電気回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気回路Ⅰ
科目番号 221214 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 教科書:大下眞二郎,「電気回路」,共立出版
担当教員 漆原 史朗

到達目標

1.共振やブリッジ回路の解析や諸定理を用いた回路解析を行うことができる。
2.2端子対回路の端子電圧,端子電流の関係式を導出でき,回路解析に応用できる。
3.3相交流回路の特徴を理解し,電流や電圧を求めることができる。
4.簡単なひずみ波形を入力とする定常解解析を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
共振やブリッジ回路の解析,諸定理を用いた回路解析共振回路やブリッジ回路など複雑な電気回路の定常解や諸定理を用いて回路解析に応用できる。共振回路やブリッジ回路など各種電気回路の定常解や諸定理を用いた回路解析ができる。共振回路やブリッジ回路など各種電気回路の定常解や諸定理を用いた回路解析ができない。
2端子対回路の回路解析様々な2端子対行列と端子電圧,端子電流の関係式を導出でき,利点などを説明することができる。様々な2端子対行列と端子電圧,端子電流の関係式を導出できる。様々な2端子対行列と端子電圧,端子電流の関係式を導出できない。
3相交流回路の回路解析3相交流の利点や特徴を理解し,各結線における線・相電流,線間・相電圧の関係を導き出すことができる。3相交流の利点や特徴について説明できる。3相交流の利点や特徴について説明できない。
簡単な過渡現象解析基本法則に基づいて微分方程式を導出し,定常解,過渡解の意味を理解して過渡現象解析ができる。電気回路について,基本法則に基づいて微分方程式を導出し,過渡現象解析を行うことができる。電気回路について,基本法則に基づいて微分方程式を導出し,過渡現象解析を行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気回路Ⅰでは,微分積分や電気基礎等で学んだ記号法を用いた正弦波定常解析に基づき,過渡現象解析に繋がる回路解析の基礎を習得する。具体的には2端子対回路を用いた回路解析を理解し,複雑な回路に対する基礎解析能力を身につける。また,3相交流についての知識を身に付け,交流機器の基礎原理を理解する。さらに,高等数学と電気回路における物理現象との関係を理解させ,過渡現象解析の一般解の導出過程を定着させる。
この科目は企業(研究機関)で制御機器等の設計開発を担当していた教員が、その経験を活かし、回路理論について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
教科書の内容を中心とした講義と例題等の解説を行う。「演習ノート」を用意して教科書の章末問題等の演習を行うなど,自主的に予習・復習して理解度を高めること。
注意点:
・2回の試験結果(中間試験,期末試験)の平均点を評価とする。
・説明,証明問題では,数式等を用いて論理的に記述できているかどうかも含めて評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
RLC共振回路,相互誘導回路
RLC共振回路や相互誘導回路における現象を理解して,回路解析を行うことができる。
2週 ブリッジ回路,整合
枝電流と網目電流
回路の双対性
枝電流,網目電流を用いた回路解析を状況により使いこなすことができる。回路の双対性を理解できる。
3週 重ねの理
テブナン・ノートンの定理
重ねの理,テブナン・ノートンの定理を用いて回路解析ができる。
4週 可逆の理
補償の定理
可逆の理や補償の定理などを導出でき,回路解析に応用できる。
5週 2端子対回路とは
インピーダンス行列とアドミタンス行列
2端子対回路の特徴を理解し,インピーダンス行列,アドミタンス行列を導出できる。
6週 ハイブリッド行列
伝送行列
ハイブリッド行列,伝送行列を導出できる。
7週 2端子対回路の接続
2端子対行列の接続方法を理解して各2端子対行列を導出できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験返却
3相交流のメリット
3相交流のメリットを説明できる。
10週 対称三相交流電圧源
線電圧,相電圧と線電流,相電流
対称三相交流電源のベクトルなどを用いて表すことができ,各電圧・電流を導出できる。
11週 3相負荷
Δ-Y変換
3相負荷のΔ-Y変換ができ,3相交流回路の回路解析に応用できる。
12週 3相交流回路の電力
回転磁界
様々な3相結線における3相電力を求めることができる。3相交流により回転磁界ができることを理解する。
13週 過渡現象解析と微分方程式
微分方程式の一般解と定常解,過渡解
回路の微分方程式を導出し,定常解,過渡解を算出することができる。
14週 キャパシタとインダクタに関わる初期値
直流RL直列回路と時定数
キャパシタおよびインダクタに関わる初期条件を理解できる。直流RL直列回路の過渡解析ができる。
15週 直流RC直列回路と時定数
直流RLC直列共振回路の過渡現象
直流RC直列回路およびRLC直列共振回路の過渡解析ができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前12
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3前2,前3,前4,前9,前10,前11,前12
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前12
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前12
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前12
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前12
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前12
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3前1,前2,前3,前5,前6,前9,前10,前11
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3前1,前2,前3,前5,前6,前9,前10,前11
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。3前1
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。3前1,前6
理想変成器を説明できる。3前6
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3前12
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前13,前14
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前15
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3前3,前4
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3前2,前4,前7
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3前2,前4,前7
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3前3,前4

評価割合

試験課題レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60400000100
交流理論の諸定理1510000025
2端子対回路1510000025
3相交流回路1510000025
簡単な過渡現象解析1510000025