ-タ D/Aコンバ-タの原理・基本特性を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
16週 電子デバイスの静特性の測定 半導体素子(ダイオード・バイポーラトランジスタ・MOS)の電気的特性の測定法を修得し,実験を通して,各デバイスの原理・静特性を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
後期
3rdQ
1週 タイマ-回路の製作I 発振回路・カウンタ回路の原理・特性,7セグメントデコ-ダの利用方法,60進カウンタの原理・特性(TTL-IC),リレ-回路の利用方法,アナログ回路との接続方法,TTL-ICの応用方法を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
2週 タイマ-回路の製作I 発振回路・カウンタ回路の原理・特性,7セグメントデコ-ダの利用方法,60進カウンタの原理・特性(TTL-IC),リレ-回路の利用方法,アナログ回路との接続方法,TTL-ICの応用方法を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
3週 タイマ-回路の製作II 発振回路・カウンタ回路の原理・特性,7セグメントデコ-ダの利用方法,60進カウンタの原理・特性(TTL-IC),リレ-回路の利用方法,アナログ回路との接続方法,TTL-ICの応用方法を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
4週 タイマ-回路の製作II 発振回路・カウンタ回路の原理・特性,7セグメントデコ-ダの利用方法,60進カウンタの原理・特性(TTL-IC),リレ-回路の利用方法,アナログ回路との接続方法,TTL-ICの応用方法を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
5週 数値シミュレーションII 並列化により計算プログラムを高速化することができる。
B3: 1, D2: 1-3, D3: 1,2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6: 1-3
6週 数値シミュレーションII 並列化により計算プログラムを高速化することができる。
B3: 1, D2: 1-3, D3: 1, 2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6: 1-3
7週 ディープラーニング入門-2 ディープラーニングに必要な学習データの作成方法及び,転移学習を習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
8週 ディープラーニング入門-2 ディープラーニングに必要な学習データの作成方法及び,転移学習を習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
4thQ
9週 数理現象シミュレ-ション 数値計算ソフトウェアを用いて,数理現象を表現する,数値計算技術と視覚化技術を学習する。B1:1,2, B2:1,2, C2:1,2, C3:1-3, D1:1-3, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E5:1-2, E6:1-3
10週 数理現象シミュレ-ション 数値計算ソフトウェアを用いて,数理現象を表現する,数値計算技術と視覚化技術を学習する。B1:1,2, B2:1,2, C2:1,2, C3:1-3, D1:1-3, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E5:1-2, E6:1-3
11週 ネットワ-クインテグレ-ションI ネットワ-クの管理・構築に必要な基礎的知識の修得とその実践方法の学習を目的とする。プロトコルの概念を説明できる。ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。インターネットの概念を説明できる。D2:1, D3:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
12週 ネットワ-クインテグレ-ションI ネットワ-クの管理・構築に必要な基礎的知識の修得とその実践方法の学習を目的とする。プロトコルの概念を説明できる。ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。インターネットの概念を説明できる。D2:1, D3:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
13週 後期末試験 後期に行った実験テ-マに関して,基礎知識の修得状況を確認する。
14週 実験レポート指導 年度末に,年間提出した全てのレポートの内容を強化する指導を行う。
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前4,前5,前6,前8,前10,前11,前12,前14,前15,前16,後1,後3,後5,後6,後7,後9,後11
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前4,前5,前6,前8,前12,前14,前15,前16,後1,後3,後7,後9,後11
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前1,前4,前5,前6,前8,前12,前14,前15,前16,後1,後3,後7,後9,後11
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前10,前11,前12,前15,前16,後1,後3,後5,後6,後7,後9,後11,後14
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前10,前11,前12,前15,前16,後1,後3,後5,後6,後7,後9,後11,後14
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前10,前11,前12,前15,前16,後1,後3,後5,後6,後7,後9,後11,後14
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前10,前11,前12,前15,前16,後1,後3,後5,後6,後7,後9,後11,後14
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前4,前5,前6,前8,前12,前15,前16,後1,後3,後5,後6,後7,後9,後11,後14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前4,前5,前6,前8,前12,前15,前16,後1,後3,後7,後9,後11,後14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前4,前5,前6,前8,前12,前15,前16,後1,後3,後7,後9,後11,後14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前4,前5,前6,前8,前10,前11,前12,前15,前16,後1,後3,後5,後6,後7,後9,後11,後14
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4前4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4前4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4前4
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前16
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4前16
演算増幅器の特性を説明できる。4前5
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。4前5
情報系分野計算機工学ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。4後3,後4
要求仕様に従って、標準的なプログラマブルデバイスやマイコンを用いたシステムを構成することができる。4後3,後4
情報数学・情報理論離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。4前10,前11,後5,後6
コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。4前10,前11,後5,後6
分野別の工学実験・実習能力情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。2前6,前7
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。2前6,前7
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。2前6,前7
標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。3前12,前13,後7,後8
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。3前12,前13,後7,後8

評価割合

試験発表相互評価実施状況・態度・口頭試問成果物実験レポート合計
総合評価割合100036054100
基礎的能力5001802750
専門的能力5001802750
分野横断的能力0000000