熱力学

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 熱力学
科目番号 221111 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 金原粲監修「熱力学 事例でわかる考え方と使い方」実教出版,ISBN978-4-407-32257-6
担当教員 小島 隆史

到達目標

1. 熱力学の第一法則を説明でき,熱,内部エネルギおよび仕事の関係を計算できる。
2. 熱力学の第二法則とエントロピについて説明でき,カルノーサイクルの熱効率を計算できる。
3. 理想気体の性質を説明でき,各種状態変化における温度,圧力,体積の関係を計算できる。
4. 基本となるガスサイクルを説明でき,各サイクルの状態変化と理論熱効率の計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1熱力学の第一法則およびそれに関わる物理量を具体的な例を挙げて説明でき,熱,内部エネルギおよび仕事に関する応用問題を解くことができる。熱力学の第一法則およびそれに関わる物理量を説明でき,熱,内部エネルギおよび仕事に関する基本的な計算問題を解くことができる。熱力学の第一法則およびそれに関わる物理量を説明することができない。
到達目標2熱力学の第二法則とエントロピについてわかりやすく説明でき,カルノーサイクルの熱効率に関する応用問題を解くことができる。熱力学の第二法則とエントロピの定義について説明でき,カルノーサイクルの熱効率に関する基本的な計算問題を解くことができる。熱力学の第二法則およびエントロピの定義を説明することができない。
到達目標3理想気体の状態式をわかりやすく説明でき,各種状態変化における応用問題を解くことができる。理想気体の状態式を説明でき,各種状態変化における基本的な計算問題を解くことができる。理想気体の状態式を説明できない。
到達目標4基本となるガスサイクルの状態変化をわかりやすく説明でき,各サイクルの状態変化と理論熱効率に関する応用問題を解くことができる。基本となるガスサイクルの状態変化を説明でき,各サイクルの状態変化と理論熱効率に関する基本的な問題を解くことができる。基本となるガスサイクルの状態変化を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
熱エネルギと仕事に関する基礎的な考え方や基本法則を理解し,内燃機関,蒸気原動機,冷凍機など熱エネルギを扱う機器の基本サイクルやそれらの状態変化および熱効率算出方法等を学ぶ。
授業の進め方・方法:
毎時間,パワーポイントを用いて基本事項を説明した後,グループワークで理解を深める。また,到達度確認のため,毎時の小テストと試験期ごとの課題レポートを課す。授業時間中のグループワークには態度目標を設定する。
注意点:
試験期ごとに,定期試験を80%,課題レポートを10%,毎授業の到達度確認テストを10%として評価し,総合成績60%以上を合格とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,熱力学概要 熱力学とはどんな学問か説明できる。
2週 熱力学で取り扱う物理量 熱力学で取り扱う物理量(温度,圧力,熱量,比熱,比体積,密度)を説明し,使うことができる。
3週 熱力学の第一法則 状態量および閉じた系と開いた系を説明できる。
内部エネルギおよび熱力学の第一法則を説明できる。
熱力学の第一法則の表示式を用いて計算できる。
4週 熱力学の第一法則(つづき) 閉じた系の仕事を体積変化から求めることができ,熱力学の第一基礎式を説明できる。
エンタルピの定義式および熱力学の第二基礎式を説明できる。
エネルギと温度の関係を計算できる。
5週 熱力学の第二法則 熱力学の第二法則を説明できる。
熱機関の熱効率と冷凍機・ヒートポンプの成績係数を計算できる。
6週 カルノーサイクル 可逆機関の熱効率が最大であることを説明できる。
カルノーサイクルを説明できる。
カルノーサイクルの熱効率と逆カルノーサイクルの成績係数の計算ができる
7週 エントロピ エントロピの定義および熱移動とエントロピ変化の関係を説明できる。
カルノーサイクルのp-V 線図とT-S 線図を描ける
8週 エクセルギ 熱移動とエントロピ変化の関係を計算できる。
エクセルギとは何か説明し,計算することができる。
2ndQ
9週 前期中間試験
10週 比熱,比熱比,気体定数の相互関係 定圧比熱,定積比熱,比熱比,気体定数の相互関係を説明できる。
11週 理想気体の状態式 理想気体の状態式を説明でき,計算に使うことができる。
12週 理想気体の混合 ドルトンの法則を説明できる。
混合気体の物理量を求めることができる。
13週 理想気体の状態変化(等圧,等容,等温) 理想気体の状態変化(等圧変化,等積変化,等温変化)を計算できる。
14週 理想気体の状態変化(つづき)(断熱,ポリトロープ) 理想気体の状態変化(断熱変化,ポリトロープ変化)を計算できる。
15週 状態変化の計算のまとめ 理想気体の状態変化(等圧変化,等積変化,等温変化,断熱変化,ポリトロープ変化)を計算できる。
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 ガスサイクル概要 カルノーサイクルを説明できる。
内燃機関の理想サイクル(オットー,ディーゼル,サバテ)の概要を説明できる。
2週 カルノーサイクル カルノーサイクルの状態変化を理解し,理論熱効率を計算できる。
3週 オットーサイクル オットーサイクルの状態変化を理解し,理論熱効率を計算できる。
4週 ディーゼルサイクル ディーゼルサイクルの状態変化を理解し,理論熱効率を計算できる。
5週 サバテサイクル サバテサイクルの状態変化を理解し,理論熱効率を計算できる。
6週 ガスタービンサイクル ブレイトンサイクルの状態変化を理解し,理論熱効率を計算できる。
7週 ガスサイクルの計算のまとめ これまで学習した関係式を理解し,状態変化の計算およびガスサイクルの計算に使うことができる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 水の状態変化 水の等圧蒸発過程を説明できる。
圧縮水,飽和水,しめり蒸気,飽和蒸気,過熱蒸気を説明できる。
10週 蒸気の基本的性質と状態量 しめり蒸気のかわき度と蒸発熱を理解し,基本的な計算ができる。
11週 蒸気表と蒸気線図 蒸気表,蒸気線図を用いて状態量を求めることができる。
12週 ノズル出口の蒸気速度 蒸気表,蒸気線図を用いてノズル出口の蒸気速度を求めることができる。
13週 ランキンサイクル 蒸気原動機の基本構成を説明できる。
ランキンサイクルの状態変化を理解し,理論熱効率を計算できる。
14週 冷凍機と冷凍サイクル 冷凍機とヒートポンプの違いを説明できる。
冷凍サイクルの状態変化を理解し,成績係数を計算できる。
15週 蒸気サイクルと冷凍サイクルのまとめ ランキンサイクルと冷凍サイクルの状態変化および理論熱効率の計算をすることができる。
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前11
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前13,前14
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前5
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前5
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4前2
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4前3
熱力学の第一法則を説明できる。4前3
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前4
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4前4
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4前11
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4前10
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4前4
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4前13,前14,前15
熱力学の第二法則を説明できる。4前5
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4前5
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4前6,後2
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4前7
サイクルをT-s線図で表現できる。4後2,後3,後4,後5,後6

評価割合

試験確認テストレポート合計
総合評価割合801010100
到達目標1101112
到達目標2101112
到達目標3203326
到達目標4405550