計算力学

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 計算力学
科目番号 211140 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教員作成資料
担当教員 木村 祐人

到達目標

1. 運動方程式を差分化し, 質点の運動のシミュレーションが実行できる.
2. 簡単な分子動力学法のシミュレーションを実行し, 結果を分析できる.
3. 有限要素法の考え方を理解し, 基礎式を導出することが出来る.
4. 重み付き残差法に基づく有限要素法の流れを理解し,1次元の簡単な問題に有限要素法を応用することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1粒子系のシミュレーションを自ら作成したプログラムで実行し, 得られた結果を深く理解している.粒子系のシミュレーションを与えられたプログラムで実行し, 得られた結果を概ね理解している.粒子系のシミュレーションの遂行が出来ない. また結果を理解していない.
評価項目2分子動力学法のシミュレーションを通じ, 液体と結晶の相転移や計算に用いた式をよく理解している.分子動力学法のシミュレーションを通じ, 液体と結晶の相転移について概ね理解している.分子動力学法のシミュレーションの結果を理解していない.
評価項目3有限要素法の特徴を理解し, 問題に応じて基礎式を導出できる. 有限要素法の基礎式の意味と導出方法を理解している.有限要素法の考え方や基礎式の導き方を理解していない.
評価項目4重み付き残差法に基づく有限要素法の流れを理解し,問題を有限要素法で解くことができる。重み付き残差法に基づく有限要素法の流れを理解し,簡単な問題を有限要素法で解くことがでる。重み付き残差法に基づく有限要素法の流れを理解できず,簡単な問題を有限要素法で解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
計算機技術の発達に伴い, 機械設計において数値解析は欠かすことの出来ない道具の一つになったと言っても過言ではない. 解析ソフトを使う上で, それらがどのような考えに基づいて動作しているかを理解することは極めて重要である.
この講義では, 数値計算法を利用して機械工学における力学的な問題を数値的に解く方法を学ぶ. 具体的には粒子的な計算手法として「分子動力学法」, 連続体的な計算手法として「有限要素法」を取り上げる. 受講者は基礎的なプログラミングと数値計算法を理解していることが望ましい.
授業の進め方・方法:
講義形式で基礎的事項の説明をした後, プログラムを作成し計算を行う. 理論に関する演習とプログラミング演習を交互に行うことで, 計算力学に対する理解を深める.
注意点:
プログラミング課題を実施する際, ただ内容を写すだけではなく, 理論式との関係や物理的な意味について考えること. 分からないことはそのままにせず, 担当教員に遠慮なく質問すること.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 質点の方程式と差分法 質点の運動方程式を差分化し, 数値解を計算することができる.
2週 2つの調和振動子 相互作用する2つ調和振動子の運動方程式を差分化し, 数値解を計算することができる.
3週 初期配置の作成(1) 境界条件を考慮し, 多粒子系における規則的な初期配置を作成できる.
4週 初期配置の作成(2) 境界条件を考慮し, 多粒子系におけるランダムな初期配置を作成できる.
5週 粒子の位置関係の解析方法 動径分布関数の意味を理解し, 粒子の位置データから計算できる.
6週 初期速度の作成 分子動力学法の計算を念頭に, ボルツマン分布に従う初期速度が作成できる.
7週 レナードジョーンズポテンシャル レナードジョーンズポテンシャルに基づいて粒子間の力が計算できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 運動方程式の差分化:速度ベルレ法 運動方程式の差分化方法の一つである速度ベルレ法について学ぶ
10週 分子動力学法における境界条件 分子動力学シミュレーションにおける境界条件と, その実装方法について学ぶ
11週 分子動力学法における温度制御 分子動力学シミュレーションのおいて, 温度の計算方法とその制御方法を学ぶ. (可能であれば圧力制御についても触れる)
12週 分子動力学法のプログラミング演習(1) 作成した分子動力学法のプログラムを利用し, 液体-結晶間の相転移のシミュレーションを実行する.
13週 分子動力学法のプログラミング演習(2) 作成した分子動力学法のプログラムを利用し, 液体-結晶間の相転移のシミュレーションを実行する.
14週 分子動力学法のプログラミング演習(3) 演習(1), (2)で得られたシミュレーション結果を分析する.
15週 様々な粒子系シミュレーション 粒子系を用いた計算手法を紹介し, それらの特徴について概観する.
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 微分方程式と近似解法 微分方程式の近似解法の必要性と代表的な解法について簡単に説明することができる。
2週 微分方程式と弱形式 強形式の微分方程式を弱形式の積分形に変換することができる。
3週 重み付き残差法(部分領域法と選点法) 内挿関数が与えられた場合に,部分領域法と選点法を用いて近似解を求めることができる。
4週 重み付き残差法(ガラーキン法) 内挿関数が与えられた場合に,ガラーキン法を用いて近似解を求めることができる。
5週 連立一次方程式の解法(直接法) ガウスの消去法のプログラムを作ることができる。
6週 連立一次方程式の解法(反復法) ヤコビの反復法のプログラムを作ることができて,反復法が収束するかどうかを判定できる。
7週 簡単な1次元有限要素法(1) 簡単な1次元の微分方程式の境界値問題の近似解を有限要素法によって求めることができる。
8週 中間試験
4thQ
9週 簡単な1次元有限要素法(2) 簡単な1次元の微分方程式の境界値問題の近似解を有限要素法によって求めることができる。
10週 構造力学への応用(棒の引っ張り)(1) 棒の引っ張り問題に有限要素法を用いて,棒の変位と軸力を求めることができる。
11週 構造力学への応用(棒の引っ張り)(2) 棒の引っ張り問題に有限要素法を用いて,棒の変位と軸力を求めることができる。
12週 構造力学への応用(平面トラス)(1) 平面トラスの問題を有限要素法を用いて,節点の変位と部材の軸力を求めることができる。
13週 構造力学への応用(平面トラス)(2) 平面トラスの問題を有限要素法を用いて,節点の変位と部材の軸力を求めることができる。
14週 簡単な2次元有限要素法(1) 2次元ポアソン方程式の近似解を,三角形要素を用いて求めることができる。
15週 簡単な2次元有限要素法(2) 2次元ポアソン方程式の近似解を,三角形要素を用いて求めることができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野情報処理プログラムを実行するための手順を理解し、操作できる。4
定数と変数を説明できる。4
整数型、実数型、文字型などのデータ型を説明できる。4
演算子の種類と優先順位を理解し、適用できる。4
算術演算および比較演算のプログラムを作成できる。4
データを入力し、結果を出力するプログラムを作成できる。4
条件判断プログラムを作成できる。4
繰り返し処理プログラムを作成できる。4
一次元配列を使ったプログラムを作成できる。4

評価割合

試験提出物合計
総合評価割合6040100
評価項目1151025
評価項目2151025
評価項目3151025
評価項目4151025