電気情報基礎Ⅱ(情報)

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電気情報基礎Ⅱ(情報)
科目番号 211209 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 電気情報工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 8
教科書/教材 伊原充博、他 著「ディジタル回路」(コロナ社),プリント配布
担当教員 北村 大地

到達目標

下記の8項目を到達目標とする.
1. 数値表現の基数変換ができる
2. 任意の基数で表現された数値の加減算ができる
3. 2の補数で表現された2進数のオーバーフロー判定を含めた加減算ができる
4. 論理的な命題を真理値表で記述し解くことができる
5. 論理関数の表す集合領域をベン図で表せる
6. 論理関数をブール代数の基本則を用いて変形でき,与えられた証明問題を解くことができる
7. 論理関数の真理値表を記述できる
8. カルノー図を用いて論理関数を簡単化できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. 数値表現の基数変換ができるあらゆる基数の数値を異なる基数の数値に変換できる2進数,10進数,及び16進数の数値を異なる2進数,10進数,16進数の数値に変換できる2進数,10進数,及び16進数の数値を異なる2進数,10進数,16進数の数値に変換できない
2. 任意の基数で表現された数値の加減算ができる任意の基数で表現された数値の加減算ができ,別の基数の数値に変換して検算までできる2進数,10進数,及び16進数の基数で表現された数値の加減算ができる2進数,10進数,及び16進数の基数で表現された数値の加減算ができない
3. 2の補数で表現された2進数のオーバーフロー判定を含めた加減算ができる2の補数を用いた正負値の表現体系を説明でき,加減算やオーバーフローの判定ができる2の補数表現された数値の加減算やオーバーフローの判定ができる2の補数表現された数値の加減算やオーバーフローの判定ができない
4. 論理的な命題を真理値表で記述し解くことができる様々な条件が付与された論理的な命題を真理値表に変換でき,解の要件を満たす論理的な条件を導ける論理的な命題を真理値表に変換でき,解の要件を満たす論理的な条件を導ける論理的な命題を真理値表に変換できず,解の要件を満たす論理的な条件を導けない
5. 論理関数の表す集合領域をベン図で表せる論理関数や論理命題とベン図の対応関係を理論的に説明でき,あらゆる論理関数をベン図に変換できるあらゆる論理関数をベン図に変換できる論理関数をベン図に変換できない
6. 論理関数をブール代数の基本則を用いて変形でき,与えられた証明問題を解くことができるブール代数の基本則を全て公理から導出でき,論理関数の変形・簡単化・証明ができるブール代数の基本則を用いた論理関数の変形・簡単化・証明ができるブール代数の基本則を用いた論理関数の変形・簡単化・証明ができない
7. 論理関数の真理値表を記述できるあらゆる論理関数を真理値表に変換でき,加法・乗法標準形の論理関数を導くことで比較・検算ができるあらゆる論理関数を真理値表に変換できる論理関数を真理値表に変換できない
8. カルノー図を用いて論理関数を簡単化できるカルノー図を用いた論理関数の簡単化原理を説明でき,4変数までのあらゆる論理関数をカルノー図で簡単化できる4変数までのあらゆる論理関数をカルノー図で簡単化できる4変数までのあらゆる論理関数をカルノー図で簡単化できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本授業では,ディジタル回路や電子計算機(パソコン)の内部で用いられる論理的な数学の理論体系の基礎を学ぶ.
数値の基数変換,補数表示,論理命題,ブール代数学,カルノー図等を理解し,今後の情報系科目において必須となる基礎専門知識を習得することが目標となる.
授業の進め方・方法:
教科書の内容に沿った解説プリント(穴あき版と完全版)を配布し,これをもとに授業を進めていく.
授業時間外での定期的な学習と演習時間及び小テストの確保を目的として,ビデオを用いたオンデマンド授業も併用する.
面接授業では,主として重要事項の補足説明や演習を実施する.演習内容によってはアクティブラーニングを取り入れ,より効果的な学習を狙う.
中間及び期末の2回の定期試験の他に,単元ごとの復習と定期的な自学自習を目的として,計3回のFormsによる小テストを実施し,これも成績に反映する(割合は本ページ下記の「評価割合」を参照).
注意点:
電気情報基礎II(情報)では,特に2進数に関する理論や計算法をよく知ること,論理思考能力を高めること,及び論理関数の変形や簡単化ができることを目指す.
これらに関する部分は特に演習を多く設け,確実な基礎知識定着を目指す.本科目を受けて4年次の必修通年科目「論理回路」や選択半期科目「計算機アーキテクチャ」,及び5年次の必修通年「回路設計(論理設計)」に進むので,決してその場しのぎの勉強ではなく,確実に力が身に付くような勉強を心掛ける必要がある.
オフィスアワーは授業中に別途指示するが,Teams等でも随時質問を受け付ける.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 全体の授業計画とガイダンス
ディジタルとアナログの違い
10進数と2進数の相互変換
ディジタルとアナログの違いを説明できる.
10進数での数値の表し方を説明でき,10進数と2進数の相互変換ができる.
2週 16進数
任意基数進数
2進数・4進数・8進数・16進数の関係
16進数での数値の表し方を説明できる.
任意基数の進数での数値の表し方を説明できる.
2進数・4進数・8進数・16進数の関係が説明でき,暗算で相互変換ができる.
3週 10進数と任意基数進数の相互変換
2進数での加減算
任意基数進数での加減算
小テスト(1回目)
少数の10進数と任意基数進数の相互変換ができる.
2進数や任意基数進数での加減算ができる.
4週 2進数における負数の表示法
符号絶対値表現とその問題
補数
正負の10進数値を符号絶対値表現の2進数に変換できる.
符号絶対値表現の問題点を説明できる.
Rの補数及びR-1の補数を求められる.
5週 2の補数表現と符号付2進数 正負の10進数値と符号付2進数の相互変換ができる.
与えられたフォーマットの符号付2進数の表現可能範囲を求められる.
6週 符号付2進数の加減算
小テスト(2回目)
符号付2進数の加減算が計算できる.
7週 オーバーフローとその判別
符号付2進数の16進数表現
符号付2進数の加減算結果よりオーバーフローが生じたか否かを判別できる.
符号付2進数を16進数表現の相互変換ができる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 論理推論 与えられた前提条件のもとで,論理問題を解くことができる.
10週 より複雑な論理推論 与えられた前提条件のもとで,命題論理を真理値表で記述し,複雑な論理問題を解くことができる.
11週 ブール代数と基本演算
真理値表とベン図による論理式の表現
ブール代数における基本演算ができる.
論理式を真理値表とベン図で示すことができる.
12週 ブール代数の基本法則
ド・モルガンの定理
ブール代数の基本法則を自ら導出できる.
ド・モルガンの定理を真理値表とベン図で示すことができる.
13週 真理値表に基づく論理式の導出
加法形と加法標準形
乗法形と乗法標準形
与えられた真理値表から論理式を導ける.
加法形・加法標準形・乗法形・乗法標準形の違いを説明でき,真理値表から指定された形式の論理式に変換できる.
14週 カルノー図法に基づく論理式の簡単化
組み合わせ禁止(ドントケア)
小テスト(3回目)
与えられた論理式をカルノー図法により簡単化できる.
組み合わせ禁止の存在する論理式をカルノー図法により簡単化できる.
15週 基本論理素子
論理式から論理回路への変換
基本論理素子記号を用いて与えられた論理式と等価な論理回路図を作成できる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
工学基礎情報リテラシー情報リテラシー論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3前3,前4,前5,前6,前7
基本的な論理演算を行うことができる。3前11,前12,前13,前14
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。3前11,前12,前13,前14
論理式の簡単化の概念を説明できる。3前12,前13,前14
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。3前12,前13,前14
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。3前15
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。3前15
組合せ論理回路を設計することができる。3前15
情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。3前9,前10,前11,前12,前13,前14
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。3前11,前12,前13,前14
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。3前11,前12,前13,前14
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。3前9,前10,前11,前12,前13,前14
コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。3前3,前4,前5,前6,前7
コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。3前3,前4,前5,前6,前7

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合7030100
記数法と符号付2進数(中間試験範囲)302050
論理推論とブール代数(期末試験範囲)401050